アイドルが殺すのは難しい


タイトルは、そーいや似たようなタイトルの記事を昔書いたなあ、と思って。内容忘れたけれど。

【東方】超幻想郷級のダンガンロンパ (13年08月11日〜)

上記動画を見ながら思った、動画と直接関係ない、とりとめない話を。





この動画や、東方の手描きストーリー作品のいくつかを見て思ったのは、アイマスキャラクターより東方キャラクターの方が、殺人が絡むストーリーへの適性が高いんだな、ということ。
東方の世界観として、ほわほわ可愛い女の子が、まったく同時に、人を騙して陥れたり、あるいは殺して食べてしまうことをなんとも思っていない人格の持ち主であったとしても、おかしくはない。
けれどもアイマス世界の場合、アイドル事務所に通う年若い女の子が、何の前置きもなく人殺しをなんとも思わない人格の持ち主だったら困るわけで。

だから、たとえばアイマスキャラクターを使ってミステリーを描く場合、765プロのメンバーが孤島や山荘に出かけたところ、そこで殺人事件が起こって……みたいな筋立ては、一見手っ取り早く作りやすい(実際よくある)ようでいて、実は難しい部分がある。
つまり、ストーリー展開やトリックは巧緻に作り込めても、そもそもなんで彼女たちが殺したり殺されたりする関係にならなきゃならんのか? というところをうまく処理できないことが多い。
はるちはでPの取り合い? ゆきまこで痴情のもつれ? みきりつでプロデュースされなかった恨み?なんにしても、そんなに簡単に彼女たちが殺人を決意できるような子だったら困るだろう、という人格・心理の部分には目をつぶって、これはミステリーなんだから、というお約束の元で、こうしたパターンの作品は成り立っている。
(哀川翔Pの【アイドルマスター】 春香たちの夜(07年05月26日〜07年08月26日完結)シリーズが特筆すべきなのはそこで、強引であれ後付けであれ、とにかく ”なんで彼女たちを人殺しにされなきゃならんのか?” という部分を解決しつつ、きちんとオチをつけたところである。先駆者たるだけの所以のあるシリーズだったと思う。)

そういう意味では、人格・心理の面で、殺したり殺されたりのストーリーに説得力がある作品は、世界観とその中での個々のキャラクター像そのものを、一から作り上げているタイプのものに多いと思う。

サイリョウP 私達のグウゾウ (12年06月10日〜12年12月04日完結) 
ぎんねこP 【NovelsM@ster】ブラックロォズ (11年02月02日〜最新13年02月24日)
レストP 陽気なアイドルが地球を回す(10年03月17日〜10年09月22日完結)

上記は今思いつくままに並べたもので、各々毛色は全く違う。ただ、この世界観でこのキャラクターたちが殺し合ったり騙し合ったりするのは自然だな、という世界を作り上げている、という点に共通性がある。

モノクマP 超アイドル級のダンガンロンパ 【novelsm@ster×ダンガンロンパ】 (12年07月22日〜)

最近新作が来たこの動画も、世界観がアイドル同士の殺し合いを自然にさせている例であろう。『ダンガンロンパ』というゲームは、ミステリーとしてどこがどう斬新、というお話ではないし、ゲームならではの構成や仕掛けがどうこう、という作品でもない。練り上げられた世界観(雰囲気、設定、ルールひっくるめて)とキャラクターこそが強みなのであって、この世界観のもとにキャラクターを放り込んでしまえばどうとでもなる、という特長が、2次創作においても生きている。

元来ごく日常的な世界の住人であって、殺し合いなんぞとは親和しない、というアイマスキャラクターの性質は、しかし、必ずしも欠点でも限界でもない。むしろ、そうであるからこそ切り開かれた可能性がたくさんある。
たとえば「im@s架空戦記シリーズ」というジャンルそのものが、その一つだ。
「im@s架空戦記」はその成り立ちの時点で、”なぜ彼女たちをこんな世界に放り込まなければならないのか?” ”なぜ彼女たちに戦いや殺しをさせなければならないのか?” という問いを抱え込んでいる。
一作品をかけて掘り下げるに値する大きな問いを、im@s架空戦記はただim@s架空戦記であるだけで自然に得ていて、そして事実、その問いに答えようとする軌跡は、im@s架空戦記の中で一つの流れを形成している。
ニコマスの中のストーリー系動画としていち早く(そしてニコ動の中でも早期に)「im@s架空戦記シリーズ」という一ジャンルが成立したのは、故のあることなのだと思う。

東方には「幻想郷は全てを受け入れる」なる言葉があるそうで。ならば東方2次創作は実際、「全てを受け入れる」”何でもアリ” の世界なのか? という点については、語れるほどの知識は私にないので措いておくけれども。
少なくともアイマス世界は元来、いかなる観点においても "何でもアリ" からはほど遠い、狭くて制約だらけの世界だったのであり、その制約だらけの世界をあえて押し広げようとする推進力、異物を呼び込もうとする欲求が、ニコマスの一つの根幹的な原動力だったのだと思う。
愛識Pにしろ、カイザーPにしろ、プロディPにしろ、ぎんねこPにしろ、その作品の最良の部分にはつねに、アイマスがアイマスたりうる限界と、広大で非日常的な異物がぎりぎりのところで衝突する、きりきりとした緊張感がある。(一方でその、衝突の中に身を置いているという緊張感を失うと、たちまちどうしようもない作品を作り上げるのも、これらの作者に共通の傾向である。)
無理やり新しめのキーワードに繋げるならば、アイドルが「キラキラしている」というのは(え? もう古い?)、アイドルが、そのぎりぎりの衝突によって飛び散る火花の鮮烈さとともに生きている、ということなのだと思っている。


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