明日へ向かって跳べ


見るべき動画が山積して、毎日ヒイヒイ言いながら楽しんでいるんですが、そんな中、お世話になっている『NP氏の本棚』さんの、すっごい記事を読んでしまって、

NP氏の本棚 時の運命に立ち向かうRPG (ラヴォスP・クロノマスター特集)

うわあ、これを見ずにいられるか! とラヴォスPの動画を見始めてしまいました。時間が、時間が~。

さて、とうとうこの日が来てしまいました。
今日から始まる大きな出来事について、『ぷよm@s』を絡めて少々話しをしたいと思います。

※以下の文章は、介党鱈P「ぷよm@s」part24の内容の全面的なネタバレを含みます。

さあ、というわけで、今日、いよいよ始まります!


そう、
2011年ノルディックスキー世界選手権、ノルウェー・オスロにてついに開幕!


 何の因果か私がスキージャンプをネット観戦するようになって、2年目となります。ごくごく浅い観戦歴と知識しかないので、技術的なことは何もわからずに、あ、なんとなく凄い感じ、とかなんとなく観客が盛り上がってるなあ、とかフィーリングで見ているのですが、それでも楽しめてしまうのが、スポーツの面白いところです。

 で、そのわからないなりに見ていてなんとなく楽しい、という感じが似ているなあ、と連想したのが、『ぷよm@s』の最新回です。

【事務所を】ぷよm@s part24【革命する力を】


 私はぷよぷよの戦術とか理論を全く知らず、理解する気もないまま『ぷよm@s』を見ているので、そこがまずジャンプ観戦と似ているんですよね。彼ら彼女らがそこで何をやっているかわからなくても、強い選手が戦う時の緊張感とか、対決の熱さとか、そういうものって見ているだけで伝わってきます。
 で、この回を見ていて思ったのは、最近の『ぷよm@s』って、現実のスポーツに似てきたなあ、ということです。
 何が似てきたのか。part24で、今までランキング一位だった千早が負けて、破った雪歩もまたあっさり負けて、ランキングが大きく変動しました。物語的に考えると、今までの状況をひっくり返す驚愕の展開であるわけですが、これを現実のスポーツだと思って考えると、とても当たり前の、起こるべきことが起こったと思うのです。

 バトルを扱う物語では、絶対的に強くて誰にも負けない、というキャラクターが、非常にしばしば描かれます。主人公が太刀打ちできない圧倒的に強い敵がいる。そして倒せないはずのその敵を、主人公が何らかのギミック(トリッキーな戦術・努力による成長・仲間の団結等)を用いて倒す、もしくは倒せないまでも立ち向かっていく。ここにカタルシスが生まれます。この、”絶対がひっくり返されるカタルシス”が、バトルを描く際の主眼になることが多いからです。
 『ぷよm@s』の前半で描かれたのも、こうした物語でした。まず、キャラクターの強さの対比を読者に印象づける。『ぷよm@s』第一部を視聴した視聴者には、視覚化されたランキング以上に、自分中のイメージとして、たとえば

未知だけどもの凄く強いであろうP>>>最強の小鳥>>天才の美希>>その他>かませ組

といったような、(図自体はどうでもいいので適当です。)キャラクターの強さのヒエラルキーの想像図ができていた筈です。そのヒエラルキーを、千早という主人公が覆していく。この、『ぷよm@s』における強さのヒエラルキー下での戦いが、私はジャンプ競技の選手達の関係に似ているように思うのです。

 ジャンプとは、単純化してしまえば、滑り台を滑り降りて、その勢いで跳ぶだけの、変則的な走り幅跳びです。全く同一の条件で全員が実力通り跳べば、誰が一番幅跳びを大きく跳べるかって、能力的に最初から決まっているわけです。そして当然ながら、その互いの強さを、やっている選手達自身が誰よりも理解している。葛西紀明とか船木和喜といった選手のインタビューを聞いていると、「今の自分のジャンプでは世界のトップに7~8m足りない」とか、「今日欠場した誰々が同じ条件で跳べば、自分より5m長く飛んだだろう」というような発言がしばしば出てきます。ライバルとの強さの差が、5mとか10mとか厳然たる距離の差として見えていて、その中で勝負しなければならない。この関係が、強さのヒエラルキーの下でバトルしている『ぷよm@s』のアイドル達と、似ている気がするのです。

 一方で、現実のスポーツにおいては、どれだけ圧倒的に強い天才であっても、無敵無敗などということはありません。羽生善治、武豊、イチローというような、圧倒的な才能を持った天才であっても、試合を重ねれば、しょっちゅう負けたり打てなかったりしています。「誰もが何度も勝ったり負けたりしているけれども、その中でも明らかに異質で強い人がいる」のが現実のスポーツにおける強さというものですが、そんな描写を物語内で行なうのは困難で、物語における強者の描写は、「物語内ではいつでも勝っている」(もしくは実際には戦わず、強いという説明だけがある)という形にならざるを得ません。

 『ぷよm@s』のストーリー展開も、物語的な強さの描写と、構築された強さのヒエラルキーを覆すカタルシスの連続でした。このPart24のランキングの激動もその一つと見てもいいわけですが、私はちょっと、今までと違う感触を受けました。
 千早と雪歩の対戦、これまで千早の強さを表現するために積み上げられてきた描写の厚みを思えば、ごくごくあっさりと千早は負けたと思うのです。そしてその千早を倒した雪歩は今までならば、ヒエラルキー上負けにくい(成長の描写が充分積み上げられた相手にしか負けない)強者の位置に登りつめた筈ですが、その後雪歩→真、真→亜美というランキング一位の移動がいとも簡単に起こった。
 ここで重要なのは、真・亜美とも以前のヒエラルキー上の相対的な力関係では対戦相手より著しく低かった筈で、かつ千早や雪歩のように成長の描写が詳細に描かれた訳ではないということです。これまで連動していた筈の、仮想的なヒエラルキーと視覚化されたランキングの関係ががらがらと崩れたのがこの事件で、それに説得力を持たせるのが、各アイドルの戦法の相性、という視点です。
 ここが、『ぷよm@s』が現実のスポーツに近づいた、と私が感じる最大のポイントです。こうしてランキングがひっくり返った現在でも、以前のヒエラルキーが消滅したわけではありません。総合力で見れば、まだまだ千早は真や亜美より強い筈。でも、その千早でも相性やコンディション次第ではあっさり負けてしまう。一方で、相性と運の良さで1位になったように見える亜美ですが、こうなってみるとこのまま亜美が勝ち続けてしまう展開もないとは言えないし、これまでヒエラルキー下位にいたキャラクターのうち誰かが一気に勝ち上がる展開だってあり得る。
 強さのヒエラルキーは確かに存在するけれども、条件次第で試合結果はヒエラルキーと違ったものになり得るし、ヒエラルキー自体も時々刻々変化し続けている。『ぷよm@s』における強さが、物語的な一次元の存在から、現実のスポーツ的な多次元の存在に変わりつつある、と私は思うのです。

 で、このランキングの大変動がまた、ジャンプ競技の試合に似ている、と思うのですね。
 ジャンプは、自然条件に大きく左右される競技です。走り幅跳びのようなもの、と私は言いましたが、スキージャンプが幅跳びと大きく違う点は、跳んだ後、長時間空中を滑空する点です。単に跳ぶだけでなく、跳んだ後自分の体そのものを紙飛行機にして、できる限り長く空中に浮き続けることが必要になります。滑り降りる台の路面がどれだけ滑りやすいか、浮いている時にどんな風が吹いているか、着地する地面がどれだけ固まっているか、といった自然条件が、全て結果に大きな影響を及ぼし、しかもそれは時々刻々、選手一人ごとに変化します。
 世界最強の選手が最高のジャンプをしても、背中の上から風が吹けばあっという間に地面に叩き付けられ、無名の選手でも下から風をもらえばいくらでも遠くまで飛んでいける。ジャンプという競技の大変不条理であり、同時に魅力である点です。
 そして、ジャンプはぷよぷよのように一対一で対人バトルする競技ではありませんが、この天候条件やジャンプ台ごとの形状の違いによって、各々の戦法というものが生まれ、得意な条件苦手な条件が生じてきます。昨日の試合では良い風が吹いて風に乗るのがうまい選手が上位にならんだのに、今日の試合は悪天候で、昨日の上位選手はみんな叩き落とされて、悪条件でも耐えて飛べる選手が勝ってがらりと順位が変わる。そんなことがしょっちゅうです。一日でランキングがひっくり返った「ぷよm@s」の今と、よく似ています。ランキング一位になった亜美が、私には突然勝ってしまった無名の若手ジャンパーとダブって見えます。たまたま運と相性が良くて一回だけ勝ってしまったのか、それとも才能が目覚めてこれからずっと勝ち続けるのか、次の試合まで誰にもわからない。
 一方で厳格な強さのヒエラルキーがあり、一方では運と自然に翻弄されながら、その間で最善を尽くして勝つことを狙う。スポーツだなあ、と思うのです。

 もう一つこの回で面白かったのは、トーナメント戦前にわざと負けてランキング順位を操作しようとした、真美の動きですね。決勝トーナメントで強いチームに当たらないためにグループリーグで順位を調節する、という発想はいろんなスポーツのトーナメント大会で見られますが、ジャンプでも似たような発想があるんですね。

 ジャンプの国際試合は、出場者全員が、まず予選で一本飛びます。そして予選の成績上位50人が本戦に進みます(シード権というものもありますが、割愛)。本戦では一人2回飛んで合計得点で順位を決定しますが、まず一本目は予選の成績が下位の選手から順番に飛びます。全員が一本ずつ飛び終わったら、上位30人が2本目に進み、一本目の得点が低い順に飛んでいきます。
 つまり原則的に、弱い選手から順番に飛んで最後に一番強い選手が出る、というのがジャンプ競技の発想です。そして基本的には、後から飛ぶ選手の方が有利でもあります。その理由はいくつかありますが、単純に説明しやすいものでは、後になればなるほど、台が前に飛んだ選手によって踏み固められて滑りやすく・加速しやすくなることが挙げられます。
 しかし、どんな場合でも後から飛んだ方が有利なわけでもありません。たとえば雨が降っている時。後になればなるほど雪が溶けてぐしゃぐしゃになり、滑るのも着地するのも難しくなります。また、午前中は向かい風(ジャンパーに有利)、午後になると追い風(ジャンパーに不利)が吹きやすい場所で、午前11時から試合がある、というような場合。
 このように、早い方で飛んだ方が良い条件で飛べる可能性がある時に、トップクラスの選手が、予選をわざと低い順位で通過して早い順番で本戦を跳ぶ(実際にはシード権を持ちながら予選を棄権する、ということになりますが、シード権獲得の説明をしていないので割愛)作戦を取ることがあるのです。本来的には早い順番で飛ぶのは不利である上、必ず良い条件に当たる保証はないわけで、同じ条件で勝負したら勝てないライバルに対して条件で差を付けて勝とうとする、リスキーで、選手が互いに実力を知り合ってるからこその作戦とも言えます。
 真美の行動は、ぷよぷよが対人戦による競技で、『ぷよm@s』を人間関係の物語として見る人が多ければこそ、「汚い」とか「負けフラグ」というコメントがつくわけですが、スポーツ一般に置き換えれば、誰と戦うかということは戦いの条件であって、ジャンプにおいていつ、どんな風が吹く時に飛ぶかと変わりありません。自分の能力の限界を理解していて、その中で最大限に有利(な可能性がある)条件を獲得する努力をすることで勝つために最善を尽くす。真美の行動は非常にスポーツ的だなあと思った訳です。

 そんなわけで、『ぷよm@s』がスキージャンプ(を含む現実のスポーツ)に似ているなあ、と。
 『ぷよm@s』を楽しむ普通の楽しみ方って、ぷよぷよを巡るアイドル達の人間ドラマ・成長物語を楽しむ、という物語的な楽しみ方と、ぷよぷよバトルの内容を解析してその熱さ・凄さを楽しむ、というバトルを楽しむ楽しみ方の二つが主流だと思うんですが、どちらでもなくスポーツをまったり観戦すよような楽しみ方もできるんじゃないかな、という気がします。
 ぼんやりと動画を眺めながら、あーやよいおりは今日も下位組かー、明日もそうだろうなー、千早はスランプなのかなー、雪歩は強くなったなー、とか。ジャンプを見て、あー日本チームは今日は一人が10位代で二人が20位代で二人が2回目に進めずかー、そんなもんだよねー、でも明日はいい風が吹いて一発当ててくれないかなー(日本チームを応援するのは、『ぷよm@s』のかませ組を見守る心境とよく似ている)、オーストリアの誰々はシーズン初めの勢いがちょっとなくなったかなー、ドイツの誰々は最近急に強くなったねー、と感想を言うのとおんなじ感じで。
 『ぷよm@s』でアイドル各々のドラマや、バトルそのものを掘り下げるのと同じように、現実のスポーツも、選手個人個人のドラマや競技戦術を掘り下げていけばいくらでも掘り下げて楽しめる訳ですが、そうでないフィーリングだけで楽しむ楽しみ方もあるということで。

 で、そうしてドラマやバトルに踏み込まずともフィーリングで楽しめることが可能である点がまた、最近の『ぷよm@s』の凄さだと思うのです。
 物語的には、たとえば千早の葛藤の解決であったり、律子のコンプレックスや自信喪失の解消であったり、最終的にアイドル達がプロデューサーをも越えていくことであったり、各々の視点においてどこかにゴールがあって収束していくのだろうけれども、そうして物語が収束した後でも先でも、描かれてないところで彼女達は何度も勝ったり負けたりを繰り返し続けている。そういう世界の広がりを感じさせる回であったなあ、と思います。

 『ぷよm@s』をダシに使ってスキージャンプの話をする、という記事でした。いろいろ面倒くさいので、競技の具体的なところには踏み込みませんでしたが、冒頭に書いたよう、今日からノルディックスキーの世界選手権が開催されます。

 2年に一度開催される世界選手権は、スキー競技においてオリンピックと並ぶビッグイベントです。しかしながら日本において、野球・相撲に代表される特殊な競技を除いて、スポーツ報道・放映は極端にオリンピックに偏重しています。あらゆるスポーツにおいて、オリンピックでメダルを取れない種目・オリンピック以外の世界大会の、一般の認知度は極めて低いのが現状です。
 スキージャンプという競技は、1972年の札幌冬季五輪、1998年の長野冬季五輪における日本人選手の活躍があったために、マスコミ露出・一般の知名度においても、日本人選手の競技環境においても、ウィンタースポーツの中では相当に恵まれた方ですが、そのジャンプでさえ、長野でのメダルから13年経った現在、マイナーなスポーツであるのが厳然たる事実です。このブログを読んでくださる方の中でも、今現在フィギュアスケートで日本のトップ選手を挙げよ、と言われたら、ほとんどの人が答えられるでしょう。また、長野冬季五輪時代のジャンプの日本のトップ選手を挙げよ、と聞かれて答えられる人も多いと思います。しかし、今現在スキージャンプで日本でトップの選手は誰で、世界でトップの選手は誰か、と聞かれて答えられる人は、ほとんどいないと思います。

 かくいう私自身、最初に述べたように、スキージャンプについてとりたてて深い理解があるわけではありませんし、ジャンプ以外のノルディックスキー競技についてはまったくと言っていいほど無知ですが、わからないならわからないなりの楽しみ方があるもので、存在が周知されていないが故にごく少数の人しか楽しむことができない世界が世の中にはたくさんあることが、少しでも広まればいいな、と思うわけです。

 せっかくなので、NHK-BSのノルディックスキー世界選手権、スキージャンプ競技の放送日程を貼っておきます。

NHKBS1 ジャンプ中継

2月25日 (金) 24:00 - 25:30 世界ノルディック選手権 ジャンプ 女子個人 ノーマルヒル
2月26日 (土) 24:00 - 25:50 世界ノルディック選手権 ジャンプ 男子個人 ノーマルヒル
2月27日 (日) 23:00 - 24:50 世界ノルディック選手権 ジャンプ 男子団体 ノーマルヒル【LIVE】
3月03日 (木) 25:00 - 26:50 世界ノルディック選手権 ジャンプ 男子個人 ラージヒル
3月05日 (土) 12:00 - 15:50 世界ノルディック選手権 ジャンプ 男子団体 ノーマルヒル/男子個人 ラージヒル
3月05日 (土) 24:00 - 25:50 世界ノルディック選手権 ジャンプ 男子団体 ラージヒル
3月06日 (日) 19:00 - 20:50 世界ノルディック選手権 ジャンプ 男子団体 ラージヒル

 ちなみに先陣を切る女子ジャンプ。競技人口が少なすぎてオリンピック競技となることを認められておらず、世界選手権での開催自体まだ2回目ですが、日本は女子ジャンプ草創期から、世界のトップで戦える選手を輩出しています。今は14歳の高梨沙羅選手が絶好調です。今日の公式練習でもよく飛んだようです。メダルまであります。今回取れなかったとしても、次回大会、次々大会でまだ高校生。マスコミ大好物の、若い女の子のメダリストになる可能性が充分にあります。全国のプロデューサーさん、要注目ですよ、要注目! もちろん16歳の伊藤有希選手、前回好成績の渡瀬あゆみ選手、復活したベテラン葛西賀子選手にも期待です。

 ジャンプは空中でできる限り浮かなければならないという競技の性質上、必ずしも全身をムキムキに鍛える必要がない、というビジュアル面の優位? があります。女子ジャンプが今後、フィギュアスケートとはいかずとも、一時の女子カーリングのような注目を浴びることがないとは言えません。アイドルプロデュースの専門家たる皆様には是非、女子ジャンプの可能性を認知していただきたい所存であります。

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