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先週(9/10(金)~9/16(木))の動画Pickup(ノベマス)


 えー、特にニコマスからアイマス好きになった人は、進む道がわからなくなった時は自分の原点となるような動画を見直してみるといいよ。自分の立ち位置が見えてきたりするんじゃないかな、ってなことを言おうと思っていたんですが。そんなことを言っている間にも肝心の動画が消えてたりするので、ま、見たいものは見たいと思ったら迷わず見ておくべきですよね。

 さて、大分間が空いてしまいましたが、9/10(金)~9/16(木)に投稿されたノベマスのPickupです。とりあえず自分には、2の話をする前にやっておかなければならないことが山ほどあるので、全力で通常運転です。まあそんなことを言いつつ、2に関連したこともあれこれ書いているし、これからも書くでしょうが。


ヘンリーP 【NovelsM@ster】ものを知らない少女のはなし【不思議の夢の伊織?】 (9/11)


 5mium@s2ndで私が一番気になっていた作品の続編が来ていました! 
 アイマスでストーリーものを見る魅力として、キャラクター同士の掛け合いや、シナリオ・映像の面白さも無論ありますが、アイマスを通して今まで知ならかった・一人では手を出せなかった世界に気軽に触れられる、というのも大きな魅力です。架空戦記、卓m@s、教養講座などには必ずそういう要素があります。
 この作品は、直接的に何かとコラボしたり解説したり、という性質のものではないけれど、物語の中に毎回知的好奇心をくすぐられる問題が組み込まれていて、作品を楽しみながら一緒にその問題を考えていくことが出来る、そんな作品になっています。
 ルイス・キャロルの『アリス』で自然に数学や言葉遊びの魅力に触れられるように、ミヒャエル・エンデの『はてしない物語』で哲学の糸口に触れられるように、この動画もまた、「無限」というものの性質であったり、「言葉」と「意味」って何だろう? ということであったり、なかなか一人では考える糸口を見つけにくい問題を、動画の中で楽しみながら考えることができます。
 また、そのようにするための作品の雰囲気作りも素晴らしいのです。幻想的・非日常的世界と、その背後にある明示されていない通底したストーリー、そういうものが合わさって、不思議で、かつ知的好奇心をくすぐられる空気が形作られています。今後出てくるであろうアイドルたちが、各々どんな問題を伊織に提示してくるのだろう、結末はどうなるのだろう、と想像するのも楽しいですね。

屏風ヶ浦P 銀河鉄道765  第2話 (9/11)


 タイトル通り、銀河鉄道999をベースにした作品です。旅m@sを作られてきたPだけに、なんといっても列車旅の風情が素敵です。何気ない会話から、旅をしている、という感じが醸し出されてきます。配役も秀逸で、原作のキャラクターの「らしさ」とアイマスのキャラクターの「らしさ」の両方がにじみ出ていると思います。

P名未定(炭素鋼氏) え、お昼ご飯それだけ?[ノベマス] (9/12)


 以前紹介したブブゼラと春香の方の第2作です。自身書かれているように、自分のペースでじっくり動画を上げられているせいか、内容の面白さに比して埋もれがちな気がしますが、なんてことない話題を面白い会話に仕立て上げる手腕が実に巧みです。ギャグ、コメディが好きな方は要注目ですよ。

P名未定(茶そば氏) 【NovelsM@ster】プロデューサー兼探偵 第1話 (ノベマス処女作 9/15)


 サムネはともかくとして、怒濤のギャグとか2828要素などの、釣り針になる要素なしに15分間読み切れるストーリーを構築する力が見事です。日常生活で起こるちょっとした事件を題材にした、いわゆる「日常の謎」のミステリーを読む楽しみを、ニコマスで体験できるシリーズです。既に続編も来ています。短距離走で視聴者を引っ張っていくのではなく、オチまで通して読むことで最大限の面白さが味わえる、本格的なミステリー作者の登場です。

利休P アイドルマスター 炎の孕ませプロデューサー 第7話 (9/12) 


 連載開始当初からかなり話題になっている作品ですが、エロゲー的なものやハーレム展開が苦手で、なんとなく敬遠している人も多いのではないでしょうか。
 ご安心ください。あまりそういう話が得意ではない私が保証します。このシリーズは(少なくとも今の所は)そういった方でも充分楽しめる作品です。キャラクターへの性格付けや、コメディ展開の中でのラブ要素の埋め込み方等々、様々な意味でバランスのいい良質のコメディで、今見られているよりももっと広い範囲の人が楽しめるシリーズだと思います。
 まあ、作者は一貫してタイトル通りの展開を目指しているようなので、いずれプロデューサーとアイドルがあららら、ということもあるかもしれませんが、その時は自分が楽しめる所まで楽しんで、危険な匂いを察知したら回れ右して、いらぬトラウマや遺恨を残さないようにしましょう(笑)。
 と書いてきましたが、一旦このような形で区切りを付けられたようです。今は、これまで投稿された分を楽しみつつ、次の新たな展開が始まるのを楽しみにしていましょう。

ガルシアP 私は、アイドル 【15行PoeM@ster】 (9/15)


 「NovelsM@ster」タグの作品ではありませんが。9/15~9/30開催の15行PoeM@ster。この時期に開催されている企画はいずれもアイマス2をめぐる混乱の中に埋没してしまう傾向にあると思いますが、PVとも、通常のストーリー作品とも違った、文字と言葉の表現力を生かした新たなニコマス動画を模索する試みとして、非常に興味深い企画だと思います。
 先陣を切ったガルシアPのこの作品。わずか15行にまで言葉を削ることで凝縮される物語と思いに、一枚一枚が究極の表現力を持つ、アイドルの魅力的な表情。アイドルを愛する者の胸を締め付けずにはおかない世界が広がっています。

mozukuzu氏 test (9/12)


 タイトルとサムネで埋もれさせておくには余りに惜し過ぎます。なんとも言葉にしにくい気持ちなのですが、まだ見てない人は見てくれ、そうすればわかる、としか。

おしるP アイドルマスター とりとめの無い話 第25話【おまけ】
 (9/10)

 いとしいさかなP、下着ドロP、アッテムトP、罵りP、日柳Pと次々に投稿があって、ノベマス好きには幸福な1週間でしたが、このシリーズもまた帰ってきました。
 素敵なのが、この作品が帰ってきた過程とそれが起こした出来事。この第25話は、9/10に行われた「とりとめの無い話」一気見生放送のために書き下ろされました。残念ながら私はその日視聴できなかったのですが、おしるP御本人がブログに書かれたところによると、生放送の来場者の半分以上がシリーズ初見だったとのことです。
 我々以前からのこのシリーズのファンが、この動画を懐かしみ、楽しんだのは勿論です。しかしそれだけに留まらず、一気見生放送という企画をきっかけに、新たに多くの人が魅力的な動画に出会い、作者自身も含め古くからシリーズに親しんできた人も新たな思いと発見を得られた、それは本当に素晴らしいことです。
 今、アイマスが、ニコマスが抱えている絶望と悲しみは、本当に大きなものです。しかし、そうやって先にこの世界に入ってきた者が立ちすくんでいる今この時にも、アイマス・ニコマスと新しい素敵な出会いをしている人が確かにいるし、それは私たちの行動で増やしていける。そんな、当たり前だけれども大切なことを、私は今この動画から学んでいます。

(この週については、ノベマス以外の動画のPickupはお休みします。この週はこの週で、ニコマスと関係ない所で自分が落ち込んでいたので、元気づけてくれた動画がたくさんあったのですが、時間的に…)

俺の春香が殺された


 今日、私は私の春香が殺されたことを、私の世界が滅ぼされたことを知りました。私はその時そんなことは露知らず、ピエロのように先週見た動画なんかについて書こうとしていました。

 あなたの動画、あなたの春香に出会ってから、あなたは私の世界の全てでした。春香のことも、春香を愛するということも、生きる意味も、希望も、勇気も、すべてあなたの動画から、あなたの春香から教わりました。その日から、私の心のど真ん中にはあなたの春香がいて、私はあなたを、あなたの動画を、あなたの春香を愛し続けてきました。

 私はあなたに比べれば滓のような量と時間しか春香を愛せなかったから、私があなたを知ってからあなたが春香の動画を作ることは一度もありませんでした。私はあなたの新しい春香が見られる日を、初夜を迎える処女のような気持ちで待ち続け、あなたが春香以外に捧げた愛の歌に動揺し、それでもあなたの動画を目にすることができたことを喜び、新作をほとんどあきらめてからはあなたのブログが更新されたことを喜び、ブログに誰かがコメントしたことを喜び、あなたがそれに返答したことに喜び、生放送であなたの動画が流されたことを喜び、誰かがあなたの動画の話をすることを喜び、誰かがあなたの動画を見ていることを喜びました。他に何もなくなっても、あなたの動画が常にそこにあったから、あなたの春香がいつもそこにいたから、私の毎日は希望と喜びに満ちていました。

 2010年9月18日、世界がぐらつきそうになった日、私の心が、体が、何よりも必要としてたのがあなたの動画でした。その動画を開いた時、私を形作ってきた全てがその中に見えました。なにもない無心の心であなたの春香を見つめた瞬間。あれよりも幸福な時間が他にあり得るでしょうか。絶対にありえません。だから私は絶望の中で立ち続け、今日まで生き続けることができました。

 私は愚かにも、その時既に自分が死刑宣告を受けていたことを知りませんでした。

 私には今後悔していることがたくさんあります。
一度だってあなたに私の思いを伝えなかったこと。あなたのブログに一度もコメントしなかったこと。あなたの全ての動画を私のコメントで埋め尽くさなかったこと。私の全財産をあなたの動画を広告することに費やさなかったこと。全ての生放送であなたの動画だけを流させ続けなかったこと。自分のブログを開設して、真っ先に書くべきだったあなたのことを今日まで書かなかった救いがたい自分の愚鈍さを。あの日、あの時、あなたの全ての動画を見ようとしなかったことを。世界が終わるまであなたの動画だけを見続けようとしなかったことを。

 たった一つだけ、嬉しいことがあります。世界が終わる時に、もう一度だけあなた自身の意思を、あなたの言葉を聞けたこと。

 私にもプライドはあります。だから、私は私が出会った神たちの誰が、大好きな大好きな誰が去ろうとも、私のために帰ってこいとは言いません。自分の心に大嘘をついて、満面の笑顔で見送ります。

 他の誰であろうとも。あなただけを除いて。私はあなただけは認めません。あなただけは許しません。あなたはあなたの動画を、あなたの春香を、あなたのものだと思っているでしょうが、それはこの世にあるどんな間違いよりも間違っています。あれは、私のものです。あなたの動画が、私の世界です。あなたの春香が、私の春香です。私は何があろうともあなただけは許しません。私の世界を、私の春香を殺したあなたを。

 あなたは神です。神でないなんてありえません。動画一つで私を生かし、動画一つで今私を殺そうとしています。

 私はこの世界に残ります。アイマスも、アイマス2も、アイマス3も、ニコマスも、一切の関係なくこの世界に残り続けます。この世の終わりまで。あなたが勝手に捨てた世界を、あなたが勝手に終わらせた世界を、あなたが勝手に殺した春香を、私の中で永遠に生き続けさせるために。

 愛しています。あなたを。あなたの全ての動画を。あなたがくれた全ての思い出と希望と勇気を。あなたがくれた絶望すらも。あなたの春香を。あなたの春香を愛しています。私はこの世が終わるまで、全身全霊をかけて、あなたを、あなたの動画を、あなたとの出会いを、あなたの春香を、愛し続け、感謝し続け、恨み続け、絶望し続け、希望を持ち続け、愛し続けます。

 私のありったけの、全身全霊の、愛を、感謝を、恨みを、絶望を、希望を、愛をこめて。

 
           ありがとう ありがとう 


           さようなら さようなら     


             ななななな~P様


 そして私は、あなたに届こうが届くまいが、この世の終わりまでここで叫び続けます。


          また逢いましょう  きらめく舞台で







       

思考を止めないこと、議論をやめないこと


 アイマス2関連の言説を観察しながら思うことなど。自分の思っていることが人に見せられるほどまとまっているのかどうか、なかなか見極めがつかなくて、何を書くべきか判断に迷いますね。いつも以上に読みにくい気もしますが、記事の意図を汲んで許容していただければ。

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2010高木順一朗特集(最終日:その他のMAD)

 
 アイマス2の衝撃が大きすぎて完全に吹き飛んでいましたが、社長動画特集の締めくくりをやっておきます。まあ、重大な出来事がたくさん起きすぎて、すっかり影が薄くなっている社長ですが、自分の中ではいろいろタイムリーなテーマと結びつくものを見いだせた特集になったので、やっておいて良かったかなと思っています。今日はこれまでに紹介し損ねた様々なMADの特集です。



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ぽきーるP「ぼくらのアイドルマスター Live for you!」に今、もう一度出会う


 舞台に上がれば死ぬ。──それが、ライブのルール。


 アイドルマスター2についての公式発表がありました。個人的に思う所はいろいろありますが、今日はそれについて直接は触れません。今日これから私が語る作品は、いつか必ず語らなければならないと思っていた作品で、そして、今この時に語っておかねばならないと思っている作品です。

ー ぽきーるP 「ぼくらのアイドルマスター Live for you!」ー 
[01]ぼくらのアイドルマスター Live for you! 第1話 『ゲーム』 (08/3/18~)


 アイドルマスター2の内容が判明してきたことで、改めて「アイドルマスターの世界はゲームごとにパラレルワールドである」という事実が注目されています。
 しかしながら、パラレルワールドにまつわるアイマスの問題は、決してアイマス2によって初めて出現した問題ではありません。L4Uも、SPも、DSも、それぞれに無印アイマスとは異なった世界です。さらに言えば、アケマス、CDドラマ、アニメ、2次創作の一つ一つまで、「アイドルマスター」の中には異なる世界がいくつも含まれています。
 そして、アイマスを好きでいるということは、これまでと異なる世界が自分の前に現れた時、必ず「自分にとってのアイマスとは何か」を突きつけられるという事です。

 私の、ゲーム「アイドルマスター」のファンとしての経歴は長くないので、今まで自分がこうした問題について本気で悩んだことはありません。けれども、L4Uの時にも、SPの時にも、DSの時にも、大好きなPがアイマスに対して悩み、苦しみ、怒り、悲しんでいたのを、私はニコマスを通じて見てきました。
 だから、私にはアイマス2の問題はアイマス2だけの問題ではなく、ずっと私たちが直面してきた「アイマスのファンでいること」の本質的な問題であると思えてなりません。


 私がこのことを考える時、必ず思い浮かべる作品が、ぽきーるP作『ぼくらのアイドルマスター Live for you!』です。

 この作品が何をテーマとした作品であるか、端的に言えば、タイトルが全てを表しています。
 ゲーム『アイドルマスター』のキャラクター・世界観、ゲーム『アイドルマスター Live for you!』のキャラクター・世界観。そして、SF漫画『ぼくらの』のルールのアイマスへの適用。すなわち、

舞台に上がれば死ぬ。──それが、ライブのルール。

 そう、これは、「無印アイマス」と「L4U」の設定、世界観の違いをテーマに据えた作品なのです。
 けれども、ゲーム内容の変更に対する疑問・批判・自問を直接主張する性質の作品ではありませんし、登場人物がゲームの中にいることを自覚するような、いわゆるメタ的な作品でもありません(今の時点では、ですが)。あくまで、アイマスのパラレルワールド的な世界観を、SF的設定の中に練り込んで、独自の物語世界を展開する作品です。

 物語の舞台は、ファン感謝祭の行われているドーム。登場人物はアイドル・音無小鳥・ファン代表プロデューサー。そして主人公の位置にあるのが、「プロデューサー」です。彼は、この物語の世界のルールがどうなっているかを(視聴者と同様)知りません。そして、この物語において、アイドルを守るために、そして自らのために、彼はこの世界のルール、世界の真実を知らなければなりません。
 自分のいる「アイドルマスターの世界」とは何なのか。この問いに正面から向き合い、解決しようとしているのがこの物語の主人公なのです。

 そして、設定として取り込んだもうひとつの原作、鬼頭莫宏『ぼくらの』の持つルールによって、この作品はもう一つ、アイマスの本質的な問題と取り組んでいます。すなわち、立てば死ぬ、というルールの中で「舞台に立つ」、ということ。
 舞台に立つこと、即ちアイドルであるということ。舞台に立たせること、即ちプロデュースするということ。この作品が問うているのは、「アイドルとは何か」「プロデュースするとは何か」そのものなのです。


 さて、以上のような世界観は、私がこの作品に惹き付けられた大きな要因ですが、私がこの作品のことを好きになったのは、ただ世界設定について考えたいからではありません。何よりもまず、この物語が本当に面白く、魅力的であるからです。万華鏡のように多彩で強い魅力を、この作品は持っています。

 『ぼくm@s』は、「空気」が魅力です。舞台はドームですが、にぎやかなライブ会場が映るのはライブシーンだけ。ほとんどすべてのストーリーは、舞台裏、すなわち楽屋・廊下・控え室だけで進行し、そこにいるのは前に述べたアイドルと3人の関係者だけです。ほとんどのシーンは主人公とアイドルとの対話、あるいは主人公単独での探索で進行することになります。
 限られた登場人物と重い設定がもたらす、少ない言葉で多くの情報が交わされる会話。無人の空間が映る背景、音楽、インターフェース。そういったものが合わさって、つねに静謐で、緊張感にあふれた独特の空気が、この物語を支配しています。物語が自分の世界をこちら側に押し出してくるのではなく、いつのまにか物語の世界の中に没入し、とりこまれてしまう。私はこの作品をそんな風に感じます。他のどのノベマスにもない、静謐と緊張感の世界。それがこの作品の魅力です。

 『ぼくm@s』は、「ミステリー」が魅力です。何よりも先に、この作品には多くの謎とトリックが仕掛けられています。この物語における主人公の行動は、観察と推理によってその謎を解く、ミステリーにおける探偵の行動に他なりません。アイマスのキャラクターと設定を生かした、アイマスを題材とするからこその魅力的なトリックが、この作品にはたくさん仕掛けられています。そして、それに挑む主人公は全知全能の天才的探偵でもなんでもなく、アイドルを愛し、ギャグを飛ばし、悩み煩悶する等身大のプロデューサーです。
 霧のように全てが謎に包まれた不安と疑問に満ちた世界が、話の進行するごとに、鍵の嵌まるように一つ一つ明らかにされていく快感。そのために、あらゆる会話、何気ない行動にまで伏線が隠された、わずかな瞬間も見逃せない謎解きの緊張。
 私がこの作品の謎にどれだけのめりこんだかと言えば、毎回全ての台詞と場面状況を書き出し、疑問点、矛盾点と仮説をメモしておく位にはのめりこみました。謎解きのワクワク感を十二分に味わえるミステリー。それがこの作品の魅力です。

 『ぼくm@s』は、「SF」が魅力です。ミステリーとして、仕掛けられた謎を解いていった先にあるもの、それは、「この世界はどういうシステムになっているのか」という、物語そのものについての大きな謎です。その謎の答えは、第8話まで進んだ現在でも、まだ全てが明らかにされた訳ではありません。緻密でSF的知性にあふれた設定、それが解き明かされていく興奮。知的興奮に満ちたSF、それがこの作品の魅力です。

 『ぼくm@s』は、「ギャグ」が魅力です。下ネタも含めたギャグ作品の名手でもある作者は、ギャグがメインではないこの作品でも笑いを挿入することを忘れません。緊張感にあふれ、時に哀しい物語に、絶妙のバランスで挿入される場面ごとのギャグ。それがストーリーの重さを軽減し、より楽しく読ませる潤滑剤になっているのみならず、ギャグ自体に物語のヒントが散りばめられていて、後の展開につながっています。単発のギャグと大きなストーリー進行とのバランス、絡み。それがこの作品の魅力です。

 『ぼくm@s』は、「アイドル」が魅力です。ここのアイドル達は、本当に魅力的です。挫折を経験し、プロデューサーを信頼し、ライブを成功させたいと強く願っているアイドルたち。彼女たちは、設定されたルールのために迷い、苦しみながら、各々が信じるもののために、決断し、自らの答えを持って舞台に立ちます。
 アイドルであることに向き合い、全力で生きる彼女たちの姿。そのために、この物語はその悲しさや重さにもかかわらず、前向きな、希望に満ちた光を放っているように私には感じられます。アイドルこそが、この作品の魅力なのです。

 『ぼくm@s』は、「信頼関係」が魅力です。この物語のプロデューサーとアイドル、そしてアイドル同士各々が、強い信頼関係で結ばれています。それは、過去において、他ならぬそれぞれが1年間プロデュースし、プロデュースされた大切な思い出によって培われたものです。アイドルたちが不安や恐怖と直面した時、進むべき道がわからなくなった時、いつでもその背中を支え、後押ししているのは仲間のアイドルであり、プロデューサーです。何物にも代え難い固い絆、信頼関係。それがこの作品の魅力です。

 『ぼくm@s』は、「プロデューサー」が魅力です。先にも述べたように、この物語の主人公は、悩みもし、失敗もし、わからないことがたくさんある等身大のプロデューサーです。そして彼もまた、過去に拭いがたい大きな挫折を経験しています。
 理不尽な設定、不安と謎だらけの世界に対し怒り、悩みながら、それでも彼がずっと一番に考え、行動原理としているのは、愛するアイドルたちをアイドルとして幸せにすること、そこに一点の揺らぎもありません。そして彼を支えているものもまた、アイドルたちをプロデュースした大切な思い出であり、今そこにいるアイドルたちです。このプロデューサーがいるからこそ、私にとってこの作品は特別な、共感せずにはいられないものになっているのだと思います。


 最大限に言葉を尽くそうとはしてみましたが、私がこの作品から受け取ったものの大きさに比べれば、きちんと語れたとは到底言えません。私個人は、それがどれだけ先のことで、どんな形であったとしても、この物語が完結する日を目の当たりに出来ることを強く願っていますが、それは願いであって主張ではありません。
 今はただ、アイドルマスターと向き合って苦しんでいる全ての人に、今苦しんではいない全ての人に、そして何よりも純粋に、この素晴らしく面白い作品との出会いをまだ経験していないすべての人に、ぽきーるP作『ぼくらのアイドルマスター Live for you!』と、(もう一度)出会ってほしいと思っています。

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Author:Vinegar56%

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