思考を止めないこと、議論をやめないこと


 アイマス2関連の言説を観察しながら思うことなど。自分の思っていることが人に見せられるほどまとまっているのかどうか、なかなか見極めがつかなくて、何を書くべきか判断に迷いますね。いつも以上に読みにくい気もしますが、記事の意図を汲んで許容していただければ。


 たとえば「発売されてもいないのに前情報だけで騒いだり憶測したりするのは好ましくない。落ち着いて発売を待って評価すべき」という意見は、ゲームに対する受け手の態度として正しいし、事態をなるべくアイマスにとって良い方向に誘導しようという意思から発しているという意味で良識的である。
 ただし注意しなければならないことは、大多数のアイマスファンにとって、アイマスはただゲーム単体とファン個人の関係だけで捉えられるものではなく、ファン同士の横のつながりや作り手との縦のつながりも含めた一つのコミュニティの中での問題として意識されているということである。
 そもそも「もっと落ち着くべき」とか「前情報だけでの批判は不当」という意見を周囲に向かって発信しなければと発信者が感じていること自体、コミュニティ内での意見集約が必要だと考えている(または受け手側の行動がゲームの将来に影響を及ぼし得ると考えている)という点でコミュニティの存在とその価値を前提としたものである。

 そのようにアイマス2がゲームー個人間の関係に留まらず、コミュニティ全体のものとして捉えられる問題である以上、たとえゲーム自体が未だ存在しなくとも、考えておくべきことはあると私は思っている。アイマス2が実際に発売された後、改めてアイマス2に対してどのような態度を取るべきか議論しようとしても、その時には前提となる条件が既に変わっているからである。
 たとえばアイマス2が実際にプレイ可能となれば、2で初めてアイマスを体験して「女のアイドルとかキモくていらないけど、ジュピターがかっこいいからプレイしてる」とか「アイマス2大好き。でもライバル制じゃない無印はつまんなそうだからやらない」という人も当然出てき得る。今我々は無印アイマス(アケマス)がアイマスの根幹を成していることを当然の前提として議論している(いや実際にはSPからもDSからも新規に入った人がいる訳だが)。だが、アイマス2が実際に存在するようになれば、無印アイマスの存在すら前提条件としない人がコミュニティの一部となることになる。まあ別に、そんな奴は本物のアイマスファンじゃない、というところで思考を止めるのも個人の自由なのだが。
 要するにコミュニティ全体を見渡した時、アイマス2が現実に存在しないからこそ共有できる条件もあるし、そうした状況のうちにこそ考えておくべき問題もあるのではないか、ということ。たとえ「未来のアイマス2」に対して今の時点で建設的な議論が行ないにくいとしても、今現在コミュニティにいる人が「これまでのアイマス」について振り返って考えてみるのは有益だよね。

 あるいはゲームの作り手に対して批判したり、抗議文や署名という形で受け手がアクションを起こすことに対して。私はそうした行動は全面的に許容されるべきだと考えている。もっとも私はそのような行動が、作り手の製作方針に影響を与え得るかという点でも、与えたとしてそれが最終的にゲームに対する受け手の満足を向上させる結果につながるかどうかという点でも、悲観的であるが、それでもなお私はその行動を肯定する。
 私はアイマスに関わるものによってコミュニティが形成されていると考え、そのコミュニティ内での互いの関係性もアイマスの魅力の一部と考えているが、現在そのコミュニティは、見る者によっては分裂・崩壊しかけているとも取りうる状況にある。そうした状況にあって、かつ作り手側の行動によって状況が修復されることが望み薄な以上、コミュニティの修復は受け手側の何らかのアクションによってしか起こりえないと思うからである。不満があるのに、ただ自分の中にその不満を貯めているだけでは、表面的な騒動は収まっても事態が解決したことにはならない。

 これは論理的結論というより単なる自分の信念であるが、とにかく私は、意見の異なる集団が存在する時、相互の理解はそれぞれが自己の意見をはっきりと表明し、議論しあうことでしか成し得ない(議論によって相互の意見が一致するようになるという意味ではない)、従ってなるべく多くの人がその内容に関わらず自己の意見を表明すべきで、それに対して納得しない人もはっきり反論を行っていくべきと考えている。
 だから私は、「ゲームが発売するまで落ち着いて待つべき」という主張も存在すべきと認めるが、そこから「ゲームや作り手に対して批判を行うべきではない」という結論を出すのは間違っていると断言する。
 当然ながら、ここでいう意見表明の中に、荒らしや、公式や特定個人・特定集団に対する攻撃行動(物理的なものから精神的なものまでを含む)は含まれない。それらは排除されるべきものである。なぜなら、荒らしや攻撃行動はどんな騒動に対してもまったく同じ形で起こる性格の行為であって、アイマス固有の問題に対して自己固有の意見を表明するものではないからである。

 まったくの蛇足ながら、議論する・相手に対して反論する、ということを行う際に留意すべきことを確認しておく。人間は自分で認識している以上に、相手の意見の中から自分に都合のいい部分しか受け取れないものである。それは人間に人格がある以上どうにもならないことなのだが、だからこそ異なる意見の人に対する時には、相手の意見を相手の意図通りに解釈する努力を怠るべきではない。
 人間が何かを相手に伝えたいと思って言葉で主張する以上、どれだけ感情的で支離滅裂に見える言葉であってもそれなりの論理と主張するに至った文脈が含まれているし、どれだけ論理的に見える言葉にも感情的で主観的な自己が投影されている。
 自分の思いと異なる意見を聞かされると、普通の人間は(少なくとも私の場合は)生理的に不快感、怒りを感じるはずである。しかし、そこで相手の意見がどのような文脈と論理に基づいて発せられたかを読み取れず、自分の反駁のどこまでが理性的でどこまでが感情的・反射的行動であるかを内省できないと、コミュニケーションは論理と思想のやりとりにならず、単なる感情的憎悪の向け合いとなる。それは更なる感情的反論や、アンチ・愉快犯による荒らしを呼び寄せて、ひたすら憎悪というノイズだけを増幅させていくことになる。
 よーするに、(前にもどっかで書いたけど)相手の立場になりきるのは不可能だけど、なりきる努力だけはしてみようね、というだけの話。

 ま、そんなわけで私は、どんな形であれ、なるべく多くの議論がアイマス2に対して行われてほしいと思っている。まあ言わなくてもみんなやってるんだけどさ。
 しかしそういう私自身は自分の殻に閉じ籠もって、しゃべりたいことだけをしゃべっているのである。これは自己矛盾だけど、自分がやりたいことと他人にやってほしいことは違うものだよね、と一般論化して誤摩化しておこう

議論する時の留意点の追記:情報の受け手側のことに話を絞ったんだけど、情報を発信する側も、誤解されやすかったり誰かの感情を逆撫でしてしまったりする言動はしない方がベターなのは無論のこと。でも、今そういう過激な言動に出てしまう人は、それだけ精神的な動揺が大きく、やむにやまれずやっているわけで、そういう部分まで含めて「相手の文脈を読む」のがこういう時は大事なんじゃないかと。


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No title

自分の中で、小町の件はSPで美希を静観と称して見殺しにした結果なのではという罪悪感があります。

Re: No title


 コメントありがとうございます。私自身、SPの時点ではアイマスをプレイしたことすらなかったので、何も大きなことを言える身ではないのですが。そして今回プロデュースできない4人のことも勿論大好きで、大きなショックではあるのですが、一番好きな春香がプロデュースできる、という安全な位置にいることで、律子、伊織、あずささん、亜美、そしてかつての美希と、そのファンに対する後ろめたさは私にもあります。
 ただ、見殺しにしないという事の意味が、バンナムに対して修正を求める行動をする、ということであれば、他の方も書かれているようにそうした行動はアイマスのブランドイメージを下げて販売数が減少し、より状況が悪化する、等のリスクを含んでいますし、誰かが音頭をとらなければ一人では始めにくいものでもあります。SPの時は、ハードが違うこともありますし、Xboxで後継作が出る時は当然無印と同じ方向性になるものとほとんどの人が信じていたわけですから、それまでの間だけ我慢しようと考えるのもその時点では無理からぬことだったと思います。
 SPで移籍させられた美希のこと、あるいはSPやL4Uで大きなショックを受けて苦しんだ人たちのことは絶対に忘れるべきではありませんが、今自分を責めてもそれで事態が好転するわけではないのですから、その人たちのことを心に刻みながら、今自分に出来る、一番正しいと思えることをしていくしかないのかな、と私は思っています。
 もちろん、何が自分に取って一番正しいかを見つけることもまたとても難しいのですが。だからこそ、様々な人がアイマスについて悩んで発言している今は、悲しいこともたくさん起こっていますが、感情的な対立をうまく排除して互いの思いを受け取れるようになれば、新しい道を見つけ出すきっかけにもなり得ると思っています。
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