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「架空-tail/tale THE@TER for 765MILLIONSTARS!!」4th night 各動画にコメントしてみた


赤ペンPの添削日記 10年ぶりのカクテル全作品ファーストインプレッション・その4
KAKU-tail THE@TER for 765MILLIONSTARS!!感想ぜんぶ書くかもしれない3rd night - 箱の外には
KAKU-tail THE@TER for 765MILLIONSTARS!!感想ぜんぶ書くかもしれない4th night - 箱の外には
KAKU-tail THE@TER for 765MILLIONSTARS!!感想ぜんぶ書いたよCurtain Call - 箱の外には

楽しそうなので、私もやりました。

内容:KAKU-tail THE@TER for 765MILLIONSTARS!!での登場順序に従って、各アイドルの動画について二本ずつコメントしていきます。

注意事項:好き嫌いとか知ってる人知らない人とか色々あって、公平を期することは不可能なので、全作品とも何度見るか、何度目のインプレッションを何行にまとめるかはその時々の気分で決めています。

※もう、ゴールしたと言っていいのかな……?








・菊地真②
天才カゴシマP MMDドラマ】Aftersense 第1話(アイドルマスター) 18年04年14日 20時40分


「きれいなメカP」という名前こそ多くの人の口に上るものの、実際メカPが「KAKU-tail Party」において何をしたのか、というところは、総理PのOP動画などでも慎重に避けられていますが。ここに貼った天才カゴシマPは、メカPのまこちんのポジティブ!(10年05月02日 07時22分)なんて可愛く思えるようなひどい所業を真に対して何度もしている作者です。他方また、カゴシマPにおける真は、カイザーPにおける相方役のアイドルや、春香×松田亜利沙動画における亜利沙同様、"作り手がヤりたいことを代わりにヤらせる役" という側面があるようにも思え、ある時期以降、作者自身が、真に対してのみ「菊地マコト」という特殊な表記を用いて、"「菊地真」ではない自分固有のキャラである" と示しています。
逆に言えば、真というアイドルが、そうした特別な扱いを受けるに至るほど、カゴシマP作品において重要な役割を担っているということであり、そして、私はそんなカゴシマPの真が、無印モデルの菊地真という存在のなにか重要な本質を掴まえているように思えてならないのです。カゴシマPの動画における真は、つねに、大人、社会、現実、組織、ルール、理性、常識、正気……そういうものに対して疑問や迷い、怒りや悲しみを抱く人間であり、それに順応せずに自分の生き方を押し通そうとする人間であり、そこに馴染めないもの、そこから排除されていくものの側に寄り添う人間です。それは、幼く、未分化で、ニュートラルな造型ゆえに、可塑性と多面性を湛えた無印モデルだからこそ担えるキャラクターであり、また、真自身のテーマとしても重要な芯をとらえたものだと考えます。「アイドルマスター2」以降のモデルの真に、「ポジション確認」がネタとしてもそもそも似合わないのと同様に、「2」以降の真にカゴシマPの「菊地マコト」は演じられないでしょう。
本作、『Aftersense』においても、そうした真の性格づけ、扱いはまったく変わりません。しかし、大きく変わったのが、物語の中でかれが置かれる境遇です。10年前 (現実の投稿間隔としては、7年前)、『夏のナンセンス』において、春香さんは、今、この「夏」のことを、誰が忘れてもワタシが覚えている、いつまでだって思い出す、と宣言しました。しかし、その後作られた『夏休みは終わらない』は未完のまま削除され、前作『QuQ』で描かれたのは、肉体的に傷つき、年をとり、死んでいく人間としての天海春香でした(それ以前に、この作品において「死体」役を担ったのが、誰あろう菊地真でしたが)。そして、本作『Aftersense』が描くのは、"天海春香が消えた未来" です。
10年前、マコトは、自分は何にも縛られずふらふらと好き勝手に生き、ヤりたいだけ女とヤり、いずれは理想の美女とゴールインしてバラ色の生活を送るのだ、と本気で信じていました。10年経って、気づいてみれば自分も周りの女たちも20を超え30を越え、隣にいるのは理想の美女などではなく自分にお似合いのダメ女であり、子どもまでいて、そいつらを食わせなければいけない、そのためには働かなければならない、ふらふらとひとり勝手に生きるなど思いもよらない。そしてその生活の中に天海春香の姿はなく、今となっては10年前に本当は何があったのか、天海春香という人間が本当に存在していたのかすらあやふやである……。
そんな風に始まって、タイムスリップやらパラレルワールドやらをぽんぽん出してきたこの物語がどこに向かうつもりなのか、果たして本当にまとまるのかどうか、私にはさっぱりわかりません。ただ、ああ、カゴシマPのおかげで、アイマスはまた、もう一歩斜め上に進むことができたのだなあ、と思うのです。



・双海真美②
奪取P 【亜美真美】 安眠 【13th】 18年05月22日 00時00分


12歳の亜美真美から小鳥さんへ、プロデューサーへ、そして13歳の亜美真美への贈り物。
"13歳になった亜美真美" の素敵さというのは、もうその姿形を見れば言葉はいらないものですが、その素晴らしいヴィジュアルにしっくり似合う内面をどう描くか、"12歳の亜美真美より一回り大きくなったけれども、あくまで亜美真美らしい亜美真美" をどう描くか、というのは難事だなあ、と思います。でも、MADは軽々とその難しさを超えていくんですよね。
一足とびに目の前に「二代目ミス(ミスター?)パンプキン・パイ」が現れるわけじゃない。だけど、「このごろすこうし僕らにも かぼちゃパイの味が解ってきた」。きっとそれはかぼちゃパイだけじゃなくて、前よりももうちょっと、いろいろな味が深くわかるようになってきた。そういうことなんだ。



・ジュリア②
ゲンキP 【ノベマス】ミリオンペダル第1話「開幕!ロードレース対決!」 16年05月21日 00時08分


"なんでww、こいつはwww、ギター抱えて自転車レースに来てるのwwww" な序盤から、うわあああジュリアのギター! ジュリアのバンド! ジュリアの音楽! な大団円が待っているとは、お天道さまでも思うめえ。



・如月千早②
雅雪P アイマス謡曲『廻逢』 16年03月27日 11時45分


内情を明かしてしまうと、今回こそ『廻逢』のことを書くんだと意気込んで選んで、どうにも書けないままいちばん最後に残ったのがこの動画なのですが。
im@s架空戦記では、多くの場合、対象となるゲームの中で、さまざまな勢力、地域、役柄にばらばらに分散させてアイドルを配置することになります。そこで、ほとんど必然的に浮かび上がってくるのが、彼女たちが本来いるべき場所、当たり前に一緒に過ごしていた場所、「765プロ」という空間の尊さ、"本来のアイマス世界" への郷愁であり、別れ別れに散っている仲間の大切さ、仲間との再会への希求です。仲間との別離と再会の場面こそは、im@s架空戦記がもっとも想いをこめ、心血を注いで描いてきた場面であり、本作は、im@s架空戦記が生み出した、何よりも鮮やかで愛しいめぐりあいの場面のひとつを、「謡曲」と「踊る立ち絵」という手法によって再構成し、表現したものです。
歴史上存在していたとされる人物やエピソード、から再構築されたゲームの世界があり、そこにアイマスを合わせた架空戦記の世界があり、さらにそのパロディでありオマージュであるこの動画がある。一方でまた、作者自身の解説によれば、本作は謡曲のいくつもの古典のパロティ、アレンジをつなぎ合わせた、いわば "能の2次創作" "能のMAD" でもあるようです。アイマスに合わせていいジャンル、というものが決まっているわけではない。なんでそんな音楽とアイマスを合わせるのか、と言われながら多くのMADが生み出されてきたように、能だってアイマスと合わせていい。他方また、能の側だって、アイマスと合わせていい、ニコ動で楽しまれるのにふさわしいようにアレンジされた表現がなされたっていい。異なる世界と世界を結び合わせることで、両方の世界をより面白く、豊かにしてきたニコマスの営為の中に、本作もまたあります。
何よりも重要なのは、これほどに無印アイマス素材の「踊る立ち絵」の美しさを表した、これほどに無印アイドルの表情の多彩さ、奥深さを引き出した動画はない、ということです。アイマスの3Dモデルも多様化し、モデルの精緻さ、モーションの豊富さにおいて、とうに無印モデルは絶対の存在ではありません。しかし、無印モデルの造型と質感は今なお唯一無二であり、他の何物よりも私の心を捕らえて離さないのです。アイマスも、ニコ動も、動画を作り、見ている私たちも、すべて滅んでもなお、ここの中に映し出されている2.5次元の彼女たちの美しさだけは、未来永劫滅びることはない。私には、そう思えてならないのです。



・最上静香②
くろりP 【ミリマス×聖剣伝説】聖剣伝説 ミリオンライブ外伝 第一話 14年08月17日 10時42分


脳筋勇者最上静香が、ゴリ押しでモンスターを殴り倒しつつ北沢志保とイチャイチャするシリーズ。あと、春日未来が毎回死ぬ。……という説明で、だいたいあってる気もしますがw。
チュートリアルで野々原茜が倒されたり、あからさまに某アイドルな仮面の人物の正体に誰も気づかなかったり……というかる〜いノリの出だしにも関わらず、根本的にはとても重い、重いという以上に孤独な物語。それは第一には、多くの大切なものを守れずに失いながら先に進み続けなければならない、原作のストーリー自体の孤独によります。そして第二にあるのが、主人公役となった最上静香自身は、自分たちの本来の居場所が別の世界であることを知りながら、ゲーム上与えられた役割を忠実に演じるしかない、という、「im@s架空戦記」であるがゆえの孤独さです。静香は、行く先々でめぐりあう相手が、本当は自分の大事な仲間であることを知っていますが、それぞれの行く末をどうすることもできないまま、ひとりで進んでいくしかないのです。ドット絵とカナ文字だけの簡素な台詞という、情報が限定された世界と、あくまでもアイドルによる "ごっこ遊び" である、という軽さがあるからこそ、大変に重く孤独なものを、物語の中に籠めることが可能になっています。
本作の特徴は、アイドルたちは別の世界からこのゲームの世界にやってきて、ゲームがクリアされれば元の世界に帰る、という設定が明示されていることです。従って、ゲームの中の世界において、アイドルたちは本質的に部外者です。いっときゲームの中のキャラクターの身体を借りて役割を演じているだけで、ゲームのストーリーをねじ曲げるような事象は起こせないし、シナリオが終わってしまえば、その後の世界には何も干渉できないのですから。ならば、部外者である彼女たちが、ゲームの中で役割を演じ、ゲームの中の世界の行く末を見届けていく意味は、どこにあるのでしょうか? 作者は、最上静香と北沢志保の関係、という原作にない要素を、物語の大きな軸として据えることで、その答えを提示しました。
どんなに遠く離れていても、どんなに記憶と知識があやふやで何が真実かわからなくとも、心の中でいつでも強く想う相手、信じられる相手、幸福を願い再会を希む相手がいる。その相手とめぐりあい、ともに故郷へ還る望みこそが、何よりも強い旅の動機となり、その相手との再会こそが、何よりも強く鮮やかな喜びである。仲間との別離と再会の場面こそは、im@s架空戦記がもっとも想いをこめ、心血を注いで描いてきた場面であり、本作が軸としたのもまた、架空戦記の精華とも言うべき、別離と再会の物語でした。
日常から遠く離れた場所にきて、素直になれなかったりうまく付き合えなかったりした相手の大切さにあらためて気づき、離れているからこそ相手のことを強く深く、じっくりと考える。そして、終わればすべてがあやふやな夢のようであっても、その夢の中で信じ、築き上げた関係だけは、いつまでも消えはしない。天涯孤独だからこそ、心の中は "ひとりじゃない" ことに気づき、その "ひとりじゃない" を守るために歩んでいく、最上静香の「im@s架空戦記」。



・春日未来②
らぱーP 冬はこたつでダラダラしたい! 18年11月28日 19時00分


春日未来が主人公の架空戦記って、実はほとんどありません。TRPG動画では「乙女ストーム!」組や「14歳組」がメインのシリーズが多いこともあって出番が多く、それなりに幅のある演技を見せてもいますが、根っこのところには、アホの子かわいい 、共通した "春日未来らしさ" のイメージがどっしりと存在しているように思います。
らぱーPのノベマスには、ユニークなアイディアを綺麗に短編としてまとめ上げたものもありますが、なにか特別なドラマがあるわけではなく、な〜んとなく仲の良い女の子たちがわちゃわちゃしているだけでほんのりと面白い、という感じの動画も多くあります。あー友達同士の会話ってこんな感じだよねえ、という、自然で身近な和気あいあい感がこの作者の持ち味であり、そして、そういう世界に春日未来がぴたりと似合っているのです。春日未来が「ミリオンライブ!」においてどういう特別な存在だから、ということではなく、春日未来でこんな特別な物語を描きたいから、ということでもなく、ただ、同い年の友達同士が仲良くお喋りしていて、その輪の中に春日未来がいる、という風景がこんなにも楽しく愛しいから未来を描くんだ、という。




・ロコ②
kns氏 【ミリマス】ロコKPのエクストリームなCoC.part1【卓m@s】 15年10月29日 03時13分


アギョウPや らぱーPのノベマスで視聴者から愛されまくっているロコですが、架空戦記でメインキャストでの出番となるとちょっと珍しい。ホストとして、エンターテイナーとして、自分も楽しみつつ、プレイヤーにいじられつつ、全力でプレイヤーを驚かせ、楽しませようとするロコの奮闘ぶりが楽しい。唐突に部外者の島原エレナと北沢志保が実況を始める回があったり、周防桃子と中谷育がだらだらダベっているだけで終わる回があったりと、楽しく盛大に脱線しつつ、本筋のストーリーもきっちりと完結しているのがお見事。
自称「構想4年」の大作シナリオを引っさげた用意周到なゲームキーパーロコと、海千山千のプレイヤー(周防桃子、馬場このみ、エミリー・スチュアート)たちの虚々実々の化かし合い……なのか、想定外の連続に右往左往するキーパーと疑心暗鬼のプレイヤーの交通事故なのか、卓の未来はどっちだ!?



・真壁瑞希②
い~るずP ドラゴンクエストMillionStars~勇者ミズキ伝説~ 16年03月20日 17時00分


「乙女ストーム!」のメンバーということもあり、ボケもツッコミも他人のフォローも自然にこなせる、というサポート役としての利便性もあり、"3〜4人目のパーティメンバー" としてどこでも引っ張りだこの真壁瑞希ですが、本作は瑞希が勇者で主人公。「シアター組」のDa系アイドルの中から自由にパーティメンバーを選べる、ということで、よりどりみどりの候補の中から瑞希が選んだ3人は……動画を見てのお楽しみとしますが、あれですね、まかり間違っても独走したり面倒ごとを起こしたりしなさそうな、良識と協調性に富んだ安心感抜群の面子ですね。瑞希も、あちこちの世界でお守り役を何度も頼まれ続けて、心に思うところがあったのでしょうかw。
仲間同士でしっかりと相談し、互いに気を配り合い、思いやり合いながら確実に進んでいく旅路。パーティメンバーに限らず、各アイドルそれぞれのらしさをどう表現するか、役柄に生かすかが考えられていて、キャラクターひとりひとりが慈しまれているのが伝わってきます(若干2名、ヤンデレ化している年少組もいますがw)。レベル上げが「がっしゅく」になったり、NPCの宿屋や商人の生計の立て方についての会話があったりと、ドラクエの世界の中で日常を生きている感覚も楽しい。ありそうでなかった、優しくて着実な架空戦記。



・望月杏奈②
シンジP レッツ炎上!アイドル・ハイ!!part1 16年09月04日 18時42分


ゲーム好きという特性から、ゲームの実況プレイをやらせてよし、TRPGのプレイヤーにしてよし、な望月杏奈ですが、on状態とoff状態の二面性、という特徴を、物語内で演じるキャラクターに巧妙に組み込んだのがシンジPの「レッツ炎上!アイドル・ハイ!!」。
もちろん、本作で描かれているのは、あくまで "ドラマの中で役を演じている望月杏奈" の姿です。しかし、はじめは特別な儀式によって意識して「変身」する、仮想的なキャラクターだったハイテンション状態の杏奈が、次第に時と場合に応じて柔軟に呼び起こされるものになり、他方で、普段のローテンションな杏奈も、ローテンションなりに周りと関係を結べるように、ゆるやかに変化していく様子は、杏奈の物語として示唆に富むものと言えましょう。
また、軽妙なBGMに乗って快刀乱麻の弁舌で対戦相手を問い詰めていく謎解きシーンは、本作の眼目でもあり、on状態の杏奈の底抜けにハイテンションな楽しさの表現、という点でも秀逸なものですが、何のためにその快刀乱麻の謎解きがあり、ノリノリのハイテンションがあるのか、ということ。それは他人を攻撃し、打ち負かすためではなく、他人を思いやり、他人と手をとりあうためにこそある、という意志が物語を通して貫かれるところに、何度見ても爽やかで幸福な読後感があります。



・篠宮可憐②
涼宮P 【Novelsm@ster】勇気のヒミツ【篠宮可憐】 14年08月27日 00時00分


篠宮可憐の重要な要素である「香り」に着目して可憐を描き出す。テキスト系動画において、あえて絵を見せない理由というのはいろいろ考えられるところですが、この動画においては、視覚情報を遮断することで、可憐が嗅いでいる、視界ならぬ ”嗅界” 、篠宮可憐がどんな風に世界を感じ取っているかが浮かび上がってくるように思われます。そして、最後に公式素材の一枚絵が出て話の全貌が明らかになる、かつての「i-Fest@!」など思い起こさせる構成。”グリマスアイドル、どいつもこいつもプロデューサーに惚れすぎ問題” をさらりとストーリーに組み込んでいるのも面白い。技ありであり、そしてその技によって見事に篠宮可憐ならではの物語になっている短編です。



・周防桃子②
土木真木P 【周防桃子ちゃんセンパイ】「さよならステーション・前編」【誕生日】 15年11月06日 00時00分


約束された勝利の先輩である周防桃子には、面白い役、素敵な物語が目白押しですが、やはり、中谷育に「ロリコンお兄さん」といっぱい罵ってもらえる動画桃子先輩ファンの、桃子先輩ファンによる、桃子先輩ファンのための動画と言うべき本作を外すわけにはいかないでしょう。
第一に、周防桃子における「アイドル」と「演技」の関係に踏み込む、ということ。桃子にとって自分の「演技」はアイデンティティのよりどころであり、絶対的な自信とプライドを持っているものです。しかし、桃子自身にとってはいつでもどこでも自分の信じる「演技」のあり方が絶対であっても、他者から見えるものは自分自身に見えているものと同じではない、ということ。
第二に、公式でも、桃子のパートナーとなるのは、多くの場合、的確に桃子をフォローできるようなデキた人格のキャラクターです。けれども、パートナー自身が、駆け出しで、右も左もわからなくて、失敗してしまう人間だったならば、どうなのか、ということ。きっと、ふたりの間にはたくさんの過ちが、すれ違いが、後悔があって、それでもきっと、手を取り合って前に進んでいくことができる。してみせる。なぜならば、僕は、彼女の「ファン第一号」なのだから。



・秋月律子
トカチP アイドルマスター ホトハシル 秋月律子 19年01月05日 20時37分


あずささんのところで少し触れましたが、律子には、何かを声高に訴えるわけではないが、「アイドルマスター2」モデルや「ステラステージ」モデルで丹精をつくした動画が今でも上がり続けていて、それらを視界に入れないと、ニコマスの律子の今は見えないと思っています。その一方で、ミリシタモデルの律子の動画がこれ以前になかったわけではありませんが、トカチPのこの動画を得て、ニコマスはようやく「ミリオンライブ!」の秋月律子と向き合えた、「ミリオンライブ!」の律子を本当に仲間として迎え入れることができた、そう思います。
無印/L4U!モデルの、2/OfAモデルの、アニマスの絵の、プラチナスターズ/ステラモデルの、すべての律子の記憶がミリシタモデルの律子が踊るステージに流れ込む。そして、「私がまだアイドル続けさせてくださいって言ったら、どうします?」「どうにでもする」という言葉によって、「39人の後輩」すべての面倒を見つつ、律子自身が「トップアイドル」を目指す、というミリマスの律子の夢が、願いが、全力で肯定される。きっと、このPは、いま律子が望む夢が、願いが、どんな形の何物であれ、「どうにでもする」と答えるのでしょう。そこに律子がいて、律子が何かを願う限り、その願いを叶えるためになんだってする、鬼だって如来にだってなってみせる。
「今を生きる」と歌い、「未来を誰より愛したい」と歌う。それは、過去と現在のすべてを捨てずに肯定した上で、なおその先に希望に満ちた未来を思い描く、ということです。どこかの時点で切断して、ここからここまでが自分のアイマス、と枠を決めてしまえばずっと楽になる……とはさらさら思わないけれども、「今を生き」、「未来を誰より愛する」のはたぶん、実は誰よりも孤独で終わりのない道のりで、だからこんな道を歩いて今この場所に立っているプロデューサーは、トカチPただひとりしかいない。まるでこの先に待っているのが地獄でもあるかのような、地獄の果てまででも律子に付き合う、と言っているかのような動画、だと私は思いました。
しかし、それがこの動画のすべてではないでしょう。多くの視聴者が、この動画の律子の姿に心動かされて、コメントをつけています。「律子はいつ見ても美しい」「律子をプロデュースしたいんだよ!!」「律子の同じ立場から話せる感じすこ」「りっちゃんの活躍を見たい」「背中を押してあげたくなるんだよ」「ミリシタコミュの律子はほんといい」。
”律子をプロデュースしたい””りっちゃんの活躍が見たい” “ミリシタの律子はいい”。そう、この動画は、ずっとできなかった「律子のプロデュース」がミリシタでやっとできるよ、ミリシタでこそ、俺たちが望んでいたことが本当に叶うよ、こんなに嬉しくてやり甲斐のあることはないじゃないか。そう歌っている動画だと捉えても、何も問題ないように出来ているんですよね。
そこで、こんなやりとりがコメント間でなされています。「ミリシタに吸収してもらってよかったんやな」「吸収とか寝言いってんじゃねーぞ!」。まあ、「吸収してもらってよかったんやな」の人は、わざと波風を立てようとしてこんな言い方をしたのでしょう。だから、売り言葉に買い言葉でそれに反発するコメントもつく。しかし、裏を返して言えば、どこまで踏み込んで言うかが違うだけで、”ミリシタの律子こそこんなに素晴らしい” という論理と、”だからミリシタに「吸収」されてよかったじゃないか” という論理は、すぐ隣り合わせに存在するものだ、ということです。今のアイマスこそこんなに素晴らしいじゃないか、だから結局こうなって良かったじゃないか、という言葉が語られて、それに対して、てめえふざけてんじゃねえぞ、という声がどこかから湧き上がってくる。それは律子に限らず、雪歩の声についてだったり、美希の扱いについてだったり、5年経とうが、10年経とうが、ニコマスの底の方ではずっとそういう憤怒が渦巻き続けていることに、動画を見ていると気づきます。「謎謎」という歌に、「半分しか知らないままに答えを出すのは なんかすごくとても あまりにもったいないから」という歌詞がありますが、たぶん、私たちは誰もが、どこまで行っても、どちらか半分しか見えなくて、半分しか見えない地点から、なんとか全部を見ようともがき続けているのです。
ラストについている「絶対負けない!!!」「勝つぞー!!」というコメントも面白いですね。THE@TER_CHALLENGE!!の投票で律子を勝たせよう、という意味なのでしょう。これはTCの「支援動画」ですから、そういうコメントがつくのは何もおかしいことではありません。しかし、動画の中身を見ていると、私にはコメントの意味がわからなく思えてくるのです。2モデルの律子が「私がまだアイドル続けさせてくださいって言ったら、どうします?」と言い、プロデューサーが「どうにでもする」と答え、ミリシタのステージにつながり、最後にミリシタの律子が「なにしろ、突然後輩が39人も出来るわけですから、まあ、不安の種は尽きませんけど。きっちり状況を分析していけば、勝ち目も十二分にあるはずだし」と言う。その瞬間に動画の上を流れていく「絶対負けない!!!」「勝つぞー!!」というコメ。さあ、ここでの「負けない」「勝つぞ」とは、誰の、何に対する「負けない」「勝つぞ」なんでしょうか。秋月律子が「勝つ」って、どういうことでしょうか、何をどうしたら、律子が「勝った」ことになるんでしょうか。
この動画とは直接関係ありませんが、「KAKU-tailとは、ひとことで言うとなんですか?」「地獄絵図」という会話がふと思い浮かび、これ、何の総括にでも使えそうで便利だなあ、と思いました。ニコマス24時間TVとは?「地獄絵図」。MSCとは?「地獄絵図」。シネMADとは?「地獄絵図」。ハルカニとは?「地獄絵図」。ウソm@sとは?「地獄絵図」。VRFとは?「地獄絵図」。NNNWとは?「地獄絵図」。MLEとは?「地獄絵図」……。とりあえず、いつ何の企画でも、主催者の苦労が地獄絵図ですよね。ニコマス20選も毎回、奪取Pの苦労が地獄絵図です。
「地獄絵図」という言葉はあっても「極楽絵図」という言葉はなく、「地獄八景亡者戯」という演目はあっても「極楽八景亡者安住」という演目はありません。人間の想像力は大抵の場合、理想の楽園よりもむしろ地獄の景色を描くときにこそ、精緻に多彩に発揮されるからでしょう。どこよりも豊かに詳細に描きこまれ、どんな現実よりも生き生きとしてどんな極楽よりも面白い、人の想いが織りなす地獄絵図。




・七尾百合子②
ヤスミツP 七尾百合子のナゾトキ90秒 #1『女には向かない職業』 14年02月08日 23時58分


ミステリーに限ったことでもありませんが、中身を全部喋ってしまったら “紹介” や ”レビュー” にはならないわけです。何をどこまで語るかの塩梅が毎回実に鮮やか。何より、七尾百合子がこんな仕事を貰ったら、どんなにか嬉しく楽しかろう、という、”想像される、百合子が最高に嬉しく楽しいありさま” が完璧に具現化されているのが素敵です。



秋月律子②
ADのり弁氏 【Novelsm@ster】律子のバレンタイン 17年02月16日 20時00分


いつもお世話になっているプロデューサーに、律子がチョコレートをくれる。本当にそれだけの動画。立ち絵も背景も、素材は無印。素直じゃないのに絶妙に甘さを醸し出してくる、いかにもこれぞ律子×P、という距離感からの、超直球の結末。
09年頃の動画です、と言われたら、おお、これはいい律子ノベマスですねえ、と言ってそのまま信じてしまいそうですが、作者は2017年デビューで、第1作がいわゆる「一人合作」動画の秋月律子合作(17年01月28日 04時26分)で、2作目がこれ、という人。2017年にこんな動画が出てくるのは、律子だけだなあ、と。



・島原エレナ②
フィジコP 【エレナ誕2017】エレナ島原店に行ってみた【聖地m@s】 17年10月26日 00時00分


来た! 見た! 撮った! キャラクターを出して会話するとか、ネタを入れこむとか、解説らしきことをするとか、そんなひねりは不要。見ろ、この字の並びを見ろ、これだけで全部をわかれ、全部を感じるんだ! という勢いがすがすがしい。



・豊川風花②
すぱひまP 豊川風花の長崎さるく 17年10月22日 18時11分


豊川風花の旅m@sをひとりで抜群に充実させている、すぱひまPの一作。”プロデューサーが豊川風花を地元に案内する”、本当にそれだけ。イチャイチャするさまを顕示してみせるのでもなく、テレビ番組風に仕立てて演出してみせるのでもなく、余計な味付けは一切加えない。だからこそ、好きな人とふたりで好きな場所を巡る幸福がじんわりと伝わってくる。風花さんってなんて可愛い女性なんだろう、こんな人と一緒に歩けていいなあ、と羨ましくなってくるのです。



・天海春香②
ハブラシになりたくてP 萩原さん抗議する ~映画に出演することになりました~ 17年11月22日 19時40分


「765ドッペルゲンガー」というシリーズの前日談的な動画で、「竜宮小町」と「プロジェクト・フェアリー」を除いて売れていない765プロの、残りのアイドル6人が全員で映画に出演することになって……というお話。ぜひここから通してシリーズを見たい。
目を引くのが、ステラステージ素材の立ち絵です。自力で切り抜いて作成したと思われる立ち絵を、場面に合わせて丁寧に使い分け、動かしていて、眺めているだけで楽しい。なるほど、ステラモデルのアイドル、止め絵で見るとこんな表情をするんだ、こんなポーズがあるんだ、という発見に満ちています。視聴者コメントで、「踊る立ち絵」という昨今あまり聞く機会のない言葉が出てくるのもむべなるかな。設定やネタの方は、随所で「プラチナスターズ」や「ステラステージ」を踏まえていると見受けられますが、他方で、キャラクターづけはなんというかこう…… "今のそのアイドルらしさ" と "懐かしいいかにもなそのアイドルらしさ" の折衷のさせ方が絶妙だなあ、と。やたらとノリが良くて人の話を聞かない春香やら、なんだかとにかく言動が変な雪歩やらがステラステージ素材で躍動し、それで内容はガチなミステリー。ノベマスが培ってきた文化と、いま現在の可能性とが見事に融合したシリーズです。



・星井美希②
ダイヤモンドP 【Steam】秋はゆっくりSLG! 17年10月05日 19時45分


765プロ最後の良心星井美希は、今日もきりきりと胃が痛い。主に律子とか律子とか律子とか伊織とか伊織とか伊織とかいう非常識なアイドルのせいでw。「シアター組」メインの卓m@sなどにも良く混ざって出演して、その便利な "高性能" ぶりを遺憾なく発揮している美希ですが、こんな面白不憫なかわいい美希が見られるのはダイヤモンドP作品だけ! 無印美希のあどけない表情を知悉しているからこその、このキャラクターなのです。




・北沢志保②
闇のレオタード氏 悪魔城プロデュサ STAGE 1 『霊魂』 14年07月03日 21時00分


ミリマス動画ではよく、グリマスの絵のバラエティの豊富さ、という事柄が視聴者コメントの中で賞賛され、誇られますが、私はあまりそれに感心したことはありません。グリマスの静止画がなんでもありだと言うならば、ニコマスや東方2次創作は動画レベルでもっとなんでもありだ、ということがひとつめ、私がテキスト系動画に感じてきた面白さは、”情報の絞り込まれた絵に対して、様々なシチュエーション、様々な役柄を見立てて意味を付与していく面白さ" であって、"いろいろなシチュエーションに対して、それぞれ具体的に当てはまる背景や衣装を描きました" ということではない、ということがふたつめの理由です。
そんな私に対して、グリマス素材で、絵を見立てる面白さを鮮やかに示し、このアイドルはこんな役柄を演じるとこんな風に輝くのか、この絵はこう見立てるとこんな表情に見えてくるのか、という、グリマス素材の立ち絵としての面白さ、可能性を教えてくれたのが、闇のレオタード氏の『悪魔城プロデュサ』シリーズでした。
本シリーズは、第一作の北沢志保に始まって、ジュリア、最上静香、貴音と主人公役を引き継ぎながら続いていきますが、ある意味、その歴代主人公以上の存在感を見せているのが、シリーズを通して登場する佐竹美奈子と高山紗代子です。本作の特徴として、単にゲーム内に登場する人物やモンスターにアイドルを当てはめるにとどまらず、アイテム、仕掛け、モンスターなど、ゲーム内に登場する風物について、それを作り出した存在を想定してキャラクター化し、物語の軸にしていく、という点があります。城内の至るところの壁の中に肉が埋め込まれていて、食べると主人公が回復する……というゲーム内の要素から着想された、主人公につきまとって何かというと肉を食わせてくる謎の幽霊「肉の女(ひと)」=佐竹美奈子というキャラクターはその代表格です。はじめはネタにしか見えなかった「肉の女」が、物語の鍵を握る謎となり、メインヒロインとして光を放っていくさまは、まさに本シリーズを象徴するキャラクターと言えるでしょう。
そして、「死神」役の高山紗代子。第一作において、敵役として全編にわたって大きな存在感を見せる七尾百合子と入れ替わって最終盤で登場し、短い出番で鮮烈な印象を残す初お目見え。そして、毎作登場し、毎回主人公に敗れていく存在でありながら、工夫をつくしたシナリオ展開、台詞回し、演出によって、終始威厳と恐ろしさを保った強敵として君臨し続けるありさま。後ではゲーム内の「死神」の姿形に寄せて加工された立ち絵で表現されるようになりますが、初期におけるいわゆる「デストル刀」立ち絵の死神紗代子の美しさ、かっこよさは忘れがたく、ミリマステキスト系動画の中で私がもっとも好きなキャラクターのひとりです。
しかし、多くの強烈で魅力的なキャラクターを差し置いてでも、ここはやはり、第一作の主人公、シホン・ベルモンド=北沢志保をこそ、本シリーズを代表するキャラクターとして、このアイドルを代表する作品として、推します。先述したように、本作では、ゲーム内のギミックの背後に、それを生み出した意志を読み取ることが、そして、代替わりしながら受け継がれていく、悪と戦う意志を描くことが、全シリーズを通したテーマになっています。第二作以降ではそれらはすでに既知で所与の前提となっていますが、志保が志保の戦いを始めた時点では、すべてが未知でした。誰が味方で、どの情報が正しく、何が真実なのか、すべてが不確実。すべてを疑うしかない状況で戦ったのが志保であり、その中にあって、他人を信じ、他人に感謝し、他人の想いを受け継ぐことを学び取り、自らの力としていったのが志保でした。そして、そうして志保がここでなした決意、信じ抜いた善意が、めぐりめぐって、後に続く主人公たちを動かし、助ける力となっていくのです。孤独でありながら "ひとりじゃない" を信じ、"ひとりじゃない" 世界を築いていく。共通した歩みをなしつつ、その信じ方、築き方の個性の違いにおいて、くろりPの最上静香と好一対のキャラクターと言えましょう。



・矢吹可奈②
枝花P 【NovelsM@ster】矢吹かにゃ、じぅ・・・・・・ 18年09月08日 20時00分


きっぱりと冬が来た
八つ手の白い花も消え
公孫樹の木も箒になった
 
きりきりともみ込むような冬が来た……

とでも口ずさみたくなるような、このぴしりと張りつめた、冷たさのある画面、空気。
アイマスは基本的に、キャラクターがアイドルをやっている時の姿、仕事をしている時の姿を通してキャラクターを観測するもので、それに対して、アイドルではない姿(家や学校の中だったり、アイドルになる前だったり、アイドルとは別の道を選んでいたり)を通してキャラクターに迫る、というのはテキスト系の2次創作の重要な手法のひとつです。この動画には、写す角度、瞬間を変えることでキャラクターの姿がぐっと踏み込んで鮮明に捉えられてくる感覚があり、一方で、ただ "文字を読む動画" なのではない、音と映像が一体となって流れを形づくっていくダイナミズムがあります。見終わった時、自分の中で矢吹可奈という存在が、今までよりも一段立体的に、生々しく息づいている気がするのです。



・高槻やよい②
あーるだっしゅ氏 【卓M@s】高槻やよいとミリオンズ14!Session0-1【SW2.0】 14年05月12日 22時12分


「シアター組」の14歳なアイドルたちによるTRPG卓、のゲームマスターを務めることになったやよい。同い年ながらも芸歴上の "お姉さん" としてしゃきしゃきと後輩たちをまとめ上げ、引っ張っていきます。一方で、やよい自身も初心者ということでとまどう場面も失敗する場面もあり、プレイヤーの側の思いやりに助けられたり、プレイヤーからいじられたりもしながら、ともに物語を紡いでいくのです。同い年だけど "先輩" で、先輩だけど友達で、という、やよいと未来や静香たちの間の距離感の表現が絶妙です。
こう、伝統的に伊織とセット扱いになってはいますが、無印には "やよいと同輩のアイドル" っていなかったのだなあ、ということを改めて思ったり。



・田中琴葉②
アギョウP KOH団へようこそ! 18年06月10日 18時00分


これを所恵美動画扱いにしてオチ大トリに持ってこようか……とだいぶ考えましたが、すんでのところで思い留まりました。
事務所内の、田中琴葉の熱烈なファン連中が琴葉に仮装して集会を開く、という、どこを引っ繰り返してもシリアスになりようのないネタ動画ですが、なんてことないネタの中に、アイドルへの深い愛情と観察が籠められているのがアギョウPの常。本作に限らず、アギョウP作品における田中琴葉は、琴葉自身は不在のまま、周りの仲間たちが捉えている、心の中に住まわせている琴葉像を通して、田中琴葉という存在を浮かび上がらせていき、最後に琴葉本人の言動を描いて、何が琴葉をそのような琴葉たらしめているのかを明らかにする、という構成で描かれます。一見ひたすらおバカなコメディに見える動画が、実はきわめて真剣で深刻な”田中琴葉考察” でもある……いや、やっぱりただひたすらおバカなコメディかもw。



・所恵美②
7thCVP 「もうヒトリのキミへ」part1 16年03月06日 23時35分


GM所恵美、プレイヤー島原エレナ、田中琴葉、美希。すなわち「トライスタービジョン」の三人+美希という編成。そしてGMが所恵美ということは、エレナ、琴葉と対立して負かされるラスボス役を恵美が演じる、ということであり、つまりこの記事は、ひとつ上のアギョウPの動画で永遠に不滅と誓い合った「トライスタービジョン」が最後にバラバラに分裂して崩壊する、というオチだったんだよ! アイマスにおいて、すべては「※ただし永遠では無い」のです。
7thCVP(旧名: ブースP)は、異形で、マイノリティで、人ならざる存在を物語の中心に据えた、"生まれてきた意味を問う" シナリオを得意としています。その特長は、設定が内包しているいちばん大事なエッセンスを捉えてまっすぐに引き出してみせる膂力の強さにあり、本作にもその特長はよく顕れています。
無二の親友を殺され、自分は吸血鬼となった琴葉、死んだ人間に似せて形作られた「自動人形」のエレナ、幽霊の美希。みな、自分を何者と思い、どう生きていったらいのかに迷っています(そもそも、この中に「生き物」はひとりもいませんがw)。そしてもうひとり、PCに匹敵する存在感を見せるのが、GM恵美の演じる、琴葉の友人役のNPCです。
本作では、顔アイコンの微細な変化、台詞の間の取り方によって、各キャラクターを演じているプレイヤーの側の心の動きが丁寧に表現されています。いま演じているのは、あくまで自分とは異なる仮想のキャラクターのはずなのに、進めば進むほど、ゲーム内のキャラクターが他人とは思えない、ゲーム内で起きていることが他人事とは思えなくなってくる。よりにもよってプレイヤー自身にとっての現実での無二の親友と顔をつき合わせてゲームをしている、ということが、なおさらそうさせるのです。
なにかひとつボタンを掛け違えたら、現実の自分たちがゲームの中の彼女たちのような関係になってしまうかもしれない、という恐怖。こんな状況になったら、自分は一体どうしたらいいのだろう、という切実さ。のめりこんでしまうほどに近しいゲームの中の分身の行動を、しかし、あくまで素の自分の感情につき動かされてではなく、そのキャラクターの立場を真摯に想像して構築していく、のだけれども。きっとその中には、素の自分自身が内蔵している愛情が、憎悪が、嫉妬が、執念が、どうしようもなく溶け込んでいる。そしてまた、自分そのもののようでいて、自分ではないゲーム内のキャラクターを通してそれを表現することで、自分自身の愛憎のありさまを、自分自身の大切なひととの向き合い方を、見つめなおせているところがある。
そうやって、切実に、真摯に、ゲームの中のキャラクターの生を想い、物語を紡いできたからこそ、たとえそれがいいことずくめのハッピーエンドでなくとも、たどり着いた結末に、納得と充足感がある。いちばん重くて困難な役と、真正面から向き合って答えを出していく、琴葉の不器用でまっすぐな強さ。いちばんはかなく頼りない存在だったのに、いちばん希望を抱き、いちばん人と人を繋ぐ存在になっていくエレナの可憐さ。そして、物語世界の管理者として、決してプレイヤーと同じ立場に立つことのできない恵美の、哀しみと満足、万感のこもった、プレイヤーを見守る視線。私はこの動画を見終わった時、この3人のことが、この3人が一緒にいる風景が、前よりもずっと好きになっていました。「出会ってくれてありがとう」「生まれてきてくれてありがとう」の面々だからこその、ドロッドロに重く切なく執念深く、だからこそ、心にずしんと響いて、長い余韻と想像の余地をあとに残す物語をどうぞ。





だいぶ遅くなりましたが、これで私もようやく、「架空-tail/tale THE@TER」のコメントを完走することができました! ……え、なに、まだカーテンコールが残ってるって? よろしい、書きますとも!




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