2011上半期ニコマス20選novelsm@ster巡り(1)


こういうものは初めから終わりまで揃えて出さないとあまり意味がありませんが、最近はとにかく筆の進みが遅くて、全部を書き終わるのがいつになるかわからない。というより、果たして全部書くのかどうかも疑問なので、書きあがった分だけ公開することにします。

20選のテキスト系動画の選ばれ方について、最初に何か書いておこうかと思いましたが、zeit氏の記事とカズマ氏のブクマコメントで要点は尽きていると思うので、必要ないでしょう。
まあ、個人的には、20選のテキスト系、裾野の部分では本当に劇的に広がったな、と感じています。非常に感覚的な話で申し訳ありませんが、ノベマスに関して言えば、この動画が20選で選ばれるか、という驚きと、この動画が選ばれないのかという驚きの2種のうち、昨季は後者を感じる回数がずっと多かったのが、今回は前者の方がずっと多かった。
今季は20選の総体を見るだけで、かなり全体像を掴むに足る量の情報が提示されているな、というのが実感です。

それで、この20選novelsm@ster巡り記事ですが、私個人が見てきたもの考えてきたことの今季について、自分の頭を整理するためにやっている意味合いが強いものです。
従って、この方のコメントは素晴らしいと個人的にメモしつつ記事では名前が挙っていなかったりとか、同じ動画を選んだあの人には言及してこっちの人は無視していたりとか、リストとしては大変いい加減なものですし、そもそも他人に見せるリストとしては閲覧性も伝達性もくそもない内容になっています。
また、架空戦記や卓m@sといったテキスト系の他ジャンルにも、出来る限りの目配せはしていますが、そもそも見ていない、知らないものはどうにもなりません。テキスト系全体を、公平にあるいは総合的に見るものではない旨、お断りしておきます。


・出発点枠

NP氏 20選
NP氏 20選外伝

「ツンデレがデレる時は命がけでデレている」という言葉を唐突に思い出して、なんだっけと思ったらソードワールドのリプレイに出てきた台詞でした。しかし、世のツンデレツンデレと称されるキャラクターの多くは、ずいぶん頻繁にたやすくデレているようにしか見えません。それと同じように、ブロガーという人種は、これは面白いそれは傑作だ、と気安く言葉を乱発しているように見えますが、あれも命がけかどうかはともかく、大体いつも全力で言っているわけです。
で、私が数え間違えていなければ、NP氏のノベマス保管庫には、2011年上半期分で合計773本の動画が入っています。つまり最低でも773回命がけでデレたいと感じ、実際に半年間毎週毎週命がけでデレてきた人に対して、半年分のデレを見せろ、ただし20回限定、という無理難題を強要するのが20選という企画です。
「紹介する」というのは、紹介される何かと紹介された人とを結びつけて初めて意味を成す行為です。だから、NP氏のこの20選は、あらゆる意味で枠の中に収まり切らずに溢れ出してくるものをギリギリまで削って、少しでも多くの結びあわせを作ることに徹していて、それでも収めきれないものが透けている。従って、この20選に「外伝」ができるのは自然の成り行きだし、収めきれなかったものが迸っている「外伝」と、あえてそこを削って凝縮した本選と、その両輪揃っての『NP氏の本棚』の2011年上半期20選、と言えるでしょう。 
本当に凄いのが、選者のポリシーや好みが統一的に反映された、すなわちある意味で言えば偏った20選である筈なのに、あれこれの人が選んだ今期の20選のノベマスを見回して戻ってくると、ああこの動画がちゃんとある、あの動画もちゃんとある、と、あちこちに散らばったものの核心が凝縮されているのを感じることです。そう言う意味で、この20選は、本記事の最初に置きたい20選であり、最後に置きたい20選でもあります。

ガルシアP

言わずと知れた、今期20選のテキスト系の顔、ガルシアP。SS書き・ノベマスPの表現力に、ブロガーの視野と思い入れ、トッププロデューサーのカリスマが備わるという、「俺が考えた最強のノベマス紹介者」状態でございます。
いろんな意味で、分量的にも比率的にも「人に動画をオススメするための20選」として見事な構成がされていると思います。こう、『とのばな』でノベマスに興味を持ったよ、他にこういう動画はないの、という人の望みにドンピシャリと応えるような20選ですよね。
弓削P・ハリアーPといった訴求力の高いPからノベマスクラスタの内部で高い評価を得ているPまで、その全てにわたって選者の人間性がにじみ出る、一貫性のあるチョイスになっています。百舌P・kye氏・燦々Pの立ち絵なしサウンドノベル3連や、龍彦P・ニゴリPのグルメシリーズなど、実にらしい選択だと思いますが、それはそのまま、『とのばな』が旗手となった、今期のノベマスの空気なり一つの特徴的部分なりを体現してもいると感じます。
そういう20選の大トリに、「ガルシアP(自選)」の文字。この20選のラストを締めるのに、これ以上ふさわしい動画があろうか、この動画がトリに納まるにこれ以上ふさわしい20選があろうかという、最高にかっこいい締めくくりになっています。


・当ブログ的特別枠

炎のP その1 
炎のP その2
炎のP その3
炎のP その4
炎のP その5

もう、前期の20選にカイザーPから『雪歩と春香の旅』が選ばれていて、今期は『ドニャ・春香さん』が入っている時点で、「これだー!」と叫ばざるを得ない。その上天才カゴシマPとフツーPとやっつけPとか、自分の琴線に触れすぎていて、悶死するしかありません。全力で頷きたいというか、むしろこれが私の20選ですと横取りしたい。いや、私にはとても書けない素敵なフレーズを乱発されているので、無理ですが。
ノベル的なものと映像的なものの両面を具有するからこそ、かつ2次創作だからこそ成せるエンターテインメント。そういうものを具現化した動画が、集約されている感があります。テキスト系動画とすら言いがたい、ゆき☆Pの『連休に765プロ通り観光はいかが?』の選出も、そうした視点の上にあるものといえるでしょう。その、ゆき☆Pについてのコメントの、「そもそもあの通りに「先がある」って発想がなかなか出てこないと思います。」という一文など、なるほどなあと思いました。

わたりP

魔道書Pの『クトゥルフのリプレイ作ったよ』、ひゅんPの『ふしぎしき BetweenBooks~古い友達~ 』の2本によって、私の被り数最多タイの御相手となりましたので、特別枠とせざるを得ない。
魔道書Pの他、エアP・ダイヤモンドP・ストラビンスP等々、とにかく楽しく面白い、娯楽性の高い動画が多い印象ですが、その中に『ふしぎしき』とsinseiPの『誰が袖触れし』という、ロマンティシズムあふれるというか情感で魅せるというか、そういう小品が入っているのが素敵です。
しかしまあ、ひゅんPのこれで被るとは。いや、大好きな動画ですけれども、今期ひゅんPには長期シリーズの完結もあり、丸春香さん動画もあり、眼鏡っ娘動画もあったわけで。自信満々で投げた勝負球を、正面から打ち返された気分ですね。

ちなみにもう一人最多被りとなったのは、先頭の『ホットミルク・ウィスパーボイス』『ブラックロォズ』が連続して私と被っていたきっちょむPですが、どちらも相手方の最多被りは私ではないのが、ちょっと寂しい(笑)。

マル憂P

毎回テキスト系中心で見応えある20選を構成されるマル憂Pですが、今回は凄まじかった。今期、見ていて一番スリリングで面白かったリストです。
発想が跳んでいる動画として、とたらいざP『占いの館 「I'm 萩原」』、ばにしゅP『失踪うぃーくでい』は簡単に浮かんでくるでしょうが、加えてゆうのPの『アイドルマスター 春香と宇宙人、その愛と死』・七篠Pの『【ノベマス】悪徳"極秘"ファイル』・月の輪Pの『リッチャンノスーパープロデュース その1』と並ぶと、唸らざるを得ません。弱気Pの『765高校模擬試験解説ビデオ』は私は完全に見落としていて、マル憂Pの20選で初めて知りました。
ぎんねこPの『ブラックロォズ』、ヘンリーPの『七六五家蜘蛛の会』と歯応えあるエンターテインメント作品があるかと思うと、ふりっぱPの『the IDOLM@STER x PINBALL』、天牙Pの『ちはやスパイダー』と、実に渋い持ち味の動画もある。なかでも一番面目躍如なのは、「パズル者として」選ばざるを得なかったという、ふるはたPの『出会いは論理パズルと共に』でしょうか。
何かを知ったり頭をひねって考えたり、そういう知的な活動が本当に好きで、そういうものが詰まった動画が好きなんだなあ、と伝わってくるラインナップ。ノベマスだからどう、架空戦記だからどうというのではなく、自己にとって一番面白いものを見分ける眼力の確かさを感じる20選です。

アデリーP

アデリーPの今期の連載作品『エアアイドル・マスター』は、大体毎話500~600代の再生数で推移していましたが、20選では8票が入っています。数多ある同じ位の再生数・コメント数・マイリスト数のテキスト系連載作品と比較するとわかりますが、それは比率としては異常なほど高い。
そういう、見られている全体数に比して20選での選出率が高いノベマスは、今期いくつか目につきました。代表的なのが、ガルシアPの『とのばな』であり、kye氏の『段違い連立方程式』であり、そして『エアアイドル・マスター』ですね。
20選の参加者数は、新着動画の日常的な再生数を考えれば、平時の再生数を回している中核的なニコマス視聴者層の、かなりの部分を包含していると想像できます。その中で、(エアアイドル・マスターについて言えば、今期に始まって今期に完結したので選ぶならば今期しかない、という動機づけはあるにしろ)、これだけの高率で選出されるということは、ニコマスを今、ヴィヴィッドに動かしている層の求めるものと一致する何かを、これらの動画が備えていたと考えることができるでしょう。そういう意味で、これらの動画は今期のノベマスを象徴する一本と言いうると思います。

アデリーPの20選の話に入ります。動画に番号が振ってある、つまり見せる順序を考慮して構成しているということは、それだけで選者がどういう意識で20選を構築しているかの指標になりますが、非常に特徴的なのが、テキスト系では「短編」「続編期待」「連載中」「完結」の4種類が明記されて区別されていること。
つまるところ、テキスト系の動画は、一口にこれは凄い動画ですといっても、それが単体で完成するよう構成されたものか、特殊な条件下で生まれた単発のものか、長期連載の入り口なのか途中の一コマなのか集大成なのか、で全く意味合いが変わってくるわけです。
他人の動画を選ぶにあたってもそれをはっきり意識しているということは、アデリーPが何故、半年できっちり『エアアイドル・マスター』を完結させるという難事をなし得たかと考える時、大変示唆的です。
たとえばそいPのウソm@s作品についての「「一度でお腹いっぱいになる」という事と、「先が気になる」という事は、ことノベマス連載においては完全なる背反事項であるように思えます。」というコメントなど、連載するということへの意識の一端が窺われるように思います。
まあ、私自身の意見を述べれば、個人の持てるリソースは有限で、私は両立しないものは基本的に両立するわけがないと思っているので、続編はなくていいよと思う動画がたくさんあります。しかし、続編を見たいと思う、視聴者の率直な感情を否定するものではありません。
動画への言及で一番興味深いのは、はるゆき好きとしての、カイザーPの『最後の魔術』についての語りですね。自作も含めて他の人の動画は「『ふつう』の構成」から逃れられていないと評価した上で、カイザーPの描くはるゆきを、「彼女達を取り囲む世界も、忘れ難い存在感を有している」と表現されています。このコメントを、後で出てくる他のはるゆき動画選者のコメントと照らし合わせて見ると、カイザーP作品のオリジナルな立ち位置が浮き彫りになる気がします。
そしてラストが自作ですが、これは本当に物凄いコメントだと思いました。「作りきった達成感、味わった苦労」と、表現した物への「納得度・満足度」を切り分けて自作を評価できる、という。作り手でない読者でさえ、自分自身が苦労して読んだり語ったりした作品には特別な愛着ができるわけで、我が身に引き付けても考えさせられたコメントです。

みてあるくP

この方も番号を振って配列されている20選で、ノベマスとは関係ありませんが、そのトップがオペラPだというだけで嬉しくなります。
熱く、リズムの良いコメントでどの動画も語り込まれていますが、個人的に目を見張ったのが朝凪Pの『キミがその目でみるものは』の選出と、そこでのコメント。そっくり引用させていただきます。

「正直、面白いか?といわれると返答に迷います。
 動画ならではの表現はなく、古いノベルのようにテキストを追うだけ。
 ストーリーは丁寧で高品質だが冗長ととられかねないし、
 話の盛り上げ方は全話通してワンパターンだとも言える。
 それでも、好きなんですよね。この世界のアイドル達が。」

誰もがこういう動画を選ぶべき、とかこういうコメントが増えるべき、とかいうことでは全くありませんが、20選の中にこういうコメントがある、こういう動画とコメントの関係と出会える、というのはとても嬉しいことです。
ちなみに朝凪Pの同作はもう一人、irou氏が選出されています。


・ルサンチマン枠(事実上、特別枠その2)

RW氏(ありがP)

gouzou氏のアンケート生放送を見ていて、やたら濃厚でオシャレなPVを並べてきた人がいるな、と思ったらRW氏だったことがありました。20選でも、やっぱりRW氏の色というべきものが濃厚に出ています。まず、それ自体が特異なことです。
数えてみると、PVに属する動画が13件を占めていますが、果たして一定量以上テキスト系の動画を見ている人の中で、PVメインでこういうリストを作れる人が何人いるものか。私などには絶対できません。そこで、最多被り先が『フローレンシアの忠犬』のなか村氏、というのを見て、なんかとても納得してしまいました。
で、テキスト系の動画は全体の5分の1になるわけですが、その5分の1のイレギュラーであるべき存在が、このリストの中にあって全く違和感がないものになっている、というのも凄いところです。
具体的にはニチカP・3袋P・百舌P、という並びになっていますが、サーチ力という点でも、感受性という点でも、アンテナが本当に鋭敏でないと並ばない3人です。あえてその3人に共通点を挙げるとすれば、見た目として難しいこと、人を驚かせるようなことはしていないにも関わらず、他人と全く違う新しい世界を提示している動画、ということになるでしょうか。こういうチョイスが知的センスだと言いたくなるような、というか、つまり3袋Pを選んでニチカPにも言及したわたVinegar56%さんも…ゴッホゴホゴホ。
テキスト系最後の一本はサザエPの『春香さんの役に立たない知識講座』。これも楽しい動画ですが、どこが凄い! という大作ではないわけで、20の枠に入れるべき物としてこんな動画がスッと浮かんでくるのはやはりセンスだと思うし、あとやっぱり春香好きだからこそだと思う。

アイオリアP

アイオリアPと言えば、あれだけアイドルに愛着とこだわりを持っているペンタPをして、キャラクター描写の素晴らしさで激賞せしめたノベマスPです。今期はノベマス紹介ブロガーとしても活動されていて、この20選を見ても、実に深く広く見られているなあ、と思いますが、全体としてはやはり丁寧さ、アイマス世界を大事に扱う愛着の深さ、そういう自作にも通じる空気が感じられます。
ノベマスが16件を占めていて、PVが3本。比率としてはRW氏の真逆で、選出の志向も全く異なるわけですが、私は、ある意味でこの二人の20選は非常によく似ていると感じました。
PVとして、ほうそうP『アイドルマスター 亜美・真美 『わが名はしょ→がくせ→』』・ひだりききP『アイドルマスターMAD 伊織 今月あと6千円しかない』・なかなP『魔法のマッチ ~LMG あずさ・美希・菜緒 Edit~』の3本が入っていますが、それが、いかにもこういうノベマスを選ぶ人なら、という感じで、自然に並びの中に溶け込んでいる。ノベマスに興味がなくてこのリストの内容がピンと来ない人でも、ほうそうPとひだりききPを選ぶような人なんだ、というだけで雰囲気が想像つくでしょう。
それは当たり前のようで、実はとても珍しいことです。自分はこれこれのジャンルの動画が好きでたくさん見ているから、このジャンル中心で選ぼう、でもやっぱりPV系で外せない動画が5,6件はあるよね。そういう構成の20選は珍しくないわけですが、そこで入ってくるPVは、たとえばうしわかPRidgerPorgonePぎょP怒首領蜂P神風P、という風になるのが自然というものです。そうならないで、ほうそうPひだりききPなかなPになる、つまりアンテナの張り方と感度が違っているということで、RW氏にしろアイオリアPにしろ、語るべくして動画を語っている人だなあ、と思います。

黄兎図画工作氏

作品の要旨を的確に伝えつつ、自分が感じた楽しさを目一杯表現する。理想にして非常に難事であることを、自然にやってのけるのが黄兎図画工作氏の文章です。読んでいるだけで幸せにしてくれる、動画を好きな気持ちを呼び起こさせてくれる、そういう文章表現をする点において、テキスト系と限らず、今アクティブにニコマス動画を見て書くことが出来る書き手の中で、随一ではないでしょうか。私は自分ではそういう文章は全然書けませんが、読むのは大好きなのです。
ねえ、だって「あ、今年も何がかはわからないけれども、素敵なことが起こりそうだぞ。」で始まって、「それをすっとまとめる最後の後味は、さらりととけるような感覚。」で、「笑ってるのに泣いているような気持ちもどこかにあるんだけれど、すべてどうでもよくなるくらい笑ってしまいます。」ですよ。
そんな文章を書けるこの方の視界は、たとえばkye氏や百舌Pの項のコメントで透けて出ていますが、そういう自分自身の姿も含めて、20本の中で浮かんできた諸々を踏まえて、末尾の『エアアイドル・マスター』のコメントがある。その重みとあたたかさが、素敵です。

ami=go氏

カズマ氏がami=go氏の記事について、自分とは「逆」なのが面白い、と書かれていましたが、今期テキスト系動画について、もっとも多く他人と違う視界を提示されていたのが、ami=go氏ではないでしょうか。
たとえば、象犬Pの『オスマンはやれば出来る子』をami=go氏の記事で知って見始めた、という人は少なくないと思うし、私が自分の20選に入れた魔道書Pの『クトゥルフのリプレイ作ったよ』を見始めたのも、ami=go氏の記事がきっかけでした。
そういう「この記事が取り上げたのがきっかけで」というのは、動画の再生数への貢献という点では微々たるものだし、まとめ動画に載るレベルでの20選への影響もほとんどないでしょうが、この動画を20選で選ぶ人が現れるかどうか、というレベルではかなりの意味を持っていると思います。
動画を見るにしろそれについて書くにしろ、次第次第に既に知っていること、今までやってきたことで枠ができて、その中に籠るようになってしまうものです。そうやって硬直していく私の頭に、こんな動画があるんだ、こんな楽しさがあるんだ、という新しい刺激を幾度も与えてくれるのがami=go氏のブログです。

リストについては、架空戦記と卓m@sは、正直私の知識では到底ami=go氏に及ばないので、何も言うことはありません。ノベマスだけ見ても、アイオリアP・木偶P・シリアヌPという並びは素晴らしい。なかでもシリアヌP! 昨季の20選で、シリアヌPの名前を挙げた人が一人もいなかったのは、一番残念だったことの一つなので、大変嬉しかったのです。


・充実、濃厚の、餅は餅屋枠

むろP

5月に『Boy Meets Girl』で期待の新人としてデビューされた、むろPの20選。ああ、心底からノベマスが好きなんだなあ、よく見てるんだなあとひしひしと伝わってきます。昨季で言えばRe.Pの20選が、これとよく似た雰囲気でした。
その、好きという気持ちが発露されている様子も含めて、むろPというノベマスPの形成過程がにじみ出ている点でも興味深い20選です。
たとえば5月末に流行したノベマス制作講座から、胸厚Pと平蜘蛛Pのものを選ばれていて、胸厚Pの項には「動画の作成法に行き詰っていた時期に現れた救世主的動画。」とあります。何を表現したいかは明確だがそれを表現する手段がわからずに行き詰まっていた、ということだろうと思いますが、そこで「動画内のノウハウで自分にできそうなものは全てパク」った結果として、『Boy Meets Girl』が生まれた。読み取る意思があれば、そういうことができるだけの情報が、ノベマス制作講座群によって提示されていたということ。
あるいは、それは教えてくれる形を取った動画だけの話ではないし、動画作りの技術とは、映像をどう加工するかという話だけのものではない。利休Pの項には「萌えるキャラの動かし方という点で、この方の動画は非常に参考になります。」とあるし、HLCPの項には「この方はユーモアのセンスに非常に富んでいる方ですが、私が好きなのはその点よりアイドルを可愛らしく描いている点です。」とある。
むろP自身の動画を想起しながら読めば、この20選自体が、紹介と回顧の形をとった一篇のノベマス制作講座的なものになっているわけです。

Re.P

むろP→ガルシアP→ぎんねこP→格無しP→遼介P→ワイリーP→独眼P・赤ペンP・VAN-SP→フュージョンP→ヘンリーP→プロディP。
再生数的に突出した動画を集めたのでもその逆でもないが、順番に見ていくと、なるほど今期のノベマス界のメインストリートはこんな感じなんだな、と得心がいく。そんな構成になっていると思います。「迷ったら新人優先」という選出方針も、影響しているかもしれません。
また、 LCARS-PのMMDカジュアルパック、らくさんPのnukIM@Sという素材関連の動画と、それら素材やツールの生んだ結果としてのMMD作品や衣装改変作品が入っているのが、映像演出に特長をもつPらしい視点です。
そういうPが、むろPのノベマスと胸厚Pの講座動画を選ぶのも納得がいく話です。件の胸厚Pの講座動画で、参考にしているPとして挙げられた中にはRe.Pの名前もあり、より古株の作者ではボン太くんPやそいPといった名前があります。このように20選という場の中で、ノベマスPの技術の学習と伝承の系譜が可視化されているのは、大変面白いことです。
コメントで興味深いのは、むろPの作品についての

「技術力を評価する声が方々から聞こえてきますが、それ以前に今までのノベマスではあまり見なかっ た正統派ボーイミーツガールなお話に心を揺さぶられました。」

というものです。むろP・Re.P・胸厚Pの作品は、各々別の選者によってバラバラに選出されていますが、選者の作品を見る目線はよく似通っているように私は感じます。

きっちょむP

今期は記事にされる頻度こそ減りましたが、見る量は全然衰えていないわけで、蓄積が表れている20選ですね。
ノベマスに分布する動画の多様性を考えた時、20個の中で表現されているもののバランスの良さというか、そういう点において今期随一ではないかと思います。
今期も真中心の視点で多くの動画が選ばれているわけですが、その結果としてこれだけの多様性が捉えられているのが、このリストの面白さでもあるし、ノベマスの菊地真というキャラクターを考える上でも興味深いことだと思います。
バランスという点を具体的に言うならば、たとえばレストPの『ホットミルク・ウィスパーボイス』・コラーゲンPの『お子様抜きお子様ランチの祝福』と、サウンドノベル的・SS的な文章表現力・構成力に妙味のある動画が入っている一方で、ぎんねこPの『ブラックロォズ』・ふぉるくPの『偶像ネクロニカ』あるいは平蜘蛛Pの『ディライトスーパーノヴァ』等、アクの強いエンターテインメント作品も入っている。各々、そういうものが大好き、という人はいるわけですが、その両方から最上質の部分を選んでこられるという点。
一方で龍彦Pの『食の小鳥』・フュージョンPの『笑ってはいけない探偵』・bya氏の『貴音とトロ』と今期の特色的なヒット作も入っているし、ノベマス限定というわけでもない。つまり膨大な蓄積をベースにした上で、自己が感じる面白さのいろんな要素を表現できるということ。
さらに、Ak-47氏の『真面目(な顔してるだけ)な雪歩』・多重人格Pの『ヴァッ尺様の呪い』・さそPの『真のストーリーを偽造してみた』、k4r氏の『真のNTR物語』といったあたり、いずれも真動画として選ばれてこの人の20選を特徴づけているわけですが、各々全く傾向の違う動画なのが面白いし、ノベマスを相当見ている人でも、その4つ全部に目が届く人はなかなかいないでしょう。

格無しP

シリーズ物ならおしるP・かもっぱちP等、短編なら燦々Pの『ただ、それだけの話【ノベマス】』・ハヤブサPの『メールは駆け引き?【伊織】 』等々、優しい空気が立ちのぼる並び。しかし、とたらいざPがあったり、ウソm@sからも相当数選出されていたりと、仔細に眺めるとかなり多彩な方向性の動画が集まっています。その多彩さが、順番に見ていくととても腑に落ちるのが、文章と構成の妙。
チョイスとしてもっとも特徴的なのは、にわPの『世界よ開け/君に続く物語 【アイドルマスター2】』・失恋Pの『忘れたりなんか、しませんよ。』という、1と2の世界を繋ぐことをテーマにした動画の選出です。そう思って見ると、15のにわPから16のとたらいざP『玄関開けたら2分で異次元』・17のアデリーP『エアアイドル・マスター 』・18のかもっぱちP『2つの世界』という一連の動画は、ifの世界という共通したテーマを持った動画の並びなのですね。
ラストが自作の『ひなどり、にひき。』で、これまたこの20選のトリを飾るに実にふさわしい動画です。それはこの20選が、2011年上半期の自分と世界の関係に真摯に向き合ったものだからこそ、なのだろうと思います。

ところで悪徳記者を主人公としたワイリーPの短編『またにかける中年』は、アイオリアP、Re.P、格無しPと、見巧者かつ同業のノベマスPばかりから票を集めるという、なかなか凄いことになっています。
ワイリーPは、この短編一つとっても窺えるように、他の人と全く違う視野に立って情熱的で労力のかかる作品作りをする、非常に独特の個性を持つPですが、前年からの過去作のほとんどが削除または非公開になっていて、その活動の全貌を捉えることが困難になっているのが大変残念なところです。

ニゴリP

架空戦記とノベマスから均等な数の動画を選出し、PVとMMDにも枠を設けて選出する。ニコマスが好きなんだなあ、楽しまれているんだなあ、と伝わってくる20選です。なかでも、ユギマス出身Pとしてのアイマス×遊戯王動画への視線が熱い。おしるPの『彼女の呼び方』の語りも熱い。
これまた、トリに自作が置かれるのがとても似合う20選です。手前に『とのばな』を置いてここに飾られるのに、『たるき亭営業日誌』ほどふさわしい作品はないでしょう。

平蜘蛛P

マイリストを開いた瞬間、立ちこめる熱気に、うおっ何だこれ! と叫びそうになりました。熱い。ひたすら熱い。
ぶっくりP『三国破妖伝』の「目が離せません。と思ったそばから小ネタをはさみよるwww」、おぱマP『「私は、高槻やよいが嫌いだ」』の「おっぱい星人である前に熱烈な千早Pである作者の面目躍如!」、『とのばな』の「どいつもこいつもイイ女、イイ男で見ていて打ち震えて来ますw 」などなど、書き手の感動がダイレクトに伝わってくるフレーズの数々。
ラストのハヤブサP『ディナーは冷めない』で、「『アイドル』であることと『年頃の女の子』であることの葛藤という、王道ながらも意外と触れられないアイドルの一面」という言葉がごくごく自然に出てくる様など、満身これプロデューサーの人だなあ、と思いました。

DianaP

この枠の順番は何かと言うと、動画デビューの新しい順に並べてみたのですが、一口にノベマスをたくさん見ているPと言っても、DianaPともなると、最初に置く動画が黒澤Pの『ニュー・シネマ・ハルカ』になります。陽一Pの『いおりんの足をひたすらぺろぺろするだけの動画』を指して、「氏の水瀬伊織感を叩きつけるように書いた作品」と言えるのも、この人ならではでしょう。この動画だけをいくら見たところで、そんな言葉が書けるわけがないし、実際に他にはいなかったのですから。凝視し続けてきた、蓄積し続けてきたものの凄みが籠った20選です。
看板泥棒Pの『コーヒーとクリームソーダ』・Re.Pの『Re.小鳥とPの物語』・コンマイPの『心の隙間を埋めるノベマス』・レオハルトPの『そこに至るまでの軌跡』、更にターニャPの『【第四次ウソm@s】N@IR 第一話』うおゆき氏の『最終電車にて』と、この人だけが集約し得た動画が並ぶ様は圧巻。単に他人が選ばない動画を選んだからというのではなく、全てに通底して存在する、重く静謐な空気感が凄まじい。
そんな重い存在感のあるリストの中にあって、KAME氏の『【アイドルマスター】如月千早『律子』66連発+1』が入っている点は、DianaPの描く千早と律子の関係性を知っていると、ちょっとニヤリと出来ます。
昨季の同氏の20選と見比べると、要所要所でストレートに伊織動画を選んできているのが印象的で、それはこの上半期に、氏が対峙しなければならなかったものの大きさ苦しさを表してもいるでしょう。そういう意味で、このリストの最大の核心は、ニコラスPの動画の選出と、そこに添えられた伊織への言葉だという気がして、この20選を見返すたび、いつでもこの人は底に在って支え、歩み続けているんだな、と感慨が深くなります。

焼き肉P

とにかくブレがない。はるいおへのこだわりがブレないのは当然として、それ以外の部分も全く揺るぎない。
はるいお枠で、ハヤブサPに加えてスクラップPの『葉桜そよぐ』が入っているのは面目躍如だし、架空戦記から新玉Pの『アイドルマスター New Balls Please 』こしばいPの『忘却の聲【零M@S】』などという組み合わせは、なかなか選べるものではないでしょう。
レストPの『ホットミルク・ウィスパーボイス』で焼き肉Pと被ることができたのは栄誉。


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