最近気になったMMDドラマ(えこひいきあり)


「MMDドラマ」というタグは、大百科もあって、今検索したら2581件の動画についているようで、ひとつのジャンルを表わすタグとして機能しているようです。
ただ、現在の「MikuMikuDance」タグ動画数88823件に対して2600件弱、というこの数字は、「アイドルマスター」タグ200059件に対して「NovelsM@ster」が28956件、「im@s架空戦記シリーズ」が26976件あったりするのを考えるといかにも少なく、MMDのストーリー作品全体をカバーしているのではないだろうな、という気がします。そこらへん、門外漢なので他にどういうタグがあってどう棲み分けているのかなどはよくわかりません。

で、この「MMDドラマ」のうち「アイドルマスター」タグを持つものは126件で、これまたタグの全数に比べるといかにも小さく感じます。これにはいくつか事情があると思われます。
ひとつは、ニコマスの場合には、元々あったノベマスや架空戦記からMMDを導入/移行する、という流れが大きな要素として存在していて、そういう、ニコマスのテキスト系動画の中から生まれてきたMMD動画を、このタグはあまりカバーしていない、ということ。
もうひとつは、MMDには「MMDオールスター」なんて概念が存在するくらいで、アイマスを特別にフューチャーした作品でなくとも、「ニコニコ動画」あるいは「御三家」の一員として、アイマスキャラクターが1人2人出ているMMD動画は少なくありませんが、そういう動画には必ずしも「アイドルマスター」タグがついているとは限らない、ということ。
本当のところは、初音ミクなどに比べればMMDでアイマスモデルが使用されている範囲はまだまだ狭い、というようなこともあるのかもしれませんが、それはこのタグだけ見ていてもよくわからない、ということで。

そういうわけで、この記事では「MMDドラマ」「アイドルマスター」タグを持つ動画で、気になったものをいくつかピックアップして載せていますが、この二つのタグの重なるところだけを見て、何かの動向がはっきりわかるというと、特にそういうことはないわけです。
ただ、興味深いタネは拾えるでしょう。ノベマスでも、再生数は多いけれどもニコマスブログや20選のような場所では話題に上らない動画、逆に埋もれていると言って差し支えない再生数なのに私の周りの人は皆知っている動画などあったりしますが、たとえばこの「アイドルマスター」の「MMDドラマ」という動画の世界は、「ニコマス」と「MMD」という世界の境界線上で、それぞれどういう層の人が見ているのだろう、なんてこととか。






レイノアレP 【MMD】ペルソナM プロローグ 転校初日 その3(放課後)【ペルソナ】 (11年01月04日)

レイノアレP ペルソナM 3 3:53

初音ミクを主人公に、ゲーム『ペルソナ』のストーリーをMMD動画化したもの。初出は10年07月31日投稿の【第5回MMD杯予選】ペルソナM 夏祭り編【MMD】で、10年11月14日投稿の【MMD】ペルソナM プロローグ【ペルソナ】からシリーズ化。

スクショでもわかりますが、ニコ動のいろんなキャラクターが出ている動画で、アイマスキャラクターとしては春香が唯一の出演。春香が出番の回だけ「アイドルマスター」タグがついています。作者は09年末からMMD作者として活動している人で、ホメ春香、ののワさんを出したことはありますが、アイドルを動画に登場させたのは、たぶんこのシリーズが初。
いろんな出自のキャラクターが一堂に会しているMMD動画を見ていて思うのは、こういう世界というのは、ルパン対ホームズや勝新対三船のようなもので、一人一人のキャラクターにそれほど下手な真似はさせられないわけです。汚れ役を任せられるキャラクター、どんな役回りでも引き受けてくれる立ち位置のキャラクターが、いかに重宝な存在か、ということがよくわかります。

さて、スクショのシーンの春香さんの台詞は、ニコマス的には説明するまでもないネタですが、知らない人にはただ台詞を噛んでいるようにしか見えないわけです。実際この動画のコメントを見ていると、ニコマス的なネタを知らない人がたくさん、このシリーズを見ていることがわかります。
この世界の春香さんは、メインヒロインでもなければ、見ている人たちが彼女の "プロデューサー" や "ファン" であるわけでもない。そういう、"みんなまとめてアイドルマスター" の壷の中ではない世界であっても、春香さんは春香さんとして立派にやっていて、必要な存在として認められ、人々を楽しませているんだ、ということ。
ただ、もちろんそれは、ニコマスと関わりのないことではありません。このシリーズの春香さんは、踏んだり蹴ったりな目にあっても平気そうだったり、気さくにミクさんを案内したり、あっけらかんとして悩みなんかなさそうなキャラクターです。そういうあっけらかんとしたキャラクターは、MMDの春香さんに珍しくありませんが、春香さんがこの世界で、そういうキャラクターとして当たり前のように立っていられるのは、ニコマスがそう在れるように春香さんを育ててきたからこそなんだ、ということですね。


扇子P 【アイマス】学園SF「暁の光芒」【MMD】 (11年03月20日~12月03日完結) 

扇子P 暁の光芒 初回 0:37

「アイマスSP+αな世界でアイドルが国営放送っぽい放送局のドラマに出演」という設定で、律子、伊織が主演級の、学園もののSF作品。
扇子Pは09年5月の第1回MMD紙芝居選手権以来、MMDによるストーリー作者として活動している人。アイマスキャラクターによる作品は、10年12月29日に投稿された、本シリーズの予告編【アイマス】営業 ドラマ番宣 【MMD】が初。本シリーズの他、同じくMMDアイマスモデルによるTV番組風の作品である、水瀬伊織の今日の一冊(11年05月01日~)シリーズも手がけています。

オールMMDによるSFドラマというコンセプトは、投稿時、アイマスストーリー動画の中で特異な存在感を放っていて、知る人ぞ知るというか、再生数のわりに知っている人は皆知っている感じの動画である気がします。
”ジュブナイルの雰囲気” "昔見たドラマの雰囲気" という、形のないものを醸し出すために、何気ないひとつひとつの表情や仕草、カメラワーク、台詞表示のテンポ、音楽の選択といった細部に神経を行き届かせ、丹精を籠めた動画で、視聴するごとに忘れがたい余韻が残ります。
本作に比べ、より派手で巧緻なモーション、より新しいオブジェクトとエフェクトを駆使したより美麗でリアリティを感じさせる絵作り、といったものは、アイマスのMMDストーリー作品の中だけでも既に存在していますし、今後も出現していくでしょう。けれども、そうした発達によって上書きされることのない表現に、その時点の素材・技術を用いて到達している作品と言えましょう。


扇子P 暁の光芒 初回 8:25

↑本棚を覗く春香を、棚の向こう側から写したショット。こういう構図の工夫が、この動画では随所に見られる。
春香さんは本作ではほんの脇役なのに、わざわざスクショに春香さんのシーンを選んだのは、単に静止画でカメラワークの秀逸さがわかるシーンを選ぼうとして悩んだ結果であって、決してえこひいきではありません。
図書室にアイドルという組み合わせって、それだけで胸がときめきますよね。


扇子P 暁の光芒 第三回 9:31

↑主役二人+佐野美心の会話シーン。律っちゃんのじみーな色の私服がいい。美心さんから遠い位置にいるいおりんは、微妙に身を乗り出している。


SOPA氏 【MMD】ケロリン町の異常 11年06月06日

SOPA氏 ケロリン町 1:22

激しい肉弾格闘戦を繰り広げる春香と美希。
対戦格闘ゲーム『THE KING OF FIGHTERS』の技を再現している、ということのようですが、私は格ゲーに疎いので、細かいことはよくわかりません。
SOPA氏は10年8月から活動しているMMD作者。アイドルが格闘するシリーズは本作に始まって【MMD】三味線(11年06月21日)、【第7回MMD杯本選】FIGHTM@STER 前篇!!(11年08月19日)と続き、これらはストーリー的にも連続しています。

剣術にプロレスに相撲と、3Dでアイドルによる武術・格闘を表現したアイマス動画は他にもあるとは言え、格ゲーのオーバーなアクションを次々に繰り出して、豪快に吹っ飛ばされたり叩きつけられたりしながら平然としているアイドルたちの姿には、新鮮なインパクトを感じました。時に著しく顔を歪めて表わされるワイルドな怒りや笑いの表情も、アイマス動画の表情づけとしてはあまり見かけない感覚のもので、アイドルはこういう表現だってできるんだなあと、興味深いものがあります。


Red12yenP 【オリジナル架空戦記】はるトップ 塔編 塔1階【MMD】 (11年06月22日~12年08月10日第一部完結)

Red12yenP はるトップ 1  2:15

Red12yenPのデビュー作。タイトルは『はるやよたかがトップを目指します』の略称で、その名の通り、春香、やよい、貴音が塔のてっぺんを目指すのです。なぜ目指すのかというと、てっぺんにある宝物をゲットするとトップアイドルになれるらしいのです。というお話から始まるシリーズ。

「昔のアニメの悪役と手下みたいなノリだな」と動画内のコメントにある通り、コミカルなノリの横溢した動画でありまして、そのノリの中心にいるのは、言うまでもなく春香さんです。塔にやってくる前は、街頭でティッシュ配りをしていたというこの春香さんがまた、実にあっけらかんとして楽しげなキャラクターで、実によく動き、ころころ表情を変え、しょっちゅうドジを踏みます。

2階:ルシフェルさんとイーノックさん
3階:ミクさんハク姉さんKAITO兄さんの御一行
4階:レア様御一行

と、各階にアイドルに試練を与える番人が配置されていて、はるやよたかが彼らと何らかの勝負をして先に進む、というのが基本的な筋になっています。(ちなみに、私はこの動画から大百科を見て、初めてレア様がどういう出自のキャラクターなのか把握しました。)
様々なエフェクトを駆使して壮麗な戦闘シーンを描き出しながら、ノリはあくまでドタバタコメディ、という、エンターテイメント度満点の作品です。

ちなみに、春香さんは主人公であり、話をひっぱっていくリーダーではありますが、この「塔編」では、戦闘中はもっぱらコミックリリーフに専念していて、ろくに活躍しないし、ろくな目に合いません(笑)。戦力的にも見せ場的にも、中核的な部分はだいたい他のキャラクターが担っています。でも、めちゃくちゃ可愛いから問題ないね、と思っていたら、エピローグのシリアスな春香さんにきゅんと来ました。やられた。


Red12yenP はるトップ 2ー2 2:41

戦闘シーンのアイドル。魔法少女やよいさん。


Red12yenP はるトップ 2ー2 4:08

戦闘シーンの春香さん。だいたいいつもこんな感じ(笑)。
貴音には着物がよく似合う。


Red12yenP はるトップ 予告 0:43

第二部予告編より。
当然ながら、背景のマップも個人が製作して公開しているものだそうで。
かつてファンタジーを動画化しようとした架空戦記作者たちが、脳裏に思い描きながら、紙芝居あるいはプレイ動画を利用して表現するしかなかった世界を、個人製作の範囲内で、直接構築できるようになったんだなあ、と思うと感慨深いものがあります。同時に、そういうものが発達する前に、テキスト系動画というものが独自の発達をする様を見ることができて、良かったなあ、とも。


おほP relations if 「魔王」 新章 第一話 (11年12月23日~) 
おほP 魔王 relations if 新1章 9:18

おほPは、元々~765け~第0話 はじまりはじまり(10年07月22日)でノベマスPとしてデビューした人で、10年11月23日から連載したrelation if 「魔王」以降、魔王動画を手がけています。本作は、シリーズの章を改めるに際して、MMDを全面的に導入してMMDドラマ化したもの。

昨今は、魔王エンジェルはニコマスにもMMDにも深く浸透した一方、”魔王クラスタ” というコミュニティ自体は、固定化して輪郭がはっきりしたものになった気がしますが、そういうわけで魔王については濃い人がいろいろ居るので、当ブログ的には頑張って追う必要もないか、という感じです。


ままわP 【MMD】片足では立てないののワさん 12年06月10日

ままわPは、【ノベマス】ののワイドルマスター 第一話(12年03月14日)でノベマスPとしてデビュー。『ののワイドルマスター』は、初めは事務所にののワさんがやってきて住み着いたというだけのコンセプトで、ここからどう話をふくらませていくのだろうと思っていたら、日刊更新であれよあれよという間に動画が増えていって、クリーチャーばかり暮らしている里なんて出てきたりして、3ヶ月で78話まで到達して完結したという、あまり類を見ない経過を辿った作品。
この他、ノベマス連載も他にいくつかあり、手描きの紙芝居もやり、フォークソングに合わせたショートストーリー風のMMDも手がけ、という、一言でまとめがたい活動をしている人。全体を通じての共通点は、ののワさんを筆頭にクリーチャーたちを大いに愛好していることと、投稿ペースがやたらと早いこと。

『片足では立てないののワさん』は、長女:春香さん、次女:ホメ春香さん、三女:ののワさん(推定)の、「天海家三姉妹の平凡な日常を淡々と描く」ショートストーリーの、【MMD】バトルドームが紡ぐ絆(12年06月09日)に続く2作目。再生数的には、この作者のもっともメジャーなシリーズということになるでしょう。
三姉妹ではありますが、3人の役割は、みなみけ三姉妹というよりも、アニメの『サザエさん』におけるサザエ・カツオ・タラのポジション、という感じでしょうか。まあ、春香さんはサザエさんよりだいぶ若々しいですが……と言ったらサザエさんに失礼か。
ともあれ、3人が楽しそうで仲良しで可愛くて、それ以上の何が必要だろう、という、幸せな動画です。


ままわP 片足 0:04

美人姉妹である。


ままわP 片足 0:59

「春香お姉様」というよりは「春香姉さん」ですね、やっぱり。


家鴨と猫氏 【MMD】ともみのグルメ第1話【ドラマ】 12年06月30日

ともみのグルメ 1 0:15

家鴨と猫氏、デビュー作。久住昌之『孤独のグルメ』の翻案。現在3作ある同氏のMMD作品のうち、2作がこのシリーズ。
現在のところ、アイマスキャラクターは主人公の三条ともみのみで、店員や客などその他の登場人物には様々な作品のキャラクターが使用されています。

この動画を見てて思うのは、美少女とか、奇抜な悪役やヒーロー、不気味なクリーチャーなんてものは、真っ先にMMD化されやすい、MMD世界においてはありふれた存在であって、むしろ道行く平凡なサラリーマン、とか商店街の普通のおばちゃん、なんてものの方が、モデル化されにくい稀少な存在であるわけです。
だから、ドーナツ屋の店内がゴツいおっさんのヒーローで溢れている、なんて光景は、単体で絵面を見ると珍奇ですが、MMDの世界においてはむしろ日常的な光景であり、素材の性質上そうせざるを得なかった結果の光景でもあり得ます。
素材の特性と限界の中で原作のエッセンスをどう表わすか、という点において、MMDにおいてもMAD的な発想は必要であって(一から自分で全部作ろうとしない限り)、それが十全に発揮されているのがこの作品だと言えるでしょう。

MADとしての、題材と素材の取り合わせ、移し替えの妙と、その中で表現されている原作の味わい。そういった翻案作品としての面白さに加えて、原作にない魅力を加えているのが、三条ともみの存在です。
道を歩くともみさんの物憂い佇まい、ごはんを食べるともみさんの表情や仕草のひとつひとつが可愛らしくて、見ているだけで楽しいわけで。こーいうの楽しさを同時に味わえるのは、アイドルが主人公の動画ならでは、ということですね。

魔王エンジェルは、元々MMD動画を中心に発達してきたせいか、しばしば単独で、他のアイマスキャラクターの出ていないMMD動画に出ているところを見かけます。魔王の3人だけでなく、白い子と黒い子のどっちだったかが単体で出ている動画も見たことがある気がしますが、先述の通り、当ブログでは魔王エンジェル関連は頑張らなくていいや、ということで特に載せていません。


ともみのグルメ 1 0:30

場末の街を行くともみさん。この顔立ちに上品な服装では、あんまりそういうところは似つかわしくない気もするが、なんとなくしっくりと馴染んでしまう存在感。


ともみのグルメ 1 5:52

1話の店内。この店の客層、というか、この作品のモブの登場人物は、だいたいみんなこんな感じ。


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