あずささんがどこかに行ったり行かなかったり(後)


twitterで思いつくままに挙げたあずささんノベマスを並べた記事。
なんとなくスクショを入れたら、長くなったので分割。後編です。

前編はこちら



ここから、恋愛ものをいくつか。

おしるP 【Novelsm@ster】幸せの隣に (10/2/23)
おしるP 幸せの隣に 0:22 縮小


極論してしまえば、あずささんの恋愛に焦点を当てた動画は、だいたい「ほのぼの幸せコース」か「隣に=未亡人コース」のどちらかに収まるわけで、それを踏まえた上での「幸せ」の「隣に」というタイトル。
導き出す結論に変わりはないが、そこには文脈の重みを踏まえた上での力強い肯定がある。おしるPというPの目線である。


覆面作家P あずささん、一緒に迷いましょう (10/2/28)
覆面作家P あずささん、一緒に迷いましょう 0:22 縮小

覆面作家Pデビュー初期の作品。のちの文章技巧を凝らした作風と比較すれば、ある種武骨とも言える空気を纏っている(と言って、この作品には技術がないということではなく、台詞枠の制限を咀嚼した短文での表現は、やはり非凡なものなのだが)が、それだけまっすぐな強靭さもある動画。


寿司P 【NovelsM@ster】Same Time, Next Year 【短編】 (10/4/27)
寿司P あずさ Same time, Next year 1:49 縮小

twitterで流した際には意図的に取り上げなかった系統の動画であるが、代表例として一つ。
あずささんを用いて死別の物語を描くことの一つの目的は、本動画が「踊る立ち絵」を駆使して体現したような、一種孤高・寂寥の美を表現することにあろうし、アイマス各衣装の象徴性を利用して、説明を省いた表現に成功した結末も巧みである。


憂鬱P 【NovelsM@ster】あずささんには敵わない【Pの憂鬱外伝】
憂鬱P あずささんには敵わない 0:27 縮小

これは憂鬱Pの看板連載、『Pの憂鬱』の世界観に属する動画であり、登場人物には『Pの憂鬱』と共通したキャラクターづけが行われている。
しかし、中核部分は、独立した一つの短編として読んでも違和感ない内容であろう。能動的でありながらしかもトボケた行動によって生み出される距離感は、カップリングものの項で述べたあずささんの用い方と相通じるものがある。
そしてそういう、普段のコメディから切り離して完全にいい話としてまとめてしまうことも可能なエッセンスを、あくまで『Pの憂鬱』の世界観とキャラクターの中で表現するのが、憂鬱PというノベマスPである。


愛識P 愛m@s 366日午前零時 (09/9/28)
愛識P 愛m@s366時 あずさ 5:22 縮小

「iM@sShortFestival」第三回(お題:「箱」)の参加作にして、『愛m@s』シリーズの1作。
ちょっと自分の中での位置づけが難しくて、これもtwitterでは出さなかった。愛識Pは私にとって、語るべきこと非常に多いPであって、それ故にこれまでのところ、結果としてはほとんど何も語れていない。
11年2月まで続いた愛識Pの作品の変遷を知った後この動画を見返して驚くのは、このPの作家として、文章家として、ストーリーテラーとしての上手さが、実に素直に表れている点である。愛識Pが書き手としても読み手としても、完成度やわかりやすさよりも、突き抜けたりひねくれたりした個性を尊ぶ人であったことを思うと、それはなかなか興味深いことなのだ。
おそらく愛識P作品としてもっとも、尖鋭性よりも完成度を志向した動画と思われる愛m@s 2番目の贈り物(09/2/1)に連続した世界観を本作が用いたこと(『愛m@s』シリーズ全体はオムニバス形式であって、各動画は必ずしも世界観・ストーリーが連続しない)、『愛m@s』シリーズのいくつかにおいて、従来の作品より直截的に原作ストーリーの読み込みを反映したと思しい兆候が認められること、平常の愛識Pにとって必ずしも得意で関心の深いキャラクターではないと思われるあずささんに焦点を当てたこと、などが要因として指摘できよう。しかし、それはさらに、そのようなコンセプトの動画を作らさしめた、愛識Pのこの当時の心境への私の興味をかきたてる。
ともあれ、低ランクEDを迎えたアイドルとPのその後という、アイマス世界を考える上での重要なテーマに対して、作者の性向と技量、この時期の・この動画ならではの要素が噛み合って生まれた、重みのある結実と感じる。


最後に、複数人の絡みの中で、あずささんが特徴的な役割を果たすものを。(漫才ではない)コメディ系は、挙げるならば概ねここに入ることになろう。

酷くないP 【i-Fest@!】 「あずささんが免許取ったから皆逃げろ」 (09/12/6)
酷くないP あずささんが免許取ったから皆逃げろ 4:15 縮小

本作の場合特徴的なのは、(タイトルに象徴的に表れているように、)意志・行動の主体として焦点が当たるのはあずささんの周囲の人物(前半においてはPと春香であり、後半においてはPと真・雪歩)であって、あずささんの言動は、登場人物を巻き込んで動かすシチュエーションの発生装置として機能している点である。
迷子やボケという個人としての特性だけではなく、登場人物の誰も、あずささんに対して正面からツッコんだり強制的な力を及ぼすことはできない、という関係性上の特性が、それを可能にしている。
このような、”シチュエーションの発生装置” としてのあずささんという存在は、特にコメディ要素の強い作品において広く見ることができる。


風見P 【ノベマス】あずささんが人生相談に挑戦するようです。 (10/8/22 処女作)
風見P あずささんが人生相談 5:07 縮小

風見Pの処女作。デビュー作で、ギャグメインで17分という長尺をひっかかりなく読ませるのはなかなかの難事であって、並々ならぬ力を窺わせるものだった。キャラクターをギャグ的に崩す部分と崩さない部分、既存のギミックに頼る部分とオリジナリティを見せる部分のバランス感覚が秀逸である。
DSキャラクターを主用した2作目以降に比べ、作者のマイリストコメントにも「ややきれいな路線」とあるが、それでギャグ作品として成立し得たのには、あずささんにリアクションさせるというコンセプト、ギミックの力に依るところも大きいであろう。


のやすみんきP 王レス de アイマス (09/8/26~最新10/7/28)
のやすみんきP 王レス 2前 13:50

今回挙げた中で唯一のシリーズ作品。
アイドルが何らかの物語上の役を演じているタイプのストーリー作品は、私のもっとも興味ある対象の一つである。しかし、手に余るので今回は触れなかった。ただ、あずささん主役の傑作として、これだけは挙げておこう。
三谷幸喜の『王様のレストラン』をアイマス動画化した本作において、主役を張るあずささんの、タキシードを着こなしての毅然とした存在感・説得力は、本動画の成立の根幹を成している。
ことにあずささんが演じるギャルソンは、読者からはその意図や能力が想像できるが、物語内の登場人物にはそれらが読み取れないという、物語の外と内での情報格差を構造的に持った役である。
そうした役の表現として、登場人物の様々な言動を前にして、台詞を発さずにあずささんの表情を切り替える演出(登場人物は気付かないが、読者は何を思って彼女が表情を変えているのか想像できる)が、またそれを為すのがあずささんであることが絶妙にマッチングして、この立ち絵が、この役が、キャラクターとして息づいているのである。
アイマス立ち絵という素材が、紙芝居型ノベマスという形式が可能にした、一つの表現の完成形を体現した動画だと思う。


はいなP 絆の源 外伝5 (10/7/19)
はいなP 絆の源 外伝5 0:49 縮小

あずささんの誕生日を雪歩、千早、小鳥さんが祝っている風景、ほんとにただそれだけの動画。
はいなPは元々、言葉数を極小にまで抑え、表情変化とその時間的な間の演出によって行間を表現しようとするPである。その中にあっても、特にこの動画に特徴的なのは、能動的に動き喋っているのは祝っている側の3人で、祝われている主役である筈のあずささんは、相槌を打って表情を変える様子だけで表現されていることである。
上記ののやすみんきPの動画でも、喋っていない時のあずささんの表情変化を一つのポイントとして挙げたが(言及しなかったがそれ以外にも多くの動画で、同様の手法を効果的に使用した例が見られる)、実にあずささんならではの表現と言うべきである。ここに作者の志向がマッチして、静かであたたかな誕生日の情景が生まれている。


リブルP 【アイマス】 夏目とあずささん 【友人帳】 (10/11/25)
リブルP 夏目とあずささん 1:02 縮小

ラスト。本記事中唯一、投稿時にリアルタイムで取り上げていた動画である。(まことに継続性の低いブログだ。)思い出深いので、当時書いていたことをそのまま引用する。

P名を名乗られての2作目。緑川ゆきの『夏目友人帳』とのコラボ作品です。
『夏目友人帳』の世界とアイマスの世界が驚くほど自然に調和し、ほのぼのとしていながらミステリアスな、とても良い雰囲気のある作品ですね。夏目にとっては、東京からここに迷い込んできたアイドルという存在は、日常に闖入してきた非日常。一方アイマス側の住人からみれば、人間と妖怪が地続きになっている夏目の側の世界が非日常。その二つの日常と非日常を移動して繋ぐ人物が、あずささんである所が絶妙ですね。単に迷子になるから、ということに留まらず、あずささんだからこそ両方の非日常を受け入れて繋げられている気がします。


以上。むらたまさん、遅くなって失礼いたしました。

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