かたつ無理の消滅


 2011年1月8日 21時51分06秒 消滅を確認。











 私が、「おわり」と題された一本の文章について再び書くのは、もっともっと後になる予定でした。あなたの動画について語って語って語って語り尽くした後に、私はそれを書きたいと思っていました。

 けれども、私はあなたの動画への私の思いを、未だ一言たりとも言葉にすることができていません。語られない言葉は、存在しないのと同じです。私の思いは、存在しないのと同じだということです。そんな状態のまま、今日を迎えてしまったのは、自分と、あなたの動画に対する背信行為なので、私はここに謝罪します。ごめんなさい。


 私の人生が変わった9/22という日、真っ暗な動画で埋め尽くされたマイリストが目に入ったあの瞬間。その時、私に見えたものを、形容することは不可能です。

 絶望? 憤怒? 悲嘆? 哀切? 

 いいえ、そんなものではありません。
 既に書きました。世界が滅ぼされたのだと。世界が滅びた後に見える風景を、人間が形容できるわけがないでしょう。

 しかし、あの時、世界が滅びた後の、形容する言葉のない闇の中にいて、己が眼に映っているものが大嘘で悪夢は幻影だろうと、こんなものは信じないと、何度も何度も画面を睨み返しながら、一方で最初のその瞬間から、私は覚っていました。来るべき時が来て、起こるべきことが起こったのだと。

 そして、私はその「視聴できません」とだけ書かれた画面の行列の中に、確かにあなたが語る言葉を見ました。見ただけで、わかったのです。

 だから、私はすぐに、あの場所に飛びました。そこに、新たな一編の文章が加えられているだろうと。それはそうであってほしいという願望であり、そうでなかったらという恐怖でもありましたが、何よりも必ずそうであるという確信でした。

 そしてその、「おわり」と題された、必ずあるべき一文を読んだ時の私の心の動きは、なんとも奇妙なものでした。うまく説明することもできないし、誰も信じてはくれないでしょう。
 本当に奇妙なことに、それは既に知っていることを確認する作業でした。私があの暗い画面の中に見たものを、確認するだけの作業でした。私が書いていてくれたらいいな、と思い、きっとそう書いてくれているだろう、と思った言葉を、あなたは書いてくれていました。そんな言葉は書いてあってほしくないな、と思い、でもきっと書いてあるだろう、と思った言葉も、あなたははっきりと書いていました。

 それを読んだ時、私がどんな気持ちでいたか。

 嬉しかったのです。
 本当に本当に、嬉しかったのです。そこにあるのは紛れもなく、あなたの言葉でした。紛うかたなく、あなたから私たちに、私に宛てられた言葉でした。それは、ずっとずっと私が待ち望んでいた、願い続けていた、あなたとの再会でした。どんなに素敵な出会いよりも嬉しい、あなたとの再会でした。

 あの言葉を、あの文章を書いてくれて。

 本当に、本当に、本当に。
 有り難うございました。



 あの日から今日まで、幾度私はあの文章を読み返したでしょう。疑いなく、私はあの言葉を世界で一番体に染み込ませた人間です。そこにあるのは、揺るぎなく、何の疑いもなく、あなたが創った言葉だったから。
 その言葉がまだ地上に存在するという真実が、どれだけ救いとなり、慰めとなり、絶望し続けるための力となったことでしょう。

 そうです。私は知っていました。この言葉だって、いつか消えるだろうと。この場所だって、あなたは必ず消し去るだろうと。

 だから、悲しくなんかないのです。たった今私が流している涙なんて、私が今までに流した涙とこれから流す涙に比べれば、ほんの雫のようなものです。



 あの文章には、「おわり」には、一つだけ、欠けていた言葉がありました。
 たった一言で良かったのです。


            天海春香   が好きだ 


 と。 
 もう一度だけ。

 もう一度だけそう言ってくれていたら、私は救われていたかもしれません。あなたを許していたかもしれません。

 でも、いいのです。それはあの時あの場所に、書かれるべきでなかった言葉なのです。他ならぬあなたが、ななななな~Pが、その言葉を発しなかったのだから。

 私には想像することすらできません。それはあまりにも自明だったからなのかもしれないし、書く必要もなかったからなのかもしれないし、言葉では収めきれないものであったからかもしれないし、私たちに向かって言いたくなかったからなのかもしれないし、まやかしのかりそめの言葉になってしまうからだったかもしれないし、もっと違う理由があるのかもしれない。何であってもいいのです。あなたが言わなかったのだから、言わなくてよかったのです。


 ただ、私がこれから言う言葉は、言い続けていく言葉は、あの時決まり、永劫変わるべきでないものとなりました。


 私は、アイドルが存在するなんて、信じません。

 私は、あなたが頭の中で勝手に作り上げた天海春香を、あなたが勝手に作り上げた天海春香だと私が頭の中で勝手に思い込んでいる存在だけを、信じます。

 だから、私が言う言葉は、言い続けていく言葉は、たった一つだけです。


               ななななな~Pの
       
              天海春香   が好きだ


 大切に大切に仕舞っておいた結論は、結局あっさりと世に出してしまいました。あとは、過程を埋めていくだけです。出来得る限り、細大漏らさずに。不束者ですが、至らないところばかりですが、よろしくお願いいたします。


 最後に。 再び。 何度でも。


 さよなら。 いつでも、いつまでも、あなたを待っています。

 また逢いましょう  きらめく舞台で




   
関連記事
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

Vinegar56%

Author:Vinegar56%

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
カテゴリ
月別アーカイブ
全記事一覧

全ての記事を表示する

検索フォーム
リンク
FC2カウンター
FC2カウンター
現在の閲覧者数: