3/21(月)~3/24(木)の動画覚え書き(ノベマス)


定期更新とか都市伝説。

3/21(金)~3/24(日)に気になったノベマスの覚え書きです。
以前は「Pickup」と銘打っていましたが、このブログが新着動画を同時的に記事に出来ることは、多分今後も稀だと思うので、「覚え書き」と改めます。


umetya氏 アイマス中世騎士物語【Iv@nhoe】愛ヴァンホー 第五話「ドラゴン」 (3/21)


イギリスの古典小説『アイヴァンホー』(ウォルター・スコット著、1820)をアイマスキャラクターに置き換えた作品。
リチャード王やらロビン・フッドやら有名人もわらわら出てきて繰り広げられる、中ニ病全開の少年漫画的ストーリーが楽しい。あっちこっちからネタを引っ張ってくる背景の画像も、ニコマスらしくて良い。そしてその荒唐無稽なお話の背後には、物語をアイマスで置き換えるための細やかな配慮、原作世界の丁寧な読み込みがあり、解説編によって視聴者はそれを知る事が出来ます。そしてその解説編はまた、作品の舞台である12cのイギリス史の、優れた教養講座でもあります。

ニコマスに入ってくる敷居の高さはよく指摘されますが、ニコマスには、世に存在する様々な敷居を劇的に引き下げる効果もあるわけです。多くの人は、200年前のイギリスの小説と自分の間には高い敷居が存在すると思っていて、それを現代の漫画やアニメと同じように楽しむことができません。しかし、ニコマス動画はその敷居を軽々と飛び越えて、その作品が現代の娯楽物となんら変わるところのない楽しいエンターテインメントである、という本質を露にしてくれるのです。

脱線。この作品は12c末のイギリスを舞台にしていて、従って解説やコメントの関心もまた12c末のヨーロッパ世界に集中しています。しかし、この物語を基盤に12cのイギリスを想像するならば、元来原作は19c前半に書かれたものであって、ここに描かれている「12cのイギリス」とはすなわち、19cイギリスの人間が、19cの世界状況を踏まえ、19cの知識と理解に基づいて描写した「12cのイギリス」であることに気をつけなければなりません。
言葉は常に、発せられる状況の文脈に基づいて、一定の意図の元に発信されるもので、そこから読者が必要な情報を得ようとするならば、その発信された文脈と意図を考慮する事が必須です。それが歴史理解に留まらず現実の生活に必要な作業であることは、地震や原発を巡る情報の奔流においてよく示されていると思います。
これは、情報の受け手側の問題です。ニコ動のコメントシステムはそんな面倒な思考を言語化するには向いていないので、現に架空戦記や教養講座のコメントは意図や文脈を踏まえない結論ありきの知識で溢れかえっているし、動画を楽しむぐらいのことならばそれで何も支障はないのですが、少なくとも読むに際して意図と文脈を考える習慣を持って損はしない、と思うわけです。

コンマイP(動画)+PKSP(絵) 心の隙間を埋めるノベマス 06 (3/21)


続きナンバーになっていますが、一話一話完全に独立の話です。今話の主人公は貴音。大食いチャンピオンの貴音と冴えないカメラマン、惹かれ合う先に待つものは…。
元々、繊細な演出とテキストの相乗効果により、ミステリアスで不安感の漂う独特の魅力的世界を構築してきたこのシリーズですが、PKSPの淡い絵が物語世界と絶妙のマッチングを見せています。動画作者と絵師の持ち味が噛み合って世界を広げる、一つの成功例と言えるのではないでしょうか。
後半の展開に、陽一Pの削除された作品を思い出した、というコメントがありましたが、もう一つ、私は愛識PのDRAM@S作品を思い出しましたね。貴音とこういうギミックとの結びつきは、興味深いものがあります。

今回、この記事の公開が遅くなった一つの要因は、この動画での「アルビノ」という言葉の扱われ方から、様々な創作作品に連想が及び、創作上の嘘(言葉への通常と異なる意味の付加)、あるいは創作に置ける通俗的なイメージの流用ということについて、いろいろと考える所があったからです。しかし、結論として、それはこの動画と直接関わりなく、ここで書くべきことではないと思ったので、書かずにおきます。

エメカフェP たつみやしょうちょう (3/22)


エメカフェPのお嬢様コント。麗華が素朴な疑問的なものを口にしますが、その内容がどうにもズレていて、楽しいのです。好きなんですよ、この会話の空気。

天才カゴシマP 春香の 無免許&轢き逃げ 逃避行 最終話(アイドルマスター) (3/23)


この物語はおそらく、作者自身にとってもなんらかの自己納得を得るための模索の物語だったのでしょうが、そのことと、動画が最後の最後まで読者を楽しませるエンターテインメントであることを両立していたのは、なみなみならぬことだと思います。

話がきちんと締めくくられるかどうかについては、私は何の心配もしていませんでしたが、それにしても、思っていた以上に穏当な終わり方でした。穏当だというのは、たとえばこれまで演じられていた物語はフィクションですよ劇中劇ですよ、という但書になる寸劇が末尾に付与して、丁寧に視聴者を安心させている点です。
私は、物語の最後に劇的なカタルシスを求めたがる人間なので、最終回に対してもう一段の波乱を期待しないでもありませんでした。前回のラストの展開に、「これはもう、全員集合して春香を追いかける流れじゃね?」という要旨のコメントがありましたが、私もそういう盛り上がりをちょっと期待していたんですね。その意味では、私の予想とはちょっと違う最終回でした。
けれども、この物語は、私が再三強調してきた逃避行の物語であるとともに、一編の青春物語でもあり、その青春物語にふさわしい締めくくりだったと思います。大騒ぎしていた問題が根底からひっくり返ってしまう、ひどく滑稽で且つ悲劇的な虚脱感。春香と雪歩の再邂逅のシーンに凝縮された、ワンカットの美しさ。エピローグで全員のエピソードを羅列するのではなく、亜美・真美・あずさの1エピソードで全体を締めくくるセンス。らしい魅力に溢れた最終回でした。

ひゅんP 明日のためのプランB 第25話/最終回 『明日のためのノープラン』 (3/22)


ひゅんPの看板連載、『明日のためのプランB』シリーズもまた、大団円を迎えました。ひゅんPは、多士済々のノベマス界の中でも特筆すべき発想力の持ち主であり、短編においては、動画表現に対するその鋭敏で広い視野が窺われる、独創的な試みをしばしば行なっています。
一方で、シリーズ物である本作においては、そうした奇想的な発想を敢えて抑えて、平凡な紙芝居型ノベマスの枠内でエンターテインメントに徹した作品作りを続けてきたのもまた、特徴的なところです。

本作の魅力はなんといっても、息もつかせぬギャグ、軽妙で知的な掛け合いの妙にあります。しかし、物語後半になって、メインキャストであるPと小鳥の、互いに依存しあう関係そしてPの抱えるトラウマ、という負の側面がクローズアップされてきます。
トラウマを抱える主人公のトラウマ克服、そして依存関係の解消というテーマは、ノベマスに限らず物語一般に広く見られるものですが、極めて扱いの難しいものでもあります。簡単な話、主人公が鬱々うじうじと自分のトラウマを悩んでいるストーリーなど、別に読んでいて楽しくないからです。そこに読者を納得または感情移入させる、もしくは読者の退屈を補償するカタルシスを形成する、何らかの手立てがないと、忽ち読者の共感を得られない独りよがりの物語と化してしまうのです。
そうした、トラウマを抱える主人公という題材が孕む難しさを、本作は実に軽々と鮮やかに突破しました。いやむしろ、遥か斜め上をもの凄い勢いで飛び越えていった、と言うべきでしょうか。大事なことほど簡単に言うべき、という言葉がありますが、本作においては、一番シリアスであるべき会話、一番深刻で重い言葉ほど、馬鹿馬鹿しい大笑いに包んで運ばれてしまいます。もっとも深刻な問題を、もっとも軽快に吹き飛ばす。
この物語のPと小鳥の関係の決着の仕方に対して、これは成長ではない、解決ではない、と考える人もいるでしょう。それは確かに正しいのです、あらすじとして起きた出来事だけを辿るならば。けれども、私はこの終盤の展開に、このプロデューサーの姿に、就中この小鳥さんに、力強い前進と輝きを感じるのです。

天才カゴシマPの動画の項でも述べましたが、読者を楽しませるエンターテインメントであることと、自己の理想の物語を追い求めていくことは、しばしば相克します。故に、シリアスなテーマを内包しながら、微塵も揺らぐことなく笑いに満ちたエンターテインメントであり続けたこの物語は、コメディノベマスの偉大な成果であると私は思います。


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