祭りのあとの祭り


『VER ROCK FESTIVAL '11』、という企画があったんですね、先週末に。3日間、毎日6時間弱、生放送の枠を二つ取って、ひたすらニコマス動画を流す、という内容だったようです。
私はその企画を、一日目はボチボチと見て、二日目はまったく見ず、三日目はちょろっと見た、という程度でした。ようするに、内容自体について書けることは、ほとんどありません。しかし、それはそれとして、ネタを拾ってくるには恰好の話題でありますので、企画の内容とは関係ないネタを、適当にいくつか思いつくままに並べる次第です。


今回、見ていて私が一番感動したのは、最終日ラスト手前のorgoneP枠が終わった後、ラストのFRISKP枠が24:00から始まる、という運営コメントが表示された時でした。いかようにでも時間を調整する手段があるリアルのライブと違って、この企画のコンテンツは時間の伸縮が不可能な動画です。しかも、プログラムは出演者が組んだセットリストを主催者が預かって流す、という形になっているので、特に時間が押した時の対応が非常に難しいわけですよね。そういう条件下で、見るからにぎっちり詰め込まれたプログラムを実行して、最終日のラスト枠が、きっかり事前告知された時間通りに始められた。それは、本当に素晴らしいことだと思います。
逆に一日目は、これ、最後の方動画流しきれるんだろうか、と見ていて結構ハラハラしましたが、そういう点で、一番不慣れで何が起こるかわからない一日目のラストに、自由に調節の利く主催者枠を配置していたのも、的確な判断だったと感じました。
進行上の成功の大きな要因としては、「MOONLIGHT」「BAYSIDE」という二つの会場を設定したことも挙げられるでしょう。この規模の生放送企画であれば、会場を複数設けて人出の分散を図るのは必須のことと言えたでしょう。そこで単にサブ会場を設けるのではなく各々別のコンテンツを流すことで、”ロックフェス”という企画の趣旨にも合致し、出演者の枠も増える形での分散が、可能になりました。そのために企画がいっそう肥大化複雑化して、より難しくなった面もあるでしょうが、優れたコンセプトではあったと思います。
もちろんすべてが理想的だったわけではなく、動画をあまねく視聴者に届ける(タイムラグや読み込み失敗をできる限り減らす)、あるいはアクシデントへの冗長性を上げる、という生放送の技術的な側面からすれば、非常に余裕が足りない設計だったとは思います。そのあたりはまあ、初めから犠牲にできるものは犠牲にして突っ走るしかない性格の企画だった、ということでしょう。
生放送を運営する、というのもれっきとした一つの技術であるわけで、元来主催者中に専門の生主のいなかったこの企画が(関係ありませんが、放送スタッフ中に、私が初めて視聴したニコ生の生主でいらっしゃった、しょうひら氏の名前があるのは感慨深い)、このようにつつがなくプログラムを進行せしめたことは、イベントとしてこの企画を評価する上では、大きなポイントだと思います。
無論、この成功は主催者の手腕だけによるものではなく、3日間通じてのニコニコのサーバーの驚異的な安定(3日目はかなりコメントが止まったり動画が止まったりしたようですが、それにしても)という幸運があった結果です。ですが、それも、人事を尽くした者に対して天命が応えた、ということでしょう。

話は変わりまして、個人的に興味深かったのが、この企画に合わせて公開された新作動画の、再生数コメント数の動きでした。
見た感じ、生放送を見ていた人数は、平均すると1日目が700人台、2日目600人台、最終日が800人台というところで、それがかなり均等に二つの枠に分かれていた、というところだったと思います。で、私、放送を見ながら、未知の動画が流れてきた時は、かなり頻繁に元の動画に飛んで状態を確認していたのですが、そうすると、当たり前の話ですが、タグ無し動画説明文無しで三百何十再生0コメント、という現場に遭遇するわけです。そういう動画をいくつか、そのまま継続的にチェックしていると、いつの時点でどんなタグがつき、いつの時点でコメントがついて(あるいはつかなくて)、その後、最初は横一列の再生数だった各動画がそれぞれどんな伸び方をしていくか、という様子を目撃できることになります。
それでまあ、たとえばVRF視聴者の中に「アイドルマスター2」タグを熱心に付けて回っている人はいるみたいだけど、フルネームのキャラクター名タグを付けて回っている人はいないみたいだな、とか。同じ時間帯に投稿されたテキスト系動画やアニマスMADの再生数コメント数と見比べて、そうかこの二つの数字は互いに全く重なっていないのか、と感慨にふけったり、とか。興味深い現象はいろいろありまして。
この、放送がリアルタイムで進行していた時の、あちこちの動画の数字のデコボコぶりというのは、時間が経てば経つ程埋まっていったわけで、後から見た人にはよくわからないと思いますが、ニコマス視聴者が群として層として流動している様子が、数字から垣間みられて面白かったのです。
数字という点から言うと、このVRFで現れた諸々の数字と、たとえば次の20選の参加者が何人で、そのうちVRF関連動画を選ぶ人が何人いるか、というようなことを合わせて見ると、群として数としてのニコマス視聴者の現在が、かなり見えるのだろうな、という気はします。まあ、なにか結論があるとかきちんとデータを取りたいということではなく、単に興味深かった、というだけの話です。

先に、実際に視聴した人数が600~800人くらいだろう、ということを書きました。これに対して、企画当事者側で動いた人数を考えると、まず出演者が、枠にして48枠分、人数にして57人となります。これに加えて、エンディング動画に記載されている、生放送・レビューその他非出演者のスタッフが21人、更にゲスト出演者等の関係者が20人前後(数え間違いは御容赦)、総計で100人弱。そして、この企画で実際に新たに投下された動画の本数(は、厳密に数えれば何本がVRFに合わせて公開状態になったかわかるでしょうが、面倒なので)が、単純に「VRF11」タグがついている動画の本数を見ると、現時点で149本。
この、企画関係者約100人、動画約150本、視聴者約800人という数字が、量として『VER ROCK FESTIVAL '11』という企画が実際に動かしたものの概容、ということになります。
当事者意識のない私の場合に、どうしても想像するのは、たとえば、もしこの100本以上の新作が、VRFに合わせるという形ではなく、それぞれこの下半期の間に各Pが思い思いのペースで投下する、という形で現れていたら、どんな半年になっていたんだろうな、ということです。それは、こういう形態の祭りがあって、それを目標とする形でなければこれらの動画は出現し得なかった、従ってそういう単純な比較は成り立たない、ということを承知の上で言っているのですが。
つまり、言いたいのは、祭りとは、それだけニコマスの中にあるリソースを、その瞬間、その空間だけのために集中するものだ、ということです。作るという点においても、見るという点においても。
従って、この企画の意味というものを考えるとき、これを体験するというのはそれだけ贅沢なことなんだ、とも言えるし、これだけのリソースを集めて形にしてしまえるのは凄い、とも言えます。勿論、ミクロな参加者個々人のレベルでは、その体験で得たものを糧に新たな展開が生まれていく、という意味があるのでしょうし、それらの集積の結果、マクロなレベルでなんらかのプラスの循環効果がニコマスにもたらされることは、私も期待しています。
ただ、私が一番感じるのは、限られた人数、限られたリソース、限られたモチベーションの中で作り続け見続けていく、という世界を考えたとき、その一点、その一時のためだけにリソースを集約し、モチベーションを喚起し、作らしめ見さしめる強力な機関が存在して、それを中心に回していくということが、一つの解であり在り方になるのだろうな(現になりつつある)、ということです。
だから、10年後、あるいは20年後(という期間自体に意味はなく、いまニコマスと呼ばれている界隈の中から、日常的に動画を作り見続けるモチベーションや環境が失われた未来に、ということですが)、『VER ROCK FESTIVAL』という(あるいは、その衣鉢を継ぐ)祭りが変わらず存在して、あの時あれをやったから、今でも俺達は年末にはこうやって集まれているよ、同じ熱気を感じられているよ、となった時初めて、2010年に『VER ROCK FESTIVAL』という祭りを起こし、2011にそれを続けたことの本当の意味が、見えてくるのでしょう。
まあ、ニコ動なりその代わりになる何かなりが、それまで存続したとして、の話ですが。

どうでもいい感想を二つ付け加えると、一つは、見ていない・見ない・知らない人向けということでいうと、これだけは見ておくといい的な動画、5選とか10選とかの記事(ウソm@sの時に胡桃坂氏がされているような)を、そういうものを書くポジションの人が書いてくれたら役立つだろうな、ということ。
あと一つは、当日に公式サイトを見に行っても、一体いまどこに行ったら放送が見られるのかよくわからなかったなあ、ということですね。いや、右上に表示されているコミュニティに、気付かなかった私が悪いんですけれども。

最後に一つだけ真面目な話をすると、今回の祭りで、掛け値無しに素晴らしかったことは、終了までに死人が出なかったことですね。
damehumanoidさん、皆が口々に貴方の体を心配しているのは、別に思いやりや労りじゃないんですよ。死なれたら困るから言ってるんです。いくら祭りだの熱量だの馬鹿騒ぎだの言ったって、死んだら無価値です。だいたい、自分はアイドルに命を捧げて体も人生もボロボロにしました、なんていう人間が、どの面下げて千早をプロデュースできると思っているんですか。休養というからには、出会い頭に千早へ、これが休むということだ! と見せつけられるくらい、休むということを体得しましょう。死なないでください。


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