近況報告的な⑵ あずさ


10月末に書いた記事の続き。もはや「近況」でもなんでもない件。





あずささんと言えば、おっとりとして天然なお姉さん。

本当にそうなのでしょうか?
いや、それは実際まったくその通りなのですが、しかし忘れてはいけないのは(というか、私自身がよくわからなくなっていたのが)彼女はテンポが周囲とずれているだけで、実はとても冷静な判断力を備えた人でもある、ということです。
だからあずささんの場合は、Pの側であれこれ指図せずとも、彼女に落ち着いて考えられるだけの時間と材料さえ与えてあげれば、独自に的確に判断を下すことができます。無印あずさコミュは、基本的にそういう展開になっていることが多い印象です。

特に重要なのは、彼女は、無印のアイマスキャラクターの中では非常に稀少な、自分で自分自身の性格資質を、きちんと把握できている人間だということです。
運命の人に見つけてもらうためにアイドルになった、とだけ言われると、この人は一体どんなお花畑の中で生きているんだ、という気がしてしまいますが、実際にはそれは、彼女なりに自分の向き不向きを分析して、おっとりしていて世間とはなかなかうまく付き合ってこられなかった自分が今後生きていくための、最善の道を考えた末の結論なのだと思います。

ここで、コミュから確認できる、あずさの現状と、これまでの人生とについての情報を、おおまかに確認しておきます。

現状について:
・短大を卒業、親元を離れて一人暮らしをしている。
・実家の両親はアイドル活動に反対で、たまに口喧嘩になる。特に母からは、早く結婚するようせっつかれている。
・最大の親友は友美。中学から短大まで一緒で、電話がかかってくると明け方まで話すことも。だが、最近はあまり会う機会もない模様。友美は既に就職していて仕事が忙しいらしく、また途中のコミュで結婚している。
・低ランクコミュで、アイドル活動が軌道に乗らなかった場合の身の振り方に言及することがある。(『ある日の風景1』。「デパートやコンビニで、店員をめざすのも、ひとつの道」と発言。このコミュではPの提案によって、事務所の仕事を手伝うことに)

これまでの人生について:
・2年教習所に通ったが、免許を取れなかった。(教官に「こんなニブい人、見たことない」と言われている。)乗り物酔いもする。
・よく痴漢に遭う。短大時代は友美が守ってくれていた。
・デートは1度しかしたことがない。告白されて、一日おつきあいしただけで「別れよう」と言われた。デート中は何もできず、ひたすら黙り込んでいた。

こうして見ると、彼女にとって、スピードの速い世間に合わせて生きていくのはそれだけで大変なことで、たぶん尋常に就活したり資格を取ったりして身を立てるのも難しかっただろうことが想像できます。
また、非常に重要な位置を占めているのが友美の存在で、これまでの人生においては友美が、そんなあずさと世間を橋渡しし、ガードしてくれる伴侶の役割を果たしていたこともわかります。友美が就職し結婚していくことは、単に同世代として先を越されてどうこう、というだけの問題ではなく、あずさにとっては、無二のパートナーから否応なしに離別して、なんとか生きていくための新しい方法を探し出さなければならないことを意味します。

上記2点から、友美に代わって世間との橋渡しをしてくれるパートナーを見つけることが、あずさにとっていかに切実な問題だったかがわかります。しかもそのパートナーは、今後何十年と歳を重ねていく人生を考えれば、友美のようにいつか離れざるを得ない存在ではなく、一生涯単位で連れ添える人物でなくてはなりませんし、これまでの経緯から、あずさとぴったり連れ添える人間がとても稀少であろうことも想像されます(少なくとも、あずさ自身はそう思っているでしょう)。

一方、あずさコミュに特徴的な出来事として、

・CDショップの店頭で微笑しているだけで人が群れ集まってくる
・熱狂的な親衛隊がいる
・よく痴漢に目をつけられる
・老人ホーム慰問で老人にプロポーズされる
・TV局のディレクターや男性タレントに言い寄られる

等々、とにかく容姿やちょっとした雰囲気だけで異性を惹き付けているエピソードが多いことが挙げられます。

やや脱線すると、私はこれが、無印アイマスコミュにおいて、ヴィジュアル特化型のアイドルに共通して見られる現象の一環だという気がしています。伊織や美希にも、立っているだけで男が群がってくる、とか、熱狂的な追っかけがいる、とか、道行く人が振り返る、とかいった、類似したエピソードが見られるからです。
ヴィジュアル特化型アイドルの能力は、一見するとヴォーカルやダンスに比べ、平常時にどう発揮されているかが見えづらいようですが、実際にはこのように、コミュの中では撮影時やステージ上でのアピールに留まらず、純粋に容姿で異性を惹き付ける能力そのものにおいて、明確に他のアイドルから際立てられていると思われるのです。(※1,2)

※1 では、いま一人のヴィジュアル特化型である雪歩はどうなのか。そしてヴィジュアル特化型ではないアイドルでそういう現象は存在しないのか。という点については、また別項で。 
※2 765プロのアイドルに、容姿についての自己評価が低い子が多い現象は、コミュ上ではこのようにヴィジュアル特化型のアイドルが差別化されていることと、連動しているのかもしれません。 

ともあれ、水着での仕事を恥ずかしがったり、なんでこんなに言い寄られるのかわからない、と言ったりするあずさは、必ずしもそのような自分のヴィジュアル能力を意識的にコントロールできているわけではありませんが、自分が異性からそのように見られやすい存在であることは、自覚しています。
そうした自分の武器を生かせ、かつ多様な人と巡り会う可能性の大きい仕事、と考えたとき、アイドルという道を選ぶのは、あずさにとってとても合理的な選択肢であることがわかるでしょう。

シナリオを通して見てみて、印象的なのは、最初のミーティング時にあずささんが言った、「5年後」という時間です。
私でも5年くらい時間をかければ、という発言は、一見するとなんてのんびりやさんなんだ、としか思えませんでした。けれども、すでに学校を出て、頼れるもののない一人暮らし、手に職があるわけでもない彼女にとっての、20代も後半にさしかかっている5年後、というもの。そして、彼女がこれまで述べてきたような人生を送ってきたことを考えれば、それはとても重い言葉です。
おそらくは、それくらい腰を据えてじっくりやらなければ自分はものにならないし、それだけ腰を据えてやるつもりでここに来ているのだ、という覚悟が、そこには籠っているからです。

他のアイドルが、ユメやキボーやアシタのアタシを追って事務所に来ている中で、あずさだけが本気で、人生を見据えた選択肢としてアイドルを志している。だからこそ、彼女が最後に何をもっとも優先すべきこと、自分に必要なものとして選ぶか、という選択にも納得がいきます。
高ランクのあずさは、しばしばファンよりも一人のPを向きながら仕事していることを隠しません。が、もちろん彼女は、決してアイドルとしての仕事に生き甲斐を見出だしていないわけではないし、真剣に打ち込んでいないわけでもありません。それは彼女にとって、生涯を賭けての選択であって、歌や仕事と恋愛のどちらがより好きか、というような優劣や好悪の問題ではないのです。

一方で逆に、シナリオで描かれているあずささんの、足取りの確かさを見てくると、たとえ現在のアイドル活動や想い人との関係が不首尾に終わったとしても、あずささんはそれで崩れることなく歩む道を見つけられるんじゃないかな、という気がして、私としては低ランクのあずささんにも高ランクのあずささんにも、きっと彼女はこの先も大丈夫なんじゃないか、という納得感、安心感があった、あずさシナリオ復習でした。(※3)

※3 あずささん、子供好きで童謡や子守唄が大得意だったりするので、保母さんとか天職じゃないか、と思うんですが、どうでしょ。やっぱり資格が取れなかったのかな。


あといくつか、ここまでの文章で入らなかった細かいネタについて。

・迷子について
ときどき指摘されることですが、無印のあずささんに、時間通りに所定の場所に来ない、というエピソードはほとんど見られません。そして、その原因が道に迷ったことだと確実に言えるのは、私が見た限りでは初対面のシーンだけです。
初対面でのあずささんは、確かに「右だったような、左だったような」と迷い、「どうして、私、いつまでたっても、道をおぼえられないのでしょう。」と言っています。
けれども、後々までのシナリオ全体を通してみるとそれは、これまで述べてきたようなあずささんの性格と別個に「方向音痴」という特殊な属性が備わっている、というよりは、どうにもテンポが世の中とずれてしまう、ものごとを習得するのに人一倍時間を掛けなければならない、という一貫した性格が、この場合にはこういう形で表れているだけのように思えます。
そういう意味では、初対面の迷子エピソードには、本当は単に方向音痴であるよりもずっと深刻で根本的な問題の一端が、すでに姿を見せているのだと思います。
このように、初対面時にたまたまクローズアップされているエピソードが強く印象づけられて、後々までキャラクターイメージを大きく規定している例は、他のアイドルでも観察できるでしょう。

・あずさボケとあずさジョークのあいだ
あずささんは結構いたずら好きなので、天然ボケと見えるものが、実は意図的なジョークであることがたまにあります。そうは言っても、なぜ事務所に来たのかと聞かれて真剣に出勤するまでの道のりを話し始める人ではあるので、本当にボケていることの方が多いのですが、自分の発言のほとんどが人から見るとボケであることをわかった上でそういう遊びを仕掛けてくるから、一筋縄ではいかないのです。
頭がよく回って会話が面白いアイドルは他にもいますが、自分のキャラクターそのものを把握し計算に入れて、婉曲的に意思表明したり誘導したりして言葉での駆け引きを仕掛けてくる感覚は、あずさコミュにしかないものだと思います。


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