My First Vision  Track0014 : "Dream'in Love"


言葉にするとぼろぼろ零れ落ちていきそうで、でも言葉にしなくてもどんどん薄れて消えてしまうものを、少しだけ形にしておこう。


アイドルマスター 天海春香 Dream'in Love
2008年3月18日投稿
使用曲:小松未歩「Dream'in Love」 作詞・作曲 小松未歩 編曲 明石昌夫 小松未歩1stアルバム『謎』一曲目に収録

動画説明文:
「『そーかぁ。春香が候補生になるまではそんなイキサツだったかあ』
うんうんと頷いていると、春香はまだ何か言いたげに目線を伏せている。
『プロデューサーさん。わ、笑わないで聞いてくれますか?』

『オーディションに受かって、アイドル候補生になってはじめて765プロに行く、その前の夜のことなんですけど……』


今回製作にあたり、cocoonP作の偽アピール(星)素材をお借り致しました。
こんな場所でですがこっそりお礼を述べさせていただきます。」

マイリストコメント:「0014_シュールなフランスシネマ。」

概要:
「泣き疲れた夜に    とびきり熱いリライチャ飲んで
 鏡を見つめ      呪文唱えてみる」

夜、一人で部屋にいる春香。鏡を眺めていると、鏡の中の自分が笑いかけてきます。 「!!」

「$100万掴む    誰もがダイヤの原石
 磨き上げたら     永遠に輝く
 みんな 気づいてる  愛なんて幻覚(まぼろし)
 ため息を どうか   勇気にかえて」
  
流れる情景は、春香が思い描く空想でしょうか(もうどんなだったか忘れた)
向こうを向いてた春香がこちらに気づいて微笑むようなシーンもあったようななかったような。あったことにしておこう。

「Dream'in Love    どんな 夢もかなうよ
 どんな笑顔も選べる  空に浮かべ
 Dream'in Love    今夜 生まれ変わるよ
 Tシャツの中は    鋭く光るナイフ
 Super girl」

いつしか春香はドレスを着て、小さな舞台で踊っています。
「くるんくるんと回るところがなんとも可愛いなぁ」(動画コメント42番)
「あー、なんか・・・また春香をプロデュースしたくなってきた」(動画コメント24番)
そして、アピールをすると…
長髪のすらりとした少女と、ツインテールの小柄な少女がいつのまにか一緒に踊っています! 
素敵なステージになりましたね。

「Dream'in Love    どんな 夢もかなうよ
 どんな笑顔も選べる  空に浮かべ
 Dream'in Love    今夜 生まれ変わるよ
 Tシャツの中は    鋭く光るナイフ
 Super girl」

やがて歌の終わりとともにステージは消え。
小さな雑居ビルの前に、春香は立っています。
ビルの窓には「765」の文字が。
「眠りから覚めて、はじめて765プロ出社です!」(動画コメント13番)
こちらに背を向け、これから入っていく事務所を眺めている春香。どんなことを思い、どんな表情をしているのでしょう。
「正夢になるといいなあ・・・」(動画コメント47番)
きっととっても素敵な、ちょっとびっくりするかもしれない出会いが待っていますよね。
さあ、扉を開けると…



Track0014極私的ライナーノート

07年秋頃、アカウント停止によって全動画が削除されてしまった(アイマス以外で上げていた動画の権利者削除が原因と思われる)ななななな~Pは、12月末に削除されたアイマス動画の再UPを行う。その後しばらく投稿活動はなかったと思われるが、翌08年2月になると、主として公式曲の音源を編集した動画を投稿し、3月に入ると画質テストとして旧作の高画質版をいくつか上げた。そして3月の半ば、前年9月の「アイドルマスター 天海春香 許されない恋」以来久方ぶりに投稿された春香ソロのPVが、小松未歩曲を使用した「アイドルマスター 天海春香 未来」であり、この「アイドルマスター 天海春香 Dream'in Love」である。

ななななな~Pは、歌を大切にする人である。彼はPVで使用した曲のおそらく全てを、思い入れのあるアーティストの思い入れのある曲から選んでいる。そのことは、現在も残るマイリストコメントの、ビーイングについての言及などからも窺える。
彼は、動画において曲を滅多にフルで用いなかった。それは演出上の都合であったかもしれないし、あるいは権利者に対する尊重や削除対策を意図したものであったかもしれないが、根本的には、ななななな~Pの歌に対する姿勢そのものに起因しているように、私には思える。ななななな~Pは、誤解を恐れず極論するならば、動画において、歌の世界を歌詞通りにアイドルで表現する、それ以上のことは何もしない人である。アイドルに対しても、歌に対しても、それ以上の何かを付け加えようとはしなかった。
故に、彼のステージで使用される曲は、言葉の一字一句まで、表現したいアイドルの物語と重なり合っている必要があった。だから、彼は歌とアイドルが一番重なり合うぎりぎりのところだけを動画にしていたのだと思う。
「アイドルマスター 天海春香 Dream'in Love」にも、それが当てはまる。この動画では、1番が流れた後、2番と間奏を省略して最後のサビに曲が飛んでいる。マイリスコメントの「シュールなフランスシネマ」は2番の歌詞から取られた文句だが、その2番が存在する曲であることを踏まえながら、1番のみを選んで春香の歌としたのが、この動画である。

ななななな~Pの中には、春香が存在していた。中になのか、隣に、なのか、向かいに、なのか、どう存在していたかは他人には与り知らぬところだけれども。彼には、出会う前からプロデュースを終えた後に至るまでの、いろんな春香の姿が、一続きになってありありと見えていた。彼にとっての動画製作とは、すなわちそうやって一続きになって存在している春香の物語の中から、いろんな時点での思い出を取り出して形にする作業だったのだと、私は想像している。


さて、「アイドルマスター 天海春香 Dream'in Love」である。
Dream'in Love。不思議な文句だ。
Dream in love. 愛に在る夢。Dreaming love.愛を夢見る。夢見る愛。
Dreamer in love. Dreamers in love. Dreaming in love.
なんにしろ、キーワードは「Dream」そして「Love」。

この動画の春香は、アイドル候補生になる前夜、765プロの仲間と出会う前夜、プロデューサーになる人と出会う前の春香だ。私たちの誰も、この春香と出会ったことがない。彼女はまだアイドルの春香ではなく、765プロの春香でもないのだから。だけど、ここにいるのは、間違いなく、私たちのよく知っている春香そのものだ。出会いの日の前の晩、春香はこんな風に夢を見て、ステージに飛んでいたに違いないのだ。私たちが知らなくても知っている、知る前から知っている春香が、ここにいる。ななななな~Pが見せてくれた春香の中で、一番始まりの、始まりよりも前の春香だ。

ところがこの動画は、出会いよりずっと後、ひょっとしたら物語の終わり近く、いや終わりよりさらに後のものでもありうるのだ。それを物語るのが、動画の説明文だ。この説明文の春香は、プロデューサーともう出会っている。それも、多分もうたくさんの思い出を作っていて、プロデューサーとこんな話を語り合うくらい信頼しあっている春香だ。ひょっとしたら、この春香とプロデューサーは、もうラストコンサートが近いのかもしれない。あるいは、ラストコンサートよりももっと後で語りあっている二人なのかもしれない。
それにしても、この初々しさはどうだろう。こんなに恥ずかしげに、目線を伏せて「わ、笑わないで聞いてくれますか?」なんて。だけどこの二人は、春香は、ずっとこんな風であり続けておかしくないのだ。ラストコンサートも間近になって、事務所でプロデューサーとバッタリ出くわして、顔が近いというだけで恥ずかしがっている娘なんだもの。まだ「プロデューサーさん」と呼びかけているのだから、「灰春香後日談SS」の春香ではないのだろう。でも、情景としてはいつであっても不思議ではない。
そんな春香から、自分が知らなかったころの春香を聞く。ななななな~Pの春香は、いつも過去と現在と未来が、循環し、同居し、交錯する中にいる。出会いの前の物語、始まりの物語は、同時に出会いの後の物語でもあり、終わりの前の物語や終わりの後の物語でもありうるのだ。

今度は、ななななな~Pと春香が形にした、歌の言葉を、少しだけ見てみよう。
「誰もがダイヤの原石 磨き上げたら 永遠に輝く」「どんな 夢もかなうよ どんな笑顔も選べる」
春香が歌を、アイドルを、希望を信じ続けるように、ななななな~Pはいつでも春香に、春香の歩む先に、無限の希望を、無限の可能性を、無限の未来を見ている。その話は、また別の時に、そう「等身大の地峡儀」の話で語ろう。
だが、おかしな台詞が一つある。
「みんな 気づいてる  愛なんて幻覚(まぼろし)」
これだ。なんだって、始まりの春香を、希望と未来を描く物語に、こんな言葉が入っているのだろう。2番にはこの言葉はない。愛なんて幻覚、という文句、入れたくなければ2番を使っても良かった筈だ。あるいは、こんな言葉の入らない、希望しか歌わない曲を選んでもよかったはずだ。でも、ななななな~Pは、この言葉を選んだ。そして歌は、こう続く。
「ため息を どうか   勇気にかえて」
これはどういうことだろう。「ため息」を「勇気」に変える、とはなんだろう。彼は、「愛なんて幻覚」という言葉を否定しようとしているのだろうか。その言葉を認めないのだろうか、それともその言葉に立ち向かおうというのか。そもそも、愛が「幻覚(まぼろし)」であるとは、一体どういうことなのか。
それはいずれ、「天海春香   が好きだ」において、明らかになるはずだ。今はただ、この歌の中にこの言葉があることを、憶えておきたい。


動画にまつわる自分の思い出話を、いくつか。
「アイドルマスター 天海春香 Dream'in Love」は、「春香と灰春香」や「ヤッホー!」や「天海春香   が好きだ」ほどには有名にならなかったから、これを自分が好きでいることが嬉しい、ファンとしての自尊心をくすぐられる動画でもあって、私は自分の頭の中で「アイドルマスター 天海春香 Dream'in Love」の応援団であった。生放送を見始めた頃、何か自分でもリクエストしようと思ってすぐに浮かんできたのがこの動画でもあって、こんなに素敵な動画なんだぞと胸を張るつもりでリクエストして、コメントの反応が普通なのにがっかりしたり、なんてことがしょっちゅうだった。
私は動画を作ったことはないけれども、こんなシチュエーションとか情景があったらいいな、とアイドルたちのイメージを空想することは時々ある。ある夜寝ていたら、夜更けに部屋で踊る春香さんのイメージが浮かんできた。春香さんが、明日にある何かが楽しみで待ちきれなくて、つい踊りだしたらいつの間にか部屋がステージに変わっている、みたいな光景を夢想して。次の朝目覚めて、あー昨日夢想したあの光景は素晴らしかったなあ、こんなことを空想できる自分凄いんじゃね、誰かこんな動画作って、とか思ったところで、あれ、それどこかで見た事あったような、としばし考え込んで、なーんだ、ななななな~Pのアレじゃないか、と。「Dream'in Love」をdream'in loveしていた、というオチ。


縷々述べてきたが、結局のところ、難しい話は何もいらないのだ。ただ、この春香さんが、ステージを夢見る春香さんが素敵で素敵で、僕はこの動画が大好きなのだ。ななななな~Pの動画の中で、一番好きな動画だ。
え、お前はすでに違う動画を一番好きだと言っただろうって? 数字の一番は一つしか表さないけれど、心の一番はいくつだって存在するのだ。だから、この動画が一番好き、で正しいのだ。

明日に願い続けてきた夢が、輝かしい未来が、運命の出会いが待っていて、その前の夜、どきどきしながら見る夢。どんなに不思議な魔法がかかったったっておかしくない、そんな夜の、素敵な素敵な出会いの夢。

「アイドルマスター 天海春香 Dream'in Love」。


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