「好き」という言葉 (春香コミュ概論導入編)


かなりの準備不足で書いたので、ディテールの甘い記事になっていると思いますが、アニマスで春香についての話題がヴィヴィッドなうちに、ということで。


「好き」という概念を理解できれば、春香コミュの、まあ6割くらいは理解できたことになるんじゃないか、ということを、この前書きました。
理由をごく簡単に述べるならば、つまり、「歌」が「好き」、「お菓子」が「作るのも食べるのも」「好き」、「アイドル」という「お仕事」が好き、「ファンのみんな」と触れ合うのが「好き」、「おかあさん」や「おばあちゃん」が「好き」……と、コミュで描かれる春香の行動のほとんどの基盤には、この「好き」という概念が存在するからです。
では、その春香のいう「好き」とは、一体どういうことなんだろうね、という話です。





1 春香は、「お菓子作り」が「好き」

お菓子作りはよく知られた春香の特技で、ゲーム中でもたびたびお菓子作りに関する話題がでてくる。お菓子作りが好きであることは、ランクFコミュ「ミーティング」の時点で、

「自分でお菓子作るのも好きなんですよ。
もちろん、食べるのも好きですけど……」

と明言されているが、実際にお菓子作りに取り組む春香の様子がわかるコミュを、二つ挙げる。

一つ目。「ある日の風景2」

ぷげらっちょP アイドルマスター はるかっか 22


二つ目。「ある日の風景4」

ぷげらっちょP アイドルマスター はるかっか 48



簡単に要約すると、「ある日の風景2」は、ミーティングの時間になっても、春香が全く気づかずに何か考え事をしている。話を聞いてみると、フルーツケーキのレシピがうまくいかずに悩んでいて、ちょっと寝不足にもなっていたのだ、という話。
「ある日の風景4」の方では、春香は自信作ができたと言って事務所でチョコレートを配り、プロデューサーもそれを食べる。そのチョコは、春香が「こないだの仕事オフの時に、ちょっといいレシピを見つけ」て試しに作っていたもので、作るとき春香は「夢中になっちゃって」「気がついたら、夜明かし」していた、というもの。

両者の内容は共通性が高く、「好き」な「お菓子作り」に対して、他のことが目にはいらなくなるほど熱中する傾向がある(そしてそのために、しばしば睡眠時間を削っている)ことがわかる。
特に「ある日の風景4」の方では、お菓子作りの徹夜が原因で、春香は翌日の学校で居眠りをしているのだが、後半の選択肢で「居眠りはよくないな」を選ぶとさらに、その居眠りは、顔に跡がつくほどの熟睡で、そのために授業がわからなくなるほどであったことが判明する。
つまり、このコミュで言われている「夜明かし」とは、ちょっと寝るのが遅くなったというレベルではなく、文字通り夜を明かす徹夜であったことがわかるのだ。

この二つのコミュを見ると、「お菓子作り」における春香の「好き」とは、それに没頭すると、我を忘れて何時間も平気で打ち込んでしまうようなものである、ということが見えてくる。これを踏まえて、次の項へ行こう。



2 春香は「歌」が好き

いわずと知れた、春香は「歌」が「好き」である、という事実。歌との関係は、春香シナリオにおける最大の軸の一つだから、関連するコミュは非常に多岐に渡る。
が、ここでは、その「好き」である、ということの内容がもっとも鮮明に示されている、最初期のコミュを一つ、観察しよう。「ある日の風景1」である。

ぷげらっちょP アイドルマスター はるかっか 02



まずは冒頭部。場所は公園。

(そろそろ、仕事で移動だ。
出かけている春香を、事務所に連れ戻さないと)
「あっ、プロデューサーさん。
もう、事務所に戻る時間ですか?」
「ああ、準備頼む。ところで、
なんで春香は、こんなところに?」
「ああ、えっと……、少し発声練習と、
それから……」
「私の地元と、なんか雰囲気が似てるんですよ、
ここ。だから、居心地よくって」
「えっと、プロデューサーさんに話してなかった
でしたっけ? 私、地方出身で……」
「レッスンや仕事のときだけ、通ってきてるんですよ。ちょっと遠いけど……」

ということで、これは春香が遠距離通勤している事実が発覚するコミュでもあるのだが、いくつかのことが読み取れる。

・春香が、仕事の合間(二つの仕事の間か、出勤してから仕事先に移動する間なのかはわからないが)に一人で外出したこと
・春香が発声練習をしていたこと
・行き先の公園(周辺)が、春香の地元と雰囲気が似ていること

このうち発声練習についての台詞末尾の「それから……」は、普通に考えればそのまま次の台詞に接続するのだろうが、その先にも発声練習と並置されるべき内容があってそれが省略された(あるいは、言いかけてやめた)と取れなくもない。
ともあれ、このコミュの後半の内容や、これ以外のコミュで述べられていることからしても、春香は公園で歌を歌うことを日常的に行っているので、この場合も、時間がもっとあったならば、「少し発声練習」より先の、歌に関連したメニューをこなしていただろうことは、間違いなさそうである。
つまり、春香は、一人で歌の練習をするために、仕事中の隙間の時間に外出したわけである。

(余談ながら、このコミュを、アニマスが放送されている2011年12月現在に眺めると、感慨深いものがある。アニマスでは、春香は時間をみつけては事務所に戻ってくるが、アーケード・無印では、春香は時間をみつけては事務所から出て行くのである。)

ここで、最初の選択肢が出る。「大変だなぁ」「つらそうだな」の二択。「大変」が◯、「つらそう」が×の選択肢である。

選択肢「大変だなぁ」

「それは大変だなぁ。苦労してるんだな」
「そんな、苦労なんて。
大変なときは、ときどきはあるけど……」
「好きで始めたことだから、
そんなに、つらいって風には思わないですよ!」
「そうか。なかなか頑張ってるみたいだね」
「あはは……。
自分なりにだけど、なんとかやってます」

Pは、会話内容からしておそらくは、遠距離通勤の事実と、隙間の時間に外で歌の練習をしている行為の両方を踏まえて、春香の状況を「大変」「苦労してる」と評している。
それに対して春香は、「大変なとき」があることは認めるが、それが「苦労」であることは否定する。
(ここで、この会話ではPは言っていない「つらい」というワードが春香の口から出ているのが、なかなか陰翳に富んだ表現であるが、ここでは深入りしない。)

選択肢「つらそうだな」

「つらそうだな、春香。無理してないか?」
「そんな、つらいってことないですよ!
私、好きでやってるんですから」
「自分なりにだけど、やるだけやって、精一杯
歌って……。でも、今は、それが楽しくって」
「そうか、頑張ってるんだな」
「なんか、やたらに頑張ってばっかりで、うまく
いかなくて、ちょっとかっこ悪いかもですけど」
「頑張ってるのを、恥ずかしがることはないさ」

こちらでは、上述の春香の境遇を、Pは「つらそう」、「無理」しているのではないか、と表現し、春香はそれを、はっきりと否定している。一方、自身が「頑張ってる」ことは自分でも認める、というより、むしろ積極的に肯定している。
二つの選択肢全体を通じて、春香の思考の中心におかれた論理は一貫している。
今の状況は、「大変なこと」は「ときどき」あり、自分自身でも「頑張ってる」とは思うが、それは「苦労」や「無理」や「つらい」ことではない。なぜならば、これは「好き」でやっていることだから。
「好き」でやることは、「つらく」ない、という論理。
前の「お菓子作り」の項の内容と照らし合わせると、そろそろ春香の「好き」という概念の、一端が見えてきたのではないかと思う。だが、結論は急がず、もう少し先を見よう。


「でも、いざ仕事にしてみると、歌も結構、
難しいところがあるかなぁ」
「春香は、どうして歌をはじめたの?」
「うーん、歌は昔から、
小さい頃から好きで……」
「公園で1日中歌ってて、そのまま日が暮れて、
ってことも多くて……。あ、今でもそうで……」
「ずっと歌っていけたらいいな、って思ってて、
そしたら、たまたまオーディションがあって」
「試しに受けてみたら、受かっちゃって、
それで仕事を始めて……、って感じです」

短い文中に、歌との因縁、アイドルになったきっかけ、と、特筆すべき重要な情報が二つも詰め込まれた会話。
(最初の「仕事にしてみると、歌も結構、難しい」という台詞も、なかなか一筋縄ではいかない重大な言葉だと思うが、これも今はおく。)
今回注目するのは、歌についての部分である。この会話において、「歌は昔から」「好き」ということが、明確に春香の口から発せられ、更に「ずっと歌っていけたらいいな」という(以前からの)希望の存在が示されている。
このような基礎的な部分がコミュ中ではっきり確認できることも重要だが、情報として面白いのは、「公園で1日中歌ってて、そのまま日が暮れて」「今でもそうで」の部分である。

(金管以外の)楽器ならいざ知らず、生声で「一日中」歌っていて「日が暮れる」というのは、額面通りに受け取るとなかなか凄まじいことを言っているけれども、少なくとも、外で何時間も歌うのが(過去においても現在においても)春香にとって日常的な行為であることが、見て取れる。
そして、(春香が外で歌ってきたことについては、以前別に記事を書いたのでここでは詳述しないが、)より高ランクで現れるコミュの内容を考慮すると、あるいはこのコミュで述べられていることだけから推し量っても、ここで言われている「公園で一日中歌っ」たとは、単に好みの知っている歌を気ままにがなっていたら日が暮れていた、ということとは思えない。
(何の目的意識もなく繰り返し同じ歌を歌って飽きずにいられたり、あるいは適当に歌って何時間もネタが尽きないレパートリーがあるとしたら、それはそれでまた凄いけれど。)

我流で漠然としたものにしろ、それは、ある程度の手順と目的意識を備えた、”メソッド”に基づく”練習”だった筈である。
そしてそれは、アイドルとなって専門のボイストレーナーがつく(ランクE「ミーティング」で、ボイストレーナーの存在ははっきりと確認できる)ことで、より体系的な練習になったと考えられる。
そのことは、前述のこのコミュ冒頭において、(おそらくは、時間が限られていることを踏まえて、最優先に)春香が行っているのが、「発声練習」であることからも読み取れる。気分転換にちょっと一曲唸って、という話ではないのだ。

さて、ここまで見てくると、「ある日の風景1」における、春香の「「歌』が『好き』」の在り方は、「ある日の風景2」「ある日の風景4」における「『お菓子作り』が『好き』」と非常に似通っていることがわかる。
「好き」な「歌」を歌っていれば、何時間でも時が経ってしまう。
(本人の表現によれば、「一日中」「日が暮れ」るまで。冒頭の「あっ、プロデューサーさん。もう、事務所に戻る時間ですか?」の台詞にも、既に熱中して時を忘れる兆候が現れている)
また、歌に対してそれだけの時間を掛けることを、厭わない。学校があり、(未だ低ランクであるにしろ)アイドル活動を行っている今でも、「公園」で「日が暮れ」るまで歌を歌っているというのは、仕事の合間に、学校の帰りがけに、あるいは休日に、意識的に手間暇を費やしてそれを行っている、ということだ。

「好き」だから「頑張る」。
「頑張る」も「好き」も、春香においては、曖昧で抽象的なものでは、まったくない。
「頑張る」とは、「好き」とは、具体的に毎日何時間も費やして打ち込み、遠距離通勤や、短い余暇の費消や、(あるいは、授業中の居眠り……)のような「大変なこと」の発生を承知で継続する営為を、その営為をなさしむる意志を示すものだ。
そしてそれは、「大変」であっても「つらく」ない。春香にとって「頑張る」ということは、”やむを得ず乗り越えている障害”、”夢や希望や楽しさを将来的に勝ち取るために、当面は耐え忍ばなければならない苦労”ではなく、対象を「好き」であるならば、まったく自然に当然に行うべきことであって、「好き」と「頑張る」とは、何の補足も逆接も必要としない、一筋で結ばれた概念なのである。

それと同時に、「歌」にも「お菓子作り」にも通底する、熱中・没頭という「好き」なものへの対峙の在り方。それは、忘れられるべきではない、春香の表現者としての一つの素質を示すものだ。
「歌」は、人に聴かせることで、「お菓子作り」は人に食べさせることで、他者へと受け渡される表現だ。そして、春香はその、他者へと受け渡す行為に、人一倍喜びを感じる人間である。
そのことはよく知れ渡っているし、実際にコミュの中で繰り返し表出していて、私も以前の記事でその一端に言及した。
しかしながら、時間も周囲も忘れて日が暮れるまで歌を歌い続ける、あるいは徹夜でお菓子作りを研究し続ける、その行動は、"誰々に聴かせたいから"”誰々に食べさせたいから”という伝達の意志だけで説明できるものであろうか。
私は、そうは思わない。

自己の表現を磨き極めていく喜びと、自己の表現を伝達し受け渡す喜び。
それは、確かに連続しているかもしれないが、一括りに混合できるものではない。
とりわけ春香という表現者においては、その二つの連続性は強く、自然で自明な結びつきとして、春香自身の中で感じられているのであろう。
しかしながら、だからこそ、春香の物語を読む者は、春香というアイドルの全体像は、一方向的な視界だけからは照らし出しがたいことに、留意しなければならない。


3 「好き」に関わるその他の要素、そして課題

今述べた、「一方的な視界だけからは照らし出しがたい」ということは、ここまで書いてきた私の文章自体にも言える。ゲーム『アイドルマスター』のコミュ(群)は、どのアイドルのどの事象においても、単色では塗りつぶせない多彩な側面を持つものだからだ。
ここまでで触れなかった要素を、いくつか確認しておこう。


ひとつ。「好き」な対象へ、春香が非常に大きな労力の蓄積を行っているのは確かだ。しかし、それは無論、春香のおこなう、すべての局面のありとあらゆる行為に対して適用されるわけではない。
徹夜をすれば翌日は居眠りをして友達に笑われるし、正月にはこたつに入り浸りでダラダラ過ごしてしまう。だらけたい、サボりたい、遊びたいという感情もまたごく当然に春香の中にある。だらけたりサボったりしたことを恥ずかしがり、反省する心もまた、自然に春香の中にある。
ただ、そうしたものを突き抜けてしまう、特定の対象への「好き」がやはり特徴的ではあるのだが、春香の中には16歳の人間としての、ごく当たり前の感情が、ごく当たり前に混在していて、「好き」もまた、その一角を当たり前に占めているのだ。


ふたつ。基本的なことだが、確認しておくべきだろう。春香がアイドルとして「好き」だから「頑張る」ということ。それは、”自分には、ただひたすら「頑張る」こと、「好き」であること以外に、アイドルとして依って立つ基盤がないのでは?”という、切実な不安の裏返しでもある。
そのことは、他のコミュを見ることでより明示的になるが、「ある日の風景1」においても、「やたらに頑張ってばっかりで、うまくいかなくて、ちょっとかっこ悪いかも」という台詞の中に窺える。
自分は「やたら頑張ってばっかり」いるだけで、「うまくいかなくて」、他人から見れば「かっこ悪い」だけなのかもしれない。

ただ、春香という人間は、自己の能力面に関して、ひたすら卑下し、悲観し、コンプレックスを持っているだけなのか、と言えば、話はそう単純ではない。
いったい、自分は人に認められるような何物も持ち合わせていないと思っている人間が、自らオーディションを受け、アイドルとして「好き」な歌を歌っていこう、などと(ものは試し、程度の気持ちだったとしても)考えるものだろうか。
自らの才能に、歌い続けてきた、「好き」で在り続けてきた、自身の「歌」というものに、自負するところがなければ、そんなことをする筈がない。
だが、その一方で、アイドルとなった春香の中には、自己と身の回りの世界だけで築き上げてきたものが、この世界では全く通用しないのではないか、自分が限界まで「頑張っ」てもアイドルたりうる何物も獲得しえないのではないか、という強烈な不安が抜きがたく存在し、自負は不安に覆われて、水面下に隠されている。

そうした、春香の中での自負と不安との鬩ぎあいは、「ある日の風景1」後半の選択肢で見ることができる。
「応援するぞ」「ツイてたんだな」「テキトーだなぁ」の三択で、「応援」がグッド、「ツイてた」がノーマル、「テキトー」がバッド。

「応援するぞ」の選択肢においては、春香は自ら

「ちょっとは自信持っても、いいですよね?」

と問いかけ、

「もちろん! オーディション合格だって、ただの情熱じゃないはずだ。」

というPの言葉を得る。
自分がアイドルとなれたのは、ただの偶然、ただ「頑張って」いる(Pの表現でいえば「情熱」)からではなく、自信を持っていい何物かを備えているからだ。そう、春香は信じたいし、誰かにそう確言してもらいたい。

「ツイてたんだなぁ」の選択肢においても、春香は

「運がよかったのかな、私」

と言いつつ、

「あっ、でも! 『運も実力のうち』って、言葉がありますよね? ね?」

と、「運」をただの偶発的無作為的なものではなく、自己に固有の武器として捉えることを望む。
そして、台詞は

「好きなだけでやってきた歌だけど、
これからは、ちゃんと勉強するし……」
「せっかく、ステージに立てるようになったん
だから……、私、できるだけ頑張ってみます!」

と続く。
ここには、今まで「好きなだけでやってきた」=一人で我流の努力をしてきただけの「歌」だけれど、「これからは、ちゃんと勉強」=アイドルとして体系的な訓練を人以上に積めば、というひそやかな自負か、あるいは願望かが、そして、たとえ自信の拠り所がなくとも、「ステージに立てる」という機会に対しては全力を尽くしたい、という意志が、表れている。(「テキトーだなぁ」の会話のメモはどこかに行ってしまったので、省略。)

かように、春香の中では、”アイドルとしての自分”に対する大きな不安、恐怖と、それにくるまれた秘めたる自負、プライドとが、常に鬩ぎあっているのである。
故に、春香の物語において、春香のプロデューサーが真っ先に求められること、何よりも為すべきことは、アイドルとしての天海春香を全力で肯定することであり、春香というアイドルを揺らぐことなく信じることである。
(ということは、春香が初めから、アイドルとしての自分に対して何の不安も疑問も抱いていないのであれば、Pの仕事はないんじゃないの? という話にもなるわけで、アニマス初期において、Pいらないんじゃないか、むしろ春香がPしてないか、という感想が出たのは、当然のことなのである。)


みっつ。ここまで「歌」(そして「お菓子作り」)に範囲を絞って、春香の「好き」という概念を見てきたが、春香の「好き」という言葉は、これらだけではなく、もっと多様な場面で、多様な形で表現されている。

たとえば、ランクFの「運動」コミュ(参照:ぷげらっちょP アイドルマスター はるかっか 03)では、運動についての「好き」が、幾度も発されている。
曰く、

「はい! えへへ……こう見えても私、
スポーツは大好きなんですよ♪」

「えへへ、身体動かすのは好きなんですよ。
だから特訓しても大丈夫♪」

「私、スポーツ見るのは好きで、
するのも大好きですっ」
「でも、得意じゃあないですね……
好きだけど、もう、下手で……あはは」

「いえいえ、特訓なんですから、ちょっとは
頑張っていかないと! ダッシュです!」

コミュ中で何度も言われているように、春香はスポーツが「苦手」であり「下手」なわけである。けれども、「歌」や「お菓子」のように得意分野ではなく、何時間も没頭するような情熱の対象ではないが、それもまた、「好き」なものの一つなのだ。
ただ、「苦手」であっても、「好き」だから「特訓」してかまわない、むしろ積極的にするべきだ、という思考には、「歌」に対するのと同じ論理が観察できる。
また、「スポーツ」する、「走る」ということが、「苦手」「下手」であるだけでなく、「転ぶ」という春香にとっては極めて切実な課題(この点については、いずれあらためて触れる機会が、あるといいなあ。)と直結していることを思えば、それでなおその行為が苦痛ではなく「好き」であるとするその言葉には、「歌」や「お菓子」に対するのと同じものが含まれてる、と言えるかもしれない。


ここまで挙げた「お菓子作り」「歌」「スポーツ」は、すべて特定の行為への「好き」という点で共通しているが、春香の「好き」には、この他に、大まかに分けるならば

・「おかあさん」「おばあちゃん」など人物への好意。あるいは、他人との人間関係、コミュニケーション上の事柄への「好き」
・アイドルとして「お仕事」をすること、「ステージ」で歌うことなど、アイドルにとしての自分に関わる事象への「好き」。また、CDを手売りしたり、ライブでファンを楽しませたり、といった、アイドル活動を通しての他人との関係、他人へ受け渡しする行為への「好き」

の二つが存在する。
特に後者を考えるにあたっては、「お仕事」を初めとする、アイドル天海春香を考える上での、いくつかの重要概念との関わりを考慮する必要がある。
いわば、「歌」や「お菓子作り」への「好き」、及び人間関係上の「好き」が表すものが、天海春香という人間の持つ「好き」の基本概念の両軸だとすれば、アイドルとしての活動上で発せられる「好き」は、その両者が混合融合し、更なる色を加えた発展形と言えるかもしれない。

これら一つ一つの絡み合った要素を読み解いてゆき(たとえば、春香の「お仕事」という概念を読み解き、今回言及した内容と重ね合わせるならば、私が、春香のプロデューサーにとって、もっとも辛く重いコミュであると思っているところの「一月の仕事」コミュの、その辛さ、重さという意味を説明できるであろう)、天海春香の「好き」の全体像を捉えられたならば。
その時には、もっとも難しく、深遠なものを示唆する春香コミュである、ランクA「ランクアップ」コミュを読解することが、可能になるのであろう。私がこのコミュの意味を考え始めて多分2年くらいになるが、未だに、私はそれが提示する意味を受け取れきれない。前途は遼遠である。


まったくの余談というか、こじつけなんだけれど、そういうわけで、私がこの世でもっとも尊敬するプロデューサーは、
「天海春香  が好きだ」
と言いきったプロデューサーなのである。




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No title

こんにちは。

とても興味深いことを書かれているなーと感心しました…。
先のアニマス記事といい、読んでて春香のこともっともっと考えたい!って思わされてしまって…春香Pとしてはこの上なく悔しい話ですが…w

この子の「好き」というパワーは本当にすごいと思います。
自分自身も春香の「好き」に当てられて、ますます春香が好きになっていったっていう永久機関的なモノが完成してしまいました。なんかすごい!

自分にとっても最難関であるAランクアップコミュについて、期待しています!(ハードルage)
…と期待しているだけじゃーダメダメプロデューサーですねw

Re: No title

ウィンウィンP、いらっしゃいませ!
コメント有り難うございます! 本当に嬉しいです。

私は動画のような自分の作品で、アイドルのために作る、伝える、表現するということはできないし、ゲームそのものでアイドルをプロデュースすることも、もっと真剣に情熱的にやっているプロデューサーがたくさん居るわけです。なので、せめて考えることと言葉にすることは、できる限り真剣にやりたいな、と思っています。
お読みいただいて、もっともっと考えたい! と、他ならぬ春香のプロデューサーに思わせることができたなら、これ以上の幸せはありません。
それでも、どのような形であれ、好きであることをつきつめていって最後に残るのはきっと、言葉にはならないもので、それは私にはなんとしても表現できないので、それを表現できるウィンウィンPがとても羨ましいし、そういう人がいることをとても誇らしく思います。


>この子の「好き」というパワーは本当にすごい

本当に、そう思います。ウィンウィンPの「好き」のパワーもとんでもないと思いますが(笑)。どうぞ、これからも永久機関をますます回転させて(壊れないくらいに)好きになっていってください、と私が言うまでもありませんね。

Aランクアップコミュは……、ええ、いつか自分で語れるようになることを、私も期待しております(汗)。
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