ゆめのはじまり


焼き肉P ゲームセンターCX 春香の挑戦 ワルキューレの伝説 Part5 12年06月08日



見た! というだけの話ですが、上記動画のネタバレを含むので格納。



「この番組はあくまで私がゲームを自然にプレイするだけの番組であってですね」
「こう、意図的に感動的なモノにするテクニックは私にはまったくないんですが」
「まぁ、頑張ります」

(焼き肉P『ゲームセンターCX 春香の挑戦 ワルキューレの伝説 Part5』より)


それはまあ、話が春香さんのアイドル活動だとか人生だとかに及べば、私にも言いたいことはあるわけですが、ここまで来たらもう、野暮なことは言いっこなし、ということで。

私は、テキスト系動画根性論、とでも言うべき観念を持っています。テキスト系シリーズ作品根性論、と言った方がより適当でしょうか。
たとえば、この物語にどのようなエンディングを与えたいか、とか、どんな言葉や思想をこの物語の中核に据えたいか、という時に、世の中にそれほど無尽蔵なパターンが存在するものではないわけで。では、そこだけ取り出せば何の変哲もないかもしれない、ひとつひとつの物語の核心部分に、いかにしてその物語だけにしかない説得力を与えるのか、ということ。
もちろんそこで、精緻を極めた演出技術が、とか、驚くべき練り込まれたシナリオ展開が、とか、ぎりぎりまで削り磨き上げられた言葉が、とかいった要素はあります。ありますが、同時にたぶん、それらを限界まで尽くしても、どうにも表せないナニカを、作者が、ひいては物語が表現したがっている時が、確かにあると思うのです。
その時、何がそれを成し遂げさせるかと言えば、結局それは作者の持つ熱量であり、作品が積み上げた時間の厚みであり、そういうスマートでも合理的でもない、なにかとても馬鹿馬鹿しい力だけである、と私は思っているわけです。
(念のために書いておきますが、熱意があれば技術はいらないという意味ではないし、技術と熱意が両方あれば必ず物語はうまくいく、という意味でもありません。)

さて、焼き肉Pの『ゲームセンターCX 春香の挑戦』が、最終回を迎えました。
どんな最終回だったかと言うならば、たとえばそれは、ラストシーンでふたり並んだ春香と伊織の笑顔、そこに全てが集約されているよね、という言い方ができるかもしれません。この物語を追いかけてきた者にとって、それ以上の言葉が必要だろうか、と。
けれども、ならばそのシーンから、言葉で表現された以上の、言葉で形容できる以上の何物かを、読者が感じ取ることができたとするならば、その源泉はなんなのでしょう、と問われたとすれば。私にも、その問いに十全に解答することはできません。ただ、たぶんその答えには、アイマスの世界で物語るという行為の意味に直結するものが含まれているのだろうと、私は思います。

で、ある意味で私にとって、動画のラストシーンや番組のラストシーン以上に、印象的で象徴的に感じられた場面がありました。それは、時間切れを目前にしての最終挑戦、最後のコンティニュー後、ラスボス第二形態との対戦を前にして、春香さんが語った台詞です。

「はぁ~……緊張してきた」
「知ってますか、これ、別に最終回だから緊張してるとかじゃなくて」
「私は毎回これを味わっているんですよ」

知ってますか。
私は知りませんでした。

直接的には、4年5ヶ月、134回にも渡って描かれた『ゲームセンターCX 春香の挑戦』という作品は一体なんなのだろう、と考えるときに。
より一般的にはたとえば、春香は最初からアイドルになるのが夢だからね、春香はプロデューサーさんが好きだからね、の一言で通り過ぎることもできる、春香にとっての夢が叶うということ、あるいは春香が人を想うということを考えるときに。
よりシンプルには、たとえばアイドルであるということの意味、を考える時に。

その答えを探すための、この物語の、この形でしか示せない糸口が、この言葉には宿っています。
そしてそれは、もし作者がこのように、あえて形にして記さなければ、誰にも(少なくとも私には)気づかれなかったものかもしれません。しかし、たとえそうであったとしても、やはりそれは『ゲームセンターCX 春香の挑戦』という作品の中に確かに宿っていたのです。

まあ、何はともあれ。
この物語が生み出され、それに私が巡り会い、この瞬間に立ち会えたことを感謝します。



関連記事
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

Vinegar56%

Author:Vinegar56%

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
カテゴリ
月別アーカイブ
全記事一覧

全ての記事を表示する

検索フォーム
リンク
FC2カウンター
FC2カウンター
現在の閲覧者数: