シャープさと温かみと品の良さ


根岸P 【NovelsM@ster】2万ヘルツの孤独【短編】 13年08月24日

↑この動画が素敵でした、と一言いいたかっただけなのですが、せっかくなので根岸Pのこれまでの他作品も、ちょろっと見直して感想を書いてみました、という記事です。






【第七次ウソm@s祭り】Remember you 第一話【Novels m@ster】 13年05月25日

デビュー作。タイトルにある通り第七次ウソm@s祭り参加作品で、今のところ続きは投稿されていません。ゲーム『Ever17』『Remember11』が原作とのことですが、ゲーム画面は使用されておらず立ち絵+メッセージウィンドウ形式のノベマスになっています。
私はゲームやらない人間なので、元ネタについてはよくわかりませんが、『Ever17』に関しては過去にもノベマス化されたことがあります。(ハルニーニョP 【Novels M@ster】EMBER6~the out of LeMUlia~シリーズ 10年11月06日〜 未完)

導入編なので、この後どういう展開になっていくのかはよくわからないわけですが、おそらくは、立場と状況の異なる複数の登場人物が、それぞれの過程をたどって一つの場所に集まっていってそこで事件が起こる、という、その過程が描かれているのでしょう。
後の作品の内容を考えると、このような、何気ない日常が次第次第に非日常へと遷移していく過程の描写は、この作者の非常に得意とするところであるように思います。

1話の中で、十数人からの登場人物が顔見せするのですが、各キャラクターの、この作品における性格、立場、関係性がすでに明確にイメージされているんだな、ということが、随所の何気ない言動、会話から自然に見えてくる、そういう丁寧さのある動画です。
特に、この後の作品でも特徴となっている、キャラクターの性格や年齢による視界の違いが細やかに踏まえられた、1人称視点での心理や会話の描写が、これも特徴である、風景描写、感覚描写の効果的な挿入とあいまって、雰囲気作りに貢献しています。


時計塔のハルカ (13年05月26日〜13年07月25日完結)

これも第七次ウソm@sで投稿された作品が、連載化されたもの。1話3分半前後で、全9話のオリジナルストーリー作品。
1話当たりの再生時間を短くするコンセプトの作品でも、一般には終盤になるほど話がふくらんでいくものですが、本シリーズが最終回まで4分以内という枠の中で表現されていることは、この作者が作品構築に際して、自ら描いたコンセプトを徹底できる人であることを、示していると思います。

ある朝目覚めたら、窓の外に謎の塔が立っていて、そこへ行った僕は女の子と出会って……。
思春期的なロマンティシズムとでも言いますか、そういうものが横溢したジュブナイルSF。
タイムトラベルであったり宇宙人であったり、ふくらませようとすればそれ一本でもっとふくらませられるネタが、いろいろ織り込まれている物語なのですが、しかしそこに深くは踏み込まない、語らないことでこそ、この作品の雰囲気が形づくられているのだと感じました。

何の変哲もなかった筈の世界がいつの間にか非日常に接続していて、しかしそれはそれでそれなりに、非日常は日常の中に取り込まれ、自分自身の日常が劇的に変わるかというとそうでもなく、ただ目の前には、不思議で疑わしくてわからなくて、でもなんだか惹かれる女の子がいる。
そういう、足に感じる重力が少しだけ軽くなってしまったような、浮遊感の中でのボーイ・ミーツ・ガール、というところに、焦点が収束している。
SF的なギミックについては一応終盤で説明がつけられていますが、謎が解かれることがどうこう、というのではなくて、そういうストーリーを通してこの空気、雰囲気を楽しむ、というところが肝であり、魅力である作品だと思います。


【NovelsM@ster】2万ヘルツの孤独【短編】 13年08月24日

6分半の短編。サムネを見ると、なんだかわからないおじさんの顔が写っていますが、動画を見ても結局、このおじさんが一体なんなのかはよくわかりませんw 。
作者ご自身の解説でも「インド人を脈絡なく出したい」が出発点、と書かれている通り、歩いていたら謎のインド人と出会って話をしました、という、それだけの動画。

ただ、このサムネで、あるいは今の説明で想像されるような、出落ち、サムネ落ち、一発ネタだけの動画かというと、決してそうではありません。出会う相手がインド人……、というか、異なる世界、異なる文化、異なる価値観の中を生きてきた人であることにも、言語でのやりとりが難しい中でのコミュニケーションになることにも、ちゃんと意味があります。

ちょっとしたことで、今までうまくいっていたことがうまくいかなくなって、あるいは今まで当たり前であったことが当たり前でなくなった。そういうタイミングで、自分の当たり前とは異なる当たり前を語ってくれる存在と出会う、という体験。
ただ、そこでその時私はこう感じました、なんてわざわざ説明したりはしないし、このお話のどこからどこまでが現実だったのかもよくわからない。そういう語り口と間合いの取り方がなんとも、この作者の品の良さと言いましょうか、雰囲気がいいなあ、素敵だなあ、と感じるところであります。



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