覚書クリックの冒険:空は続いているか


他人のための「紹介」や「解説」ではなくて、自分の中で対象の位置付けがどう遷移しているかを記録するための文章なので、記事としてはいろいろすっ飛ばした内容になっています。





公式のコンテンツで参照したものは以下の通り。基本的に複数のキャラクターの掛け合いになっているものだけを追っていて、「カード」のテキストとか「営業」中の台詞とか、ひとりで喋る形式のものは見ていないです。

①劇場版『THE IDOLM@STER MOVIE 輝きの向こう側へ!』(「劇場版アニマス」と略)
②CD『LIVE THE@TER PERFORMANCE』シリーズ(「LTP」と略)
③ゲッサン少年サンデーコミックスの漫画「アイドルマスター ミリオンライブ!」(「ゲッサン漫画」と略)
④ゲーム内の「ボイスドラマ」コーナー収録の、「プラチナスターライブ編」(「PSL」と略)、「全国キャラバン編」(「キャラバン」と略)、及び、「劇場版発表記念」等の「キャンペーンドラマ」各種。
⑤ゲーム内の「思い出」コーナー収録の各テキスト(各「イベント」の「プロデュース記録」は含まない)
⑥CD『THE@TER ACTIVITIES』シリーズ(「TA」と略)


・望月杏奈
何度か書いたことがある通り、「ミリオンライブ!」で最初に名前を認知したキャラクター。HaRuKarnival'13で「Happy Darling」という曲を知り(……ということは、あれは最後のハルカニの時のことか。そうか。なるほど。)、劇場版アニマスを見てこれがあの曲を歌っていた子か、と思い、我那覇響・春日未来・横山奈緒・望月杏奈・豊川風花のLTP03が初めて買ったミリマスCDになり、ゲッサン漫画で箱崎星梨花・馬場このみ と文化祭に潜入する回に喜び、グリマスの一番最初のチュートリアルでユニットのセンターに指名する……。ということで、私がミリマスを知っていく過程で、つねに中心に居たアイドルですが。

振り返って思うのは、LTP03にしろゲッサン漫画にしろ、決してストーリーの中心にいるわけではないにも関わらず、与えられた役回りが実においしくて、見せ場になっていたということ。そして、そこで提示されたものが、こういう曲を歌う子が居て、元気いっぱいでアイドルアイドルしているonのモードと、内気でローテンションなoffのモードの二面性が特徴の子なのか、というあらましを聞き知って、こんな感じなのかな、こういうものが見られたら楽しいだろうな、と期待したものが、過不足なくそのまま出てきた感じだった、ということで。
逆に言うと、より情報量が増えた時に、意外な一面を知ってイメージが衝撃的に塗り替えられる、とか、今まで気づかなかった魅力を感じて一気にのめりこむ、とかいうことも、あまりなかった気がします。……こう、この子が趣味のゲームのことをボソボソ喋っているのを見ると、ああ、オタクの好きなもの語りって、外から見るとこんなにも退屈なものなんだなあ、としみじみ心が痛くなって、あんまり気楽に可愛い楽しいと珍重する気分になれないというのもあったりしてw。

まあ、グリマスの中のテキストを読めるようになって、新しい発見ということで言うと、ロコと松田亜利沙に対してのつれない、そっけない言動なんて、面白いですね。
ミリマスに限らず、アイマスキャラって基本的にみんないい子だし、他人をからかう人や他人にそっけない人というのは、"いたずら好き属性" とか "人間関係拒絶属性" とかの固定的な属性でもって全方位的、無差別的にそう振る舞うのであって、"特定の相手にとりわけフレンドリー" というのはあっても、”特定の相手の前でだけそっけない" というのは比較的珍しいふるまい方だと思います。
で、それはつまり、この人だったらいじっても安全だ、この人はからかった方が面白い、という、相手のパーソナリティと関係性に寄りかかった、一種の甘えであるわけで、そういうふるまいがこのキャラクターから出てくるというのは、なんか納得がいきます。そしてそういう、"特別な相手への甘えによって成り立つ居心地のいい関係” みたいなのは、私の大好物でもありますw。

特に、イベント「HAPPY⭐︎HAPPY⭐︎PERFORM@NCE」(14/7/30~14/8/6)での杏奈・ロコ・七尾百合子の
杏奈「杏奈、心臓がもたない、かも……」→ロコ「アンナ! 弱気はNGです!」→杏奈「ロコが、常識的なこと言ってる幻聴が聞こえる……」→ロコ「幻聴じゃないです! ロコは3人の中で一番エルダーですからね!」→百合子「私とは17日しか違わないでしょ!」
のやりとりなんか、最高だと思います。あとこれは、すぐ後の「アイドル夏祭り in 港町」(14/8/8~19)の「オフショット」で、杏奈がロコ製作の灯籠を欲しがっているのが、望月杏奈というキャラクターに対するフォローという意味でも、いい。

掛け合いの楽しさで言えば、「メトロポリスライブ!」(16/3/25~4/4)での
横山奈緒:相方がダブルボケなので頑張った→百合子:ダブルボケ! 必殺技みたい! →杏奈:杏奈は「モノローグ系ツッコミ」
もおかしい。
しかし、この「モノローグ系ツッコミ」という自認は正鵠を射ているところがあります。「ダブルボケ」のもう片方のお方とは違って発想がぶっ飛んでいるとか天然とかいうわけではないし、周りをよく見ているんですよね、杏奈という子は。単純に、異様にマイペースで、かつその "自分のペース" が非常に特殊な、しかも自分でも制御できないような形をしているだけで。
マイペースだから、時に、まだ本番中だけど疲れたからゲームしていいかな(「アイドル水上運動会2015」オフショット (15/6/9~17))みたいな非常識な言動も飛び出すし、時に、ルール上は敵同士である相手(篠宮可憐)に対して、今は個人的に「休憩中」だから、という理由で大事な手助けする(「サンタだらけの雪合戦」(15/12/1~9))みたいな素敵なふるまいも飛び出す。そして彼女のストーリーは全体として、この、"マイペースにしか行動できない" という己の性質とどのようにつきあって生きていくか、をめぐって展開しているように思えます。

私は4年分のテキストをまとめて読んでいるので、キャラクター描写が時期を追ってどう変遷してきたか、みたいな事柄はあまりピンと来ないところはあるのですが、比較的初期のテキストにおける望月杏奈のストーリーは、"他人に伝えること" が主題になっていた印象を受けます。
たとえば、劇場版発表記念のボイスドラマでの、ゲーム作りの企画が出来ると聞いて、喜び勇んで分厚い企画書を書いてきて、お前こんなの誰も読めねーしわからねーよ、となる展開。「生っすか!? サンデー×50」(15/5/8~17)での課題も良く似ています。「お天気お姉さん」をやることになって、そのために頑張って勉強したら、「伝えたいこと」がたくさん出来て、でもその「伝えたい」ことを逐一全部話そうとしても、うまくいかない。「伝えたいこと」は、「ぎゅっと」詰めなきゃいけないんだ、と。
自分が良いと思うもの、やりたいと思うことをそのまま詰め込んでも、他人には伝わらなくて、他人に伝えるためには伝え方を考えないといけない。それを考える過程はまた、自分の中の"やりたいこと" を捉え直す過程でもあり、今までこのやり方しかないと思っていた枠を越えて自分らしい表現を見つける過程でもあります。

その延長線上に、「全国キャラバン」の望月杏奈編のエピソードがあります。ここでも仕事の内容はゲームに関わるもので、杏奈としては、好きなお仕事だから、大荒れの台風の中に飛び出してでもやりたい。でも、それでは自分も危ないし周りにだって迷惑がかかってしまう、という。ここで問われているのは、世の中には自分の "やりたい" だけでやってしまってはいけない事柄が存在するということ。そして、その中で何をどこまでやっていいのか、どうすれば自分のやりたいことが実現できるのか、ということ。
(……それにしても、このエピソードはサポート役に福田のり子・二階堂千鶴と頼もしさ抜群のお姉さんが二人もついていて、見るからに安心感がありますが、逆にこんなに人材を一箇所に集中して大丈夫なのか、もっと他にフォローすべき子が居たんじゃないか? と余計な心配をしてしまいますw。)

対して、より最近のエピソードでは、"苦手なこと、やってこなかったことに取り組む" ことに光が当てられている印象を受けます。たとえば、縄跳びに取り組んで二重跳びができるようになる「ミリオンオータムフェア」(16/10/6~16)、そしてタコ焼きに取り組んでタコを捌けるようになる「アイドル夏祭り」(16/7/12~19)。
このタコ焼きの話もそうですし、周防桃子の「はじめてのアルバイト」や中谷育の「いなか暮らし」もそうですが、何か突飛で奇想天外な挑戦というわけではなくて、ごく日常的でありふれた行為なんだけれども、それまでのその子の生活の中には無かった作業に取り組むエピソードがあるのは、グリマスのストーリーのいいところだと思います。

他方で、運動が苦手な子が二重跳びをできるまで頑張る、というのも、タコが気持ち悪くて仕方がない子がタコを捌く、というのも、結果として出来るようになれば美談ですが、なかなかしんどい話でもあるわけで。望月杏奈を囲む世界が、"人並みに縄跳びを跳べるために頑張る" 世界になってしまったら、それはたぶん、とても苦しくて、さびしいことだと思うのです。
だからその後に、「ショコラティエの大冒険」(17/2/3~2/12)みたいなエピソードがあるのがいい。ゲームとお菓子と仲間、という好きなものが結びついた、空想の世界の中で楽しく冒険する。そんなふわふわしたひとときが、生活の中にあって、そのまどろみをそっと見守ってくれる人たちが居る。そして、そのひとときの幸福感を抱きしめながら、また目覚めの世界での生を生きていくことができる。
「冒険」と「縄跳び」、どちらかだけだとバランスが悪いですが、両方があるからいいのです。

……こう、書いていて思わないでもないのは、どこかの星井美希って人にも、これくらいゆったりして着実な物語があればいいのにね、ということですが。

ともあれ、そういうわけで、触れてみて楽しいところ、魅力的なところはたくさんあるキャラクターでした。ただ、純粋に喋っているのを見ているだけで楽しい、聞いているだけで楽しい、ということで言えば、ロコとか横山奈緒の方がもっと楽しいんですよね、個人的には。
にも関わらず、望月杏奈が自分の中で特別な地位を占め続けているのは、結局、他のミリマスアイドルに未だ持てない、確固たるステージのイメージが、彼女に関してはある、ということに尽きます。
デレマスの方では最近、私は星輝子がいいんだなあ、というのがようやく固まってきましたが、それも、デレステMADを見ていて彼女のステージはパワーあるなあ、と感じたのが決め手でした。物語、テキストの中での魅力と、ヴィジュアルだったり声だったりの外形の魅力と、2.5次元の空間の中でのステージの魅力と、3つのイメージが重なり合った時、初めてアイドルとして確固たる存在になるんですね、私の中で。

だから、望月杏奈に関するテキスト、望月杏奈の台詞の中でも、いちばん心を惹かれるのはやはり、彼女が "ステージに飛び出したくてうずうずしている" 瞬間の言葉です。そして、それがもっとも力強く、輝かしい形で表現されたのは、「夏のサマーライブフェス」(13/8/2~12)における一連の台詞だと思います。


「音がね、体をズーンとつきぬけて、広がって。お客さん達を包んで、空高くまであがってくんだよ!」


いわゆる onの杏奈、「アイドルモード」の杏奈は、もちろん、杏奈自身が勉強して、計算して、頑張って作り上げている存在、という面もあるのですが、同時に、時として彼女の中から自然に、勝手に迸り出てくる存在でもあります。その、彼女の中から、計算も制御も超えて何者にも止められない何かが迸り出てくる瞬間の高揚感に、私は魅せられているのです。

この「夏のサマーライブフェス」のテキストの最後で、望月杏奈は、もっともっと、「太陽が降参しちゃうくらい」ハジケて燃えるんだ、と言っています。
そうですね、私は太陽が嫉妬する音楽とステージならいくつか知っていますが、「太陽が降参」するステージは、まだ見たことがないのかもしれません。いつか2.5次元の世界で、「太陽が降参」するステージと巡り会えるのを楽しみにしています。





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