4/3ということで(遅刻)


せっかくの機会なので、改めて、いくつかの問題に関する私の認識と立ち場を書いておきます。

本当は、誕生日当日はあくまで目出度いお祝いの日、ということで、この記事は前日までに済ませておきたいな、と思っていたんですが、遅刻しました。そしてこのまま書き続けるとズルズルと日を越しそうなので、時間切れということで、21時の段階で書けたところまでで上げます。












・無印春香ランクAドーム成功EDは、「ループ」とは何の関係もない

単純な話、1ページ目でアイドル候補生の女の子がプロデューサーと出会ってアイドル活動を始め、最終ページでそのプロデューサーと再会の約束をして別れた、という小説を読んだ、と考えてみればよい。最後のページを閉じてもう一度1ページから読み直そうとした時、今の瞬間、さっきの最終ページの女の子は記憶がリセットされて今開いた1ページ目に戻ってるんですよねえ、と言う人がいるものだろうか。

私にはアケマスプレイヤーの感覚はわからないが、無印と同じエンディングを持つアケマスのプレイは、プレイヤーの力量、遭遇するオーディションの成り行き次第で一回ごとに固有の経過、可変のプロデュース期間を辿っていくものであって、たとえ春香ソロ限定で何周もプレイを続けたとしても、同じ子が何度も記憶をリセットされている、と考えるより、1回ごとにその回固有のユニットをプロデュースしている、と考えた方が自然であるように思う。
L4U!、SP、DS、2、シャイニーフェスタの内容を指して、これらはプレイ終了後に話がループするという性質があるから、このゲームと真面目に向き合うならばそのことに目を向けなければ、と言っている人を私は見たことがない。アニマス、シンデレラガールズ、ミリオンライブ! に至っては、言わずもがな。

リセットだ、ループだ、というのは、1周回中のストーリーがきっかり1年で終わる(=同じ1年を繰り返し続けている、という幻想を抱くのに都合が良い)、最高ランクのエンディングまで到達してどんな約束をアイドルと交そうが、さて次のユニットをプロデュースするか、という台詞が最後に来てしまう、という、無印特有の構成が生んだ、無印に特殊なプレイヤーの思い入れ、幻想のあり方だった。

それは単なるプレイヤーの側の思い入れであって、春香シナリオが持つ性質でもなければ、ゲームというものの性質ですらない。
エンディングの先の未来にいつまで経ってもたどり着けないのが問題だ、というならば、それは有限の尺の中でしか語られ得ない物語すべての問題であって、ループとは何も結びつかない。

そして、対象がゲームの内部の存在、3次元の世界に暮らすプレイヤーと異なる位相にある存在、プレイヤーの側から干渉不可能な存在であることが問題だ、というならば、相手をそのように異なる位相の存在であるとしなががら、しかしプレイヤーと同様の感情、判断、認識を持って、プレイヤーが感じたのと同様の苦しみや悲しみを感じていてくれるはずだ、という仮定をもって物語るのは、はなはだ知性的でない発想と言わざるを得ない。
つまるところ、ゲームの中のアイドルの虚構性、2次元と3次元の壁なるものを強調すれば強調するほど、”彼女たち” がゲームであることに縛られているとか、エンディングの後に悲しんだり苦しんだりしている、とかいう発想自体、こちら側からは判断しようのないことを自分に都合良いように解釈した、プレイヤーの側の勝手な思い入れに過ぎないことが浮き彫りになるのみである(これは、「ループ」という解釈に限定されない話であるが)。

創作物としては、対象がゲームであるということへのメタ的な視点を入れ込もうとして、優れた表現に達した作品もあるし、単に物語の内容のみを扱うことに特化して優れた表現に達した作品もある。どちらのアプローチに寄るか、ということは単に作者の嗜好の問題であって、そのどちらかであることに本質的な意味や価値が存在するわけではない。


・無印春香ランクAドーム成功EDは「救い」を必要としていない

無印春香ランクAドーム成功ED(の未来)に「救い」があるかどうか、という問題意識で当該EDを語ろうとする語り口を時々見かけるが、頓珍漢な発想だと思う。

もちろん、濃密な時間をともに過ごし、様々な局面で自分を支えてくれたプロデューサーと別れることは、春香にとっても悲しいことであろう。
それは、アイドルを止めてファンのみんなと会えなくなるのは悲しいし、卒業する先輩と別れるのは辛いし、忙しくなって友達との関係が変化していくのは苦しいし、大好きなおばあちゃんと会えなくなるのは寂しいし、パティシエになりたいという夢を諦めるのは残念だ、というのと同じことだ(今列挙したのは、すべて、無印のコミュ内に典拠のあるエピソードである。)
その中でただ一つ、プロデューサーとの別れだけが、春香にとって特別絶望的で決定的でいつまでも春香を縛り続ける出来事であるに違いない、という発想は、プレイヤーの側の勝手な思い入れに過ぎず、別段何の根拠があるわけでもない。
列挙した様々な悲しい出来事に対して春香が答えを出して先に進むところを、シナリオを通して我々は現に見てきたわけであり、プロデューサーとの別れに限って春香ひとりでは解決できないとする理由はない。春香ひとりでは解決できない問題があったとしても、春香を支える人間がプロデューサー一人ではないこともまた、我々はシナリオ中でしっかり見てきた筈である。そして、春香は自らの判断次第でいつでもプロデューサーに会いに行けるのであり、プロデューサーと決着をつけるどんな手段と可能性も、放棄したわけではない。

無印春香ランクAドーム成功EDの春香は、「救い」など必要としていない。ただ、彼女には彼女自身の決断と行動次第で、彼女が進みたいどんな未来にも進み得る可能性を手にして、プロデューサーの手許から巣立っていった、それだけである。

それでもなお、春香にとってもプロデューサーとの別れには、他の出来事と比較にならない特別重大な意味があるのだ、と言える人がいるとすれば、それは、プロデューサーたる自分自身が、プロデュースを通してそれだけ特別なものを春香にもたらしてきたのだ、春香との間に確固たる関係を築いてきたのだ、と自信を持って振り返れるプロデューサー(プレイヤー)のみであろう。
自分は、春香にとって特別な存在だと言い切れるだけのプロデュースをしてきた人間なのだと、あるいは春香の気持ちがどうあれ、自分自身が春香と結ばれて幸せになりたいのだと、そう断言できるプロデューサーに対しては、私は何の疑義も反論も、挟もうとは思わない。


・無印春香ランクAドーム成功EDは「特別」ではない

無印のアイドル10組のシナリオの中で、あのようなランクAドーム成功EDを持つ春香シナリオのみが特殊で特別な存在である、という言説が時々見られる。こうした言説の大半は、無印のシナリオに対する無知、読解不足から生じていると私は考える。
10組のアイドルのエンディングすべてのあらましを、同程度に詳しく正確に要約しなさい、と言われて、すぐにできる人がどれほどいるものだろうか。しかしながら、それくらいのことすら出来ないにもかかわらず、他のアイドルのシナリオに比べて春香ひとりだけが特殊、と断言できる、というのは、甚だおかしなことではないだろうか? 
自分にとっては春香ひとりが特別だと言いたいのであれば、春香だけを眺めて春香のことだけ語っていればいいと思う。しかしながら、どうしても他のアイドルとの比較で春香の価値を証明したいのであれば、他のアイドルを十二分に語れるだけの理解がなければ説得力などない、ということは当然ではないだろうか。

春香シナリオが特殊で特別だという物言いをするのは、春香好きに限らない。各々の立ち場に関わらず、こうした物言いのほとんどは、春香以外のシナリオをきちんと読解していないか、春香シナリオそのものをきちんと読解していないか、またはその両方であることを糊塗する便法として使われているものだと思っている。次々項の内容と重複するが、「春香だけが純粋にアイドルそのものを目指してアイドルになった」といった物言いも、まったく同様である。


・春香は「普通」「無個性」ではない

ゲーム内で春香を指して「普通」と言われるのは、冒頭のユニット選択での社長の「あの子は、まあ普通の子だから」という台詞のみであり、これは文脈上、単に、駆け出しプロデューサーにとってもそれほど付き合いづらい相手じゃないよ、という程度の意味だと考える。
ゲーム内で形容に用いられることのない、あらかじめそうだという規定がどこにあるわけでもない「普通」という言葉で春香を語るのは、春香というキャラクターをどう理解するかという問題、春香と接して受ける印象をどう言葉にするかという問題からお手軽に逃げるための便法として用いられているものだと、私は思っている。


・春香は「初めからアイドルを目指していた」「アイドルになるのが夢だった」わけではない

ゲームにおける春香は、「アイドルになる」ことが目的だとも夢だとも、一度も言ったことはない。そもそも、「アイドル」という言葉自体、コミュ内では滅多に登場しない。これに関連してしばしば付随する誤解であるが、春香は「歌のお姉さん」に憧れてアイドルになろうと思った、などと語ったことはないし、幼い頃にどこかのステージで見たアイドルを見てアイドルを志した、と語ったこともない。これらは解釈以前の、基本的な事実である。
それを踏まえた上で、春香にとってのアイドルとは何か、を考えるのは構わないと思うが、春香と「アイドル」という言葉を結びつけて語る多くの言説は、単なる読解不足であり、読解への努力を要さずにお手軽に語るための便法として用いられているものであると考える(もちろんこれは、初めから「アイドル」という言葉がシナリオ中の重要キーワードとして用いられているアニマスに関して当てはまることではない。)










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No title

様々な点で誤解を生んでいるというのは春香に限らず困った話ですね。
ある日の風景3など、コミュなども交えて問題に対する事実を述べていただけると非常にわかりやすいかと思います。
タイムオーバーだということですが、そのあたりはしっかりと言及しておいたほうがいいかなと。
知らない人はゲームやるなりすれば良い話なんですけどね……。

Re: No title

通りすがりの方、コメントありがとうございます。
そうですね、春香ひとりに限らず、各アイドル、各ゲーム、掘り出せばいろいろ語られていない要素があると思います。

おっしゃる通り、当日中に上げることを優先した結果、この記事単体では非常に言葉足らずで不親切なものになってしまったと、反省しております。
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