ぼんやりとFRISKPの春香を眺める


 FRISKPについてものを言える人はたくさんいるので、私がこの人の動画について何か書くことって多分ないんだろうなあ、と思っていたんですけれどもね。眠くて本来今日上げるつもりだった記事が仕上がりそうもないので、なんか全然違う適当にだらだらとしゃべくるようなことを書きたいな、と思いまして。書き上がったらこの時間だよ、とほほ。

FRISKP アイドルマスター 「君に」 (11/1/26)



この動画をぼーっと眺めていて、やっぱり春香Pなんだよねえ、とか思っていたら、コメントでまったく同じことを書いている人がいて、そーですねー、となんとなく相づちを打ってみたりしました。

 もちろんFRISKPは春香特化に近い投稿活動をしてきて、春香のPであることはみんな知っていますが、しかしFRISKPが評価されてきた文脈は、誰々の専属P、という特定のアイドルとの関係を基盤とする文脈ではなく、そういう前提抜きで広範囲の人が受信できるアイマスMADの製作者としてでした。何故そうなったかって、当然ながら、このPに広範囲の人に対してキャッチーなものを発信する感性があるからです。

 で、その感性が具体的にどういったものか…というあたりはまあ私にはよくわからないしあまり興味もないところですが、とりあえずアイディアとかコンセプトが次々に湧いてくる人のようであると。それから、アイディアを綺麗に一つのパッケージにまとめてしまう能力が異様に高いと。去年一年で、わかっているだけで10個以上の作りかけのアイディアを持っていて、それを3つの動画にまとめているわけです。個人的に勝手にFRISK RECYCLEと呼んでいる「飽きm@ster 詰め合わせ」とか、モンタージュの「Five」とか、いろんなコンセプトで作りかけた動画を寄せ集めて、また別のコンセプトを持ってきてさらっと一つのパッケージにしてしまえる。あとは、あんまりこの言葉に手を出したくはないけれど、高級感、ですか。15秒CM@sterの奴とか、まあ似たネタを着想して動画にできる人はたくさんいるだろうけれども、FRISKPの作り出す質感があることで、単なるネタでもずいぶん高級な作品に見えるようになると。

 動画一つ一つのコンセプトがはっきりしていて、かつ一つ一つ綺麗なパッケージになっているということは、つまりとても作品がわかりやすいということ。特に10年下半期のFRISKPの動画って、わりと人によって、あれは好きだけどこれはあんまりピンと来なかった、みたいな感想がはっきりと分かれて、かつそれを気楽に口に出来る雰囲気があると思うんですね。どこを一番見たいと思うか、どこが彼の本質だと思うかで、いろんなものをFRISKPに仮託して見ることができる。FRISKPの中にりんごPを見る人も、わかむらPを見る人も、かりふらPを見る人もいます。そんなこんなで、FRISKPは今現在のニコマスPVのトップランナーの一人であります。

 最初の、春香Pなんだよねえ、の話に戻ります。まあ非常に皮膚感覚的な感想なのですが。たまにすごく専属Pっぽさが見える時があるんですよね。専属Pっぽさというのは今でっちあげた言葉で、自分でも気に入らないのですが、つまり一人のアイドルと自分のことしか考えられなくて、それだけで世界を構築できてしまう思い込みの激しさ、そういうものが見える時があります。
 しかし、思い込みの激しい人は基本思い込みの激しい動画を中心的に作るものだと思うのですが、彼はそうはならないんですよね。送受信ともにもっと広くアンテナを張れる。だから、どういう文脈から動画を見る人にでも、受け入れられる素地がある。
 そこが得難い資質であるところで、同時にそれ故に、時として非常に苦しいのかもしれない、と思ったりします。起を描き始めた時に、承転をすっとばして既に結が見えてしまっている、という苦しさ。起から始めて、積み上げて積み上げてようやく結に至る、という道を辿ることができない。


 春香で物語を考えようとすると、トゥルーEDの存在を意識せずに描くことはできないし、見る側もEDの存在を前提として春香動画を見ます。かくしてニコマスは春香トゥルーEDの物語で溢れ返っていますが、誰でも大体、行き着く所はそんなに違わないわけです。一番最後の最後、自分は春香にどんな言葉をかけるのか、となった時に、答えにできる言葉はごく限られている。時々、考え過ぎて常人にはよくわからない領域まで突き抜けていく人もいますが。
 なので、私は春香のストーリー系PVを見るときに、文字がとても気になります。何を春香に言わせるか、何を自分の台詞として言うか。大概いろんなものが見えている人、考え過ぎている人ほど口数が減っていくものですが、しかしそれでもなお、どうしても叫ばずにはいられない言葉があって、これ以上は削れない、これ以上は言えない、というギリギリのせめぎあいで残ったものが形となります。

 それで、この『アイドルマスター 「君に」』という動画。
 苦しい動画です。単純に考えれば、この歌とこの映像は、まったく正反対のことを言っています。完全な矛盾が、一つの動画の中で同居している。この矛盾は、春香に恋すれば必ずぶち当たる矛盾で、だけどその矛盾をここまで鮮やかに同時に存在させる表現は、ほとんど前例がないんじゃないでしょうか。
 だから、この動画は苦しい。いろんなものが苦しい。ここまでの抑制とここまでの斬新性をもって構築しなければ、この動画は形にならなかったんだと思います。

 2010年にデビューして、2011年の1月という時に、目が見えていながら春香の物語と向き合って動画にしなければならない。それはここまで苦しいことで、だからFRISKPという稀有の資質の持ち主が、その資質ゆえに何倍も苦しさを増しているであろう、春香の物語と向き合って生み落としてくれたこの作品を見られたことを、私はとても幸せだと感じました。


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