「SFM@STER」特集

 1/2~開催の、「SFM@STER」参加作品の特集です。
 1ヶ月前になるわけですが、タグロック形式、遅刻OKの祭りだったので、どれくらい後まで動画がくるか分からなかった、ということと、主催者であるO(オー)Pが企画ブログSFM@STER広報ブログを作られているので、そちらでまとめ記事が上がったりしたらあんまりこの記事書く事なくなるよな、と思って様子見していたのです。
 最初の告知から開催までだいぶ間があったりとか、諸々の事情でさほど話題にはならなかった気もしますが、個性的な動画が集まった、とても面白い企画だったと思います。



⑴企画告知・支援動画

O(オー)P アイザックアシモフ誕生日記念・SFM@STERのお知らせ (10/7/31)


昨年7/31に投稿された企画告知動画。レギュレーションの中で個人的に注目していたのは、SFでありさえすればジャンルは問わない(ノベマス、架空戦記、PV、手描きなんでもあり)という点と、一話完結、という点ですね。どういった幅の作品が集まってくるか、とても楽しみにしていました。

ss氏 【卓m@s・SFM@STER支援】カバでもわかる(?)超人ロック (アイマス教養講座 アイマスMAD処女作 10/9/22)


「卓m@sに超人ロック動画が欲しいよね」→「でもあれ原作キャラがPCだから原作読んでるのが望ましいよ」
→「じゃあ原作紹介動画つくろうぜ」という経緯で作られたという、フライング…もとい支援動画。タイトルの通り、聖悠紀の漫画「超人ロック」の紹介動画。ストーリーやキャラクターの詳細な解説ではなく、作品の概要と歴史・変遷に重点をおいた講座です。
 見通しがよく効いている、といいますか、扱っている作品の概要を知るのにふさわしい、良い教養講座だと思います。私はこの漫画を読んだことはありませんが、とてもわかりやすいと感じました。複数の出版社から長期にわたって発行されているシリーズなので、末尾でどこの出版社からどのエピソードが出ているか、どれから読んだらいいかをまとめられているのも、これから読む人にとってはありがたいですね。
作者のss氏はこの動画がデビュー作で、この後ウソm@sでも、漫画作品を題材とした【嘘m@s】アンダー ザ ナムコ -ダイジェスト版-(10/12/3)を投稿されています。どちらも原作漫画への愛情と読み込みの深さを感じる動画で、今後の活動が楽しみですね。


⑵ 当日参加動画

O(オー)P SFM@STER短編作品「idolm@sterONLINE」 (Novelsm@ster 11/1/2)
 

祭りの先陣を切ったのは、企画主催者O(オー)Pによる、この動画。アイドルを育成するネットゲーム「idolm@sterONLINE」で、「ELLIE」というアイドルでプレイすることになった主人公。しかし「ELLIE」はどうやら普通のゲームのキャラクターとは違う存在らしいことに、主人公は次第に気づいていきます。
「正統派SFって感じでよかった」というコメントが象徴している通り、仮想世界と仮想のキャラクターという王道のテーマと王道の展開を、繊細な描写と緻密な構成で堂々と描ききり、かつアイマス世界の物語として見事に着地し、結実させた力作です。無駄をそぎ落とした文章で語られていく会話と心理描写が、心を捉え、揺さぶってきます。主催者の面目躍如たる、骨太で格調高い一品です。

ボロディンP 【SFM@ster参加作品】彷徨える艦隊【嘘予告】 (iM@S架空戦記シリーズ 11/1/2)
 

壮大なスペースオペラ、アイドルたちが宇宙艦隊を率いて激突する戦争SF! ……の、ウソ予告。
一話完結が前提の企画だったので、ショートショート的な作品の投稿が多くなるんじゃないかな、と思っていましたが、こういういかにも企画ものらしいウソ予告もあると、お祭りっぽくて楽しくなりますね。

sinseiP 765プロ綺譚 ~千早の胸を大きくするお話~ (Novelsm@ster 11/1/2)
 

悪徳に請われて、765プロで起きたある事件について話す小鳥。ある日如月千早が、胸を自然に大きくする方法はないかと社長に相談したのだ、と語りだします。心当たりがあると言って千早の前に社長が連れてきたのは、さて…? 
些細な願い事が実現された結果とんでもない出来事を引き起こしてしまう、世界改変ものの王道を、秀逸なアイディアで描いた短編です。一見理屈が通っているようでいて、単なる言葉遊びのようでもあり、考えだすと深いようでもあり。あと、O(オー)Pが手がけた胸の大きい千早の改変絵も必見。なんというか、なんでしょう、この見慣れなさというか、どうにも居心地の悪い感覚がするというか…(笑)。

ひゅんP 日高愛と不幸銀行【SFM@STER】 (Novelsm@ster 11/1/2)
 

何をやっても一人だけうまくいかず、アイドルとして芽が出ない愛。落ち込んでいる彼女の元に現れたのは…。タグに「 世にも奇妙な物語 」がつけられている通りの、ちょっと奇怪な雰囲気のお話。この動画の「SF」は「S(相当)F(不幸)」の略だそうで…。
軽い気持ちとかちょっとした欲で願い事をしたり道具を使ってみたりしたら、最終的にとんでもないしっぺ返しをくらってしまった、という因果応報的な展開の短編はよくありますが、そういう話の雰囲気を漂わせつつ、まったく因果と応報が釣り合っていないのが、この作品の、なんとも独特なところです。
この動画の愛は、本当にまっすぐにひたむきに努力している子で、周りの人達も皆優しくて、各々が相手のことを思って行動しています。愛が、ある「契約」を結ぶことが、変化のきっかけになりますが、その行動も仲間と同じステージに立ちたい、周りの人に恩返しがしたいという気持ちが第一にあって生じたものです。
なのに、この話は「不幸」の話。だから、この話の展開はまったく悲しく、やるせなく、劇中の愛の「理屈に…なってません…」という台詞通りに、不条理です。悲しく、不条理で、しかし実に面白い短編です。


⑶遅刻動画

ソラリスP 【SFM@STER】 「ロボットのノリ」 (Novelsm@ster 11/1/5)
 

アイザック・アシモフの誕生日にちなんでの開催ということで、アシモフの創出した代表的なキャラクター、イライジャ・ベイリとR・ダニール・オリヴォーを登場させての短編。ソラリスPとアシモフという組み合わせがあまりに自然だったので最初気づきませんでしたが、よく考えるとソラリスPのノベマスって珍しい。こういう普段見られない動画が見られるのも、祭りの楽しさですね。
動画の説明文には「アシモフ読んだこと無い人にはさっぱりだよね 」とありますが、そんなことはないと思います。それはつまり、アシモフを一度も読んだことがない人が初めてアシモフの短編に触れるのと同じようなことであるわけで、ネタがわからなくとも雰囲気と内容を面白がることはできるし、むしろその方が新鮮な体験になるかもしれません。
で、野暮ではあるのですが、動画内のコメントで混乱している人がいたので。この動画内に実際に登場する人物は、ベイリ、ダニール、ミューラー、サリーの4人であるわけです。あずささんグラの人物がミューラー、千早グラの人物がサリー、画面外にいる(立ち絵がない)のがダニール。そして語り手がベイリで、この動画はベイリ視点で描かれているので、ベイリの立ち絵もありません。括弧つきの台詞は会話文で、括弧なしで画面が暗くなっている時の文章は語り手(ベイリ)視点の地の文ですね。それだけわかっていれば、混乱することはないと思います。
ロボットと人間の境目って何だろう、創造性って何だろうという思考実験の面白さと、洒脱な文章と音楽が作り出す雰囲気の楽しさ、会話劇としてのストーリーの面白さ、三拍子そろった楽しいSF短編です。

UKCkaeruP スローターハウス5 (または 子供十字軍) (im@sコラボPV 11/1/8)
 

タグ検索して、えっUKCkaeruPのノベマス? と一瞬驚いたのですが、よく考えればノベマス限定の祭りでは全くありませんでした。参加作品の中で唯一PV系に分類される動画、ということになります。
表題は、カート・ヴォネガット・Jrの小説のタイトルということですが、はい、知りませんでした。というかまず、カート・ヴォネガットって誰やねん状態でした。慌ててとりあえずWikipediaで学習して、うん、私とは縁がなさそうな小説だな、という感想を得ましたが。動画自体についてもよくわからなくて、私に書ける事は無いので、誰か解説していただけないでしょうか…。
そんなライターの勉強不足はともかくとして、この動画がなければこの祭りはただのノベマス短編祭りになっていたわけで(それが悪いということでは全くありませんが)、「SFであれば何でもOK!」という、提唱されていた祭りの理念を思うと、この祭りにおいて大変重要な意義のある動画だと思います。

kye氏 【ノベマス短編】 寄生体の不戦勝 【SFM@STER】 (Novelsm@ster 11/1/9)
 

人類にとって言語とは、フィクションとは何なのか。と語りだす文章。続いて映し出されるのは、ステージ直前の楽屋の風景。ユニットを組んで活動してきた伊織と美希。プロデューサーは彼女たちに声をかけます。
うーん、うーん。どう紹介しようかいろいろ悩んだのですが、ネタバレが怖いという以上に、作品の描いているテーマが形になって見えてきた時の衝撃が素晴らしかったので、どういう作品なのかは一切言わないことにします。
美しい動画です。なんというか、時々こういう、これが見たくてニコマス見てるんだよ、と断言できるような作品に出会えるから、嬉しいんですよね。この美希と伊織が、大好きです。巡り会えて良かった、と心から思いました。
作者のkye氏は、寺山修司の詩をアイマス立ち絵で再現するアイマスキャラで味わう 寺山修司 少女詩集(10/6/25)でデビューされ、神林長平作品とのコラボによる【ノベマス】 カナリヤの喉笛【ライトジーンの遺産】シリーズ(10/6/30~10/7/18完結)、春香の「蒼い鳥」REM@STER-Aの曲に合わせて一本の短編を仕立てた【ノベマス短編】 春香と黒い鳥(10/7/21)と、とても個性的な活動をされています。
私も名前からすぐには投稿作品が思い出せなかったので、マイリストから巡って、あ、これの人だったのか、と驚いたりして、「SFM@STER」をきっかけにとても楽しい動画巡りをすることができました。投稿された「SFM@STER」参加作品を見てご自身も作られたとのことで、こうして動画から動画へと出会いの輪が広がっていくのは、本当に素敵なことですね。

地下P 【SFM@STER】地面が真っ平らだというのに惹かれたんです
 (Novelsm@ster)

現在のところ最後の参加作品は、『マスタートレック』シリーズの地下Pによる、ショートショート的な作品。
噂に聞く「天動説」について小鳥に質問しようとする千早だったが…。
4分の中で、最初は何気ない日常の会話に見えたものがどんどん怪しくなっていって、最後に一気に全体像が明らかになってアッと驚かされる、ショートショートの醍醐味が味わえる作品です。


 そんなわけで、「SFM@STER」参加作品をざっと特集してみました。支援が1本、当日参加が4本、遅刻が4本。約一ヶ月が経過した現在で、再生数は800代が2本で残りは500再生未満、ということで、あまり認知度は高くなかったと言えるであろうことは、最初にも述べました。
 しかし、その内訳を見れば、参加者と動画内容のバラエティーという点でも、動画個々のレベルの高さという点でも、非常に充実したものであったと感じました。特徴的だったのは、9人の参加者に、普段各々ノベマス畑、架空戦記畑、PV畑の人と認知されているPが全て含まれていたことでしょうか。普通の区切りでは集めにくいメンバーが、SFという一本の線を通すことで一堂に会することができた、と。また、この企画をきっかけにデビューをされた人も、久々に動画を投稿された人もいて、非常に良い出会いの場となっていたと思います。
 また逆に、このくらいの規模だからこそ、見る側としては大変企画を追いやすい、ということも言えます。当日に4本、遅刻フライング含めて9本、しかも一話完結が前提というレギュレーションもあって、気軽に全部の動画を見て回る事が出来ました。祭りというのは難しいもので、参加が多ければ多いで、見る側は何を見ればいいかわからず作る側は埋もれる、という話になり、少なければ少ないで、そもそも祭りの存在が知られていないので見てもらえない、という話になり、なかなか何もかもが良い事ずくめになる解決はありません。
 ともあれ、せっかくここに個性的な動画と出会える場が出現したのだから、利用しないのはもったいないな、と思います。第2回の「SFM@STER」が開催されたり、一つのジャンルタグとして定着していったり、といった発展があったらいいな、と期待しています。

 ところで、私がこの企画の存在を知ったのは、以前に書いた記事で、SF特集の祭りってありましたっけ、とふとつぶやいたのに対して、コメントでご教示いただいたのがきっかけでした。思えば、当ブログが開設して、初めていただいたコメントでもありました。当時コメントをくださった方には、改めて篤く御礼申し上げたいと思います。有り難うございました。
 まことに、何事であれ人間の活動というものは、多くの方との出会いによって支えられているものだ、と思います。


(追記:記事投稿後、惜しいPが参加作品を投稿されています。)
【SFM@STER】猫のいない街 前編 (11/2/6)



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