そういえば、『i』『Dream』『いっしょ』はあるが、『All』という曲はない


最近の春香関連で印象に残ったことと言えば、

ステージ上で何者にもなってしまう変幻自在さはまさに無個性が全個性をのみ込んだ 春香そのもの

なんて一文は、さらりとでも私には書けんわ、とか思いましたが、たったそれだけの言葉を笑って通り過ぎられないあたり、私もまだまだ元気だな、と思わずにはいられません。

閑話休題。
私は、精神的に折れ曲がったり捻じくれたりは日常茶飯事ですが、アイドルあるいはコンテンツに対する自分の立ち位置、的なものについてはあんまり悩んだことのない人間です。なので、他人事感覚でアレなんですが、面白い話題なので、↓この話に関して連想したことを書いてみたいと思います。

「みんな」の範囲 - 箱の外から






上に述べたようなわけで、私は、アニマスでファンがどう描かれているか、という話題そのものはわりとどーでもいいので、そこについては特に書くこともありません。けれども、K_1155氏の記事の後半は、私もそれなりに関心がある、アニマスの春香について集中的に扱っているので、まずは、その内容について、簡単に私の立場を述べておきます。

基本的に私は、アニマスの春香については、上記記事でのK_1155氏の解釈に同意するものです。
もう少し正確に言えば、

・アニマスの春香について、これらのシーンに着目することでこのような解釈が導き出せる、というK_1155氏の記事の流れについて、ほぼ全面的に同意。
・私自身がアニマスの春香について重視したい要素、採りたい解釈も、K_1155氏が示したものとほぼ同様。
・ただし、アニマスの春香に関する表現の全体は、これだけでは説明しきれない、もう少し大きな幅、ぶれ、矛盾を含んだものだと思う

というのが、私の基本的な考えです。
そういうわけで、記事の内容自体に付け加えることはないので、以下、直接の関連はあんまりないけれど、なんとなくこの機会に書いておこうかな、ということを。


例によってというか、無印アイドルマスターの春香コミュの話。
無印における春香というキャラクターの特徴として、彼女は楽しみを見つける名人である、という点がある、と私は思っています。コミュを見ていると、春香がいろんな仕事を楽しみにしながらやっていることがよくわかるのですが、それはたぶん別に書く機会もあろうから、ここでは置いておいて。

一方で、春香がいかにアイドル業に夢中だったとしても、年頃の女の子として、仕事以外に興味あること、楽しいこともまた、いろいろあるわけです。
たとえば、以前にも触れたことがある、ランクDの「ある日の風景4」コミュ。

ぷげらっちょP アイドルマスター はるかっか 48 07年06月17日



このコミュでは、春香がプロデューサーのところに、自作のチョコレートを持ってくるわけですが、そもそも何故そのようなことになったのかというと、春香は

「えへへ……。実は、こないだの仕事オフのとき、ちょっといいレシピを見つけて……」
「試しに作ってたら、夢中になっちゃって……。」

と説明しています。
仕事以外の趣味に熱中していたり趣味を語ったりしている様子というのは、他のアイドルでも休日コミュなどでちょくちょく見ることができますが、春香の場合は、たとえばレシピを見つけてきてお菓子を作る、というようにして、歌やアイドルとは直接関係しない楽しみを、オフの時間に持っていることがわかります。

それでは、仕事以外のやりたいことと仕事との関係は、春香の中でどうなっているのでしょう。

たとえば、同じくランクDのライブ(テーマパーク)。

ぷげらっちょP アイドルマスター はるかっか 40 07年06月16日



ここでは、春香は遊園地でのライブの後、

「そうだ! 少し遊びに行ってもいいですか?私たち、せっかく遊園地に来たんだし……」

と、次の営業までの合間に、遊園地で遊んでいくことを、Pに提案します。
ぷげらっちょPのコミュ動画は、パーフェクトコミュニケーション以外の展開も一本の動画の中に収録されているので、一度に見ることができますが、ここで春香は、Pがそれに乗った場合は

 「遊園地に負けない楽しいライブを、これからも、ばっちり頑張りますよ!」

と言い、
Pが却下した場合には、

「仕事は仕事、遊びは遊び! そのけじめくらい、ついてます」

と言います。
ここには、

・あくまで遊びは遊びであって、仕事を阻害するような遊び方をしてはいけない
・でも、せっかく時間と機会があるのだからここで遊んでおけば、楽しいことが増えてますます仕事も頑張れるでしょう?

という、いわば仕事と遊びの楽しみを足し算する発想があります。

同じ発想は、他のコミュでもうかがえます。
たとえば、Pとナンジャタウンに遊びに行く休日コミュ。

ぷげらっちょP アイドルマスター はるかっか 59 07年06月18日



このコミュで、今回のお出かけでは施設を完全制覇できなかった春香は、もう一度二人で遊びにくることをPと約束して、

「よ~し、それを楽しみに、ますます、お仕事、がんばっちゃいますねっ! 」

と言います。

注意すべきなのは、約束があることで "ますます" 仕事が頑張れる、のであって、約束がある"から" 仕事を頑張る、わけではない、ということです。
仕事はそれ自体楽しくて、頑張れるもの。でもそこに、Pと遊びに行く約束、というちょっとした目標を付け足せば、それをも楽しみにして、より一層仕事を頑張れる。
ここにも、仕事と仕事以外の楽しみとを足し算する論理が存在します。
春香にとって、アイドルとしての活動と、それ以外の楽しみ(お菓子を作ること、遊びに行くこと、好きな人と一緒に過ごすこと、etc.)は、互いに競ったり相反したり選択したりするものではなく、足し合わされていくもの、相乗して「楽しさ」を大きくしていくものなのです。

春香は、様々な媒体での物語において、あるいは2次創作においても、択一的な選択を拒否する・現状を維持しようとする行動原理を持つキャラクターとして描かれることが多い存在ですが、無印の春香について考えた場合、春香がそうした立場を取るとすれば、それは(出発点としては)、このような、"楽しいことは、互いに足し合わすことができる" という、素朴でシンプルな発想の延長上に発生している、と考えることができるのではないでしょうか。
(その考え方は正しいのか、それは春香の中で維持され続けるものなのか、といったことは、とりあえず置いておいて。)


ここでちょっとだけ、アニマスの話を。
アニマスの春香は、元よりどのゲームの春香とも同一とは言えない存在です。しかしながら、ゲームの春香と重ね合わせて見ることで、いろいろ想像できる要素があることもまた、確かです。

周知の通り、アニマス23話から、春香と美希のどちらかが主役に選ばれるミュージカルの練習、という重要なイベントが描かれます。
たとえば、この23話での美希との会話から窺われる春香の発想は、ここまで私が述べてきたことと重ね合わせて見ると、想像しやすいところがあるのではないでしょうか。

春香「噂通り、厳しい演出家さんだね」
美希「うん、でも美希、これくらいへっちゃらなの!」
春香「美希が一緒で良かったぁ。私一人じゃ、もう挫けちゃってたかも。どっちが主役になるか分からないけど、いっしょに頑張ろうね」
美希「……それはイヤなの」
春香「えっ?」
美希「美希、絶対主役をやりたいんだ。これは、ハニーが美希にくれたチャンスだって思うし、主役の美希をハニーに見てもらいたいの。だから、いっしょに頑張るって言うのは、ちょっと違うって思うな」

一見すると、この会話では、美希と春香の意見が真っ向から衝突しているように見えます。
しかし、視聴時の衝撃や後の展開をとりあえず脇において、言葉だけを追ってみましょう。春香は、どちらか一人しか主役には選ばれない、ということも、主役を得るために全力で臨まなければならない、ということも、否定してはいないのではないでしょうか。

ここでの美希と春香に、違いがあるとすれば、それは「いっしょ」「頑張る」という言葉に対する観念の違いです。

上記の会話における、美希の思考を想像してみます。

① Pの期待に応える、Pに一番いい自分を見てもらう、という最優先の目標がある
② 主役に選ばれることが、①を達成するための最適解、必須の事柄である
③ ②を達成するためには、ライバルを誰も寄せ付けない程にいっとう抜きん出る努力(=美希にとっての「頑張る」)をしなければならない
④ 故に、(ライバルである)春香と「いっしょ」にやっていくことは、目的に対して矛盾する、不純な行動である

美希には、このような明快な論理があるように思われます。

一方、春香の側に論理があるとすれば、それは、楽しみを足し算する論理、なのではないでしょうか。
最終的に主役になれるのは一人だけ。もちろん、Pの期待には応えたいし、主役をやれたら嬉しい。
でも、それはそれとして、自分独りで戦って周りの敵に打ち勝たなければならない、と思い続けて仕事をしているより、大好きな仲間と「いっしょ」に頑張ってるんだ、と思った方が、より楽しく仕事できるじゃないか。

せっかくの仕事で、せっかくの仲間なんだから、「いっしょ」にやった方が楽しい。(しかもそれは、相手と一つのポジションを競うことと矛盾しない。)
先ほどは論理、と言いましたが、それは論理というより、春香にとっては理屈にするまでもない、ごく自然で当たり前な観念だったのではないか、と私には思われるのです。


この記事、書こうと思った時点ではもういくつか思いついたことがあった筈なんだけど、数日置いている間に忘れてしまったので、最後におまけとして、余計なちょっかいを少々。

いえ。もしそれでもなお、アニマスの中に自分の立ち位置を見つけられないならば、ここに立ち戻ればいいじゃないか、と。その筋立てもそうする必要性もよくわかるので、ただの言いがかりなんですけど。

わりと、2の春香で形作ってきた物語を、最後に無印の春香を持ち出してきて締められてしまうことに対してもにょっている印象のあるK_1155氏(サンプル1 サンプル2)として、その締め方はどーなんだ、と、最後のスクショを見て思わないではありませんでした(笑)。


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