テキストの持つ情報量(仮)


 覚え書き記事を書いていての脱線話。最近こういう、覚え書きに挟むには長く、独立させるには論が弱い文章がたくさん出来て困ります。


 ”間” とか ”テンポの良さ” とか ”キャラクターらしさ” とか、非常に曖昧であるにも関わらず重要なファクターとして語られるものが、ノベマスには多々存在します。そのうちの ”テンポの良さ” について、テキストの保持する情報量という視点から、一局面だけ例に挙げて考えてみたいと思います。




 たとえば、「千早が、悩んでいる春香を見つけ、話しかける」という場面を、動画にすることを考えます。ここで、極端な例文を作ると、


「あら」


「…、うーん、うーん」


「ねえ」


「え? 何?」


「どうしたの? すごい顔してるけど」


「あ…、うん。実は…」


「ええ」


「昨日、転んであずささんが大切にしてたコップ、割っちゃったんだ」


こんな会話を書いたとして、最後の一文以外には、まったく情報が含まれていません。やや意味のある言葉は「すごい顔してる」だけですが、これも立ち絵を表示していれば視聴者の想像のつくことを繰り返しただけです。(すなわち、長い台詞であっても、視聴者の想定内のことしか表現されていない台詞は、情報量が少ないと言える。)また、この会話は、雪歩と真に、伊織とやよいに、あるいは事務員Aと事務員Bの会話に置き換えても違いが見えない内容です。
 このような、テキスト固有の情報がなく、ストーリーやコントの進展にもキャラクターや世界観の表現にも寄与しない台詞を、私は情報量がない台詞と呼びます。これを動画化して、たとえば4秒間隔で台詞表示したとすると、実に30秒近くの間、テキストが何の情報も提示しないシーンが続くことになります。

 動画初心者の作品においては、しばしばこうした情報量のない台詞が 

・連続して表示される 
・長時間表示される 
・挿入される頻度が高い 
・動画開始直後に集中して存在する 

といった現象が起こっています。
 逆に ”テンポが良い” とか ”台詞が巧い” と言われる作者の場合、情報量の少ない台詞が表示されるシーンにおいても、

・そのキャラクターの個性やその場の雰囲気を醸し出す台詞となっている
・映像が情報を発信して情報提示の空隙を作らない 
・情報量の少ない台詞を表示することによる視聴者の弛緩自体が、動画の全体構成上で意味を持っている 

といった現象が観察できます。 

 いわゆる ”テンポの良さ・悪さ” は、単純な文字表示の速度や量、ギャグの多寡だけではなく、テキストの情報量の密度分布(もしくは勾配)によって左右されているように思うのです。

 どうも書いている内に、「情報」という語の指し示す対象がはっきりしなくなってくるので、動画上で役割を持って機能している台詞の密度がどれだけ高いか、という形の方が整理しやすい気がしてきたけれど、面倒なのでおしまい。文字情報の視覚的な取りやすさ、という問題もあるけれど、それも省く。

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